パンセクシュアルとは
パンセクシュアルとは、相手の性別や性自認に関係なく、恋愛感情や性的魅力を感じる性的指向である。つまり、「好きになった人が好き」という感情が基本であり、相手を男性や女性としてではなく、一人の人間として愛することが多い。性別にとらわれず、その人自身の個性や人間性に魅力を感じるのだ。
パンセクシュアルの大きな特徴として、性別に対する固定観念を持たないことが挙げられる。これは、性別が恋愛や性的魅力の決定要因ではないという考え方に基づいている。
また、パンセクシュアルは多様性と包摂性を重視し、あらゆる人々との関係を築いていける点でも注目されている。現代社会において、性の多様性が認識される中で、パンセクシュアルという概念は重要な役割を果たしていると言える。
パンセクシュアルは、性別に関する固定観念を超越し、個人の内面や人間性を重視するため、他者との関係性において柔軟性と開放性を持つことが可能である。これにより、パンセクシュアルの人々は多様な背景や経験を持つ人々と深い絆を築けるのだ。パンセクシュアルという性的指向は、現代の多様性を象徴する概念であり、性別にとらわれない愛の形を理解するための鍵となる。
パンロマンティックとの違い
パンセクシュアルとパンロマンティックは、どちらも性別に関係なく他者に対して感情を抱く点で共通している。パンセクシュアルは、性別や性自認に関係なく、恋愛感情や性的魅力を感じる性的指向である。一方、パンロマンティックは、性別に関係なく恋愛感情を抱くが、性的魅力を感じるかどうかは問わない。
つまり、パンロマンティックの人々は、性別に関係なく恋愛関係を築くが、必ずしも性的関係を求めるわけではない。
パンセクシュアルは恋愛感情と性的魅力の両方を含むのに対し、パンロマンティックは主に恋愛感情に焦点を当てている。どちらも性別にとらわれない愛の形を象徴しているが、その感情の種類や深さに違いがある。
パンセクシュアルのプライドフラッグ

プライドフラッグは、LGBTQ+コミュニティの多様な性的指向や性自認を象徴する旗である。各フラッグは、それぞれのコミュニティのアイデンティティや誇りを表現する。パンセクシュアルのプライドフラッグもその一つであり、パンセクシュアルの人々の存在と権利を認識し、尊重するためのシンボルである。
パンセクシュアルのプライドフラッグは、ピンク、黄色、青の三色で構成される。ピンクは女性への魅力を、青は男性への魅力を、そして黄色はノンバイナリーやジェンダーニュートラルな人々への魅力を表している。この三色の組み合わせは、パンセクシュアルの人々が性別に関係なく、あらゆる人に対して恋愛感情や性的魅力を感じる特性を象徴している。
フラッグは、パンセクシュアルの人々が自分自身を表現し、コミュニティ内外で認識されるための重要なツールだ。また、プライドイベントやソーシャルメディアなどで広く使用され、パンセクシュアルの認知度を高める役割も果たしている。
注目される背景
「パンセクシュアル」という言葉は、古代ギリシャ語の「パン(pan)」に由来し、「すべての」という意味がある。具体的にいつから使われ始めたのか、正確な時期は明確ではないが、LGBTQ+コミュニティの中で広く認識されるようになったのは比較的最近のことである。
パンセクシュアルが注目される背景には、現代社会における多様な性の理解と受容が進んでいることがある。パンセクシュアルの概念は、従来の異性愛や同性愛といった二元的な枠組みを超え、より包括的な視点を提供するものであるからだ。
また、LGBTQ+コミュニティ全体の権利向上運動も大きく影響している。パンセクシュアルという性的指向が広く知られるようになったきっかけでもあり、社会的な認知度が高まっている。教育やメディアを通じて、パンセクシュアルに関する情報が普及し、多くの人々がその存在を理解し始めているのだ。
SDGs目標5「ジェンダー平等を実現しよう」との関連
ジェンダー平等は、すべての人が性別に関係なく平等な権利と機会を得る社会を目指すものであり、パンセクシュアルの理解と受容はこの目標の達成にも深く関わる。パンセクシュアルの存在を認識し、彼らが直面する差別や偏見を解消することが、ジェンダー平等の実現につながるのだ。
パンセクシュアルの認知度が高まることで、性別に関する固定観念が打破され、多様な性的指向が尊重される社会が形成されると期待される。ジェンダー平等の実現に向けた取り組みが進展することで、すべての人が自分らしく生きることができる環境が整うのである。
そもそもLGBTQ+の「+」とは?

LGBTQは、レズビアン(Lesbian)、ゲイ(Gay)、バイセクシュアル(Bisexual)、トランスジェンダー(Transgender)、クィア(QueerまたはQuestioning)の頭文字を取ったものであるが、「+」はこれらに含まれない、あるいは特定のラベルに収まらない人々を指す。
例えば、パンセクシュアルやアセクシュアル、ジェンダーフルイド、ノンバイナリーなど、多様な性のあり方が存在する。パンセクシュアルは性別に関係なく人に惹かれる人々を指し、アセクシュアルは性的魅力を感じない人々を指す。ジェンダーフルイドは性自認が固定されず流動的である人々を指し、ノンバイナリーは男性や女性という二元的な性別に収まらない人々を指す。
この「+」の存在は、性的指向や性自認が多様であり、固定的なカテゴリーに収まらないことを認識するためにも重要である。社会が多様性を尊重し、すべての人々が自分自身を表現できる環境を作るためには、このような包括的な表現が必要だ。
また、「+」は、LGBTQ+コミュニティが一つの統一されたグループではなく、多様な背景や経験を持つ個々の人々から成り立っていることを示している。コミュニティ内外での理解と受容が進み、差別や偏見の解消にもつながる。
LGBTQ+の「+」が示すように、すべての人々が自分自身を自由に表現し、尊重される社会の実現が求められているのである。
性を表す4つの要素とSOGI
セクシュアリティ(性のあり方)は、一つの基準で測れるものではなく、「性を表す4つの要素」がさまざまに組み合わさることで、多様なセクシュアリティが生まれている。これらの要素は、性のあり方がグラデーションであることを示している。
- こころの性(性自認)
自分自身がどのような性別であると認識しているかを指す。これは必ずしも生物学的な性別と一致するわけではなく、女性や男性、あるいはそのどちらでもないと感じる場合もある。
- からだの性
生物学的な性別を指す。これは生まれつきの身体的特徴によって決まるが、性分化疾患などにより、男性や女性のいずれかに明確に分類できない場合もある。
- ふるまう性(性役割)
社会的・文化的に期待される性別の役割や行動を指す。これは服装や言動など、自分をどのように表現するかに関わるものであり、社会的な「らしさ」に影響されることが多い。
- 好きになる性(性的指向)
恋愛感情や性的興味を持つ対象を指す。これは異性愛、同性愛、バイセクシュアル、パンセクシュアルなど、多様な形態が存在する。
これらの要素は、個々のセクシュアリティを理解するためにも重要で、すべての人が自分自身を自由に表現し、尊重される社会の実現につながるものである。
SOGI(ソジ)という言葉は、4つのうち「好きになる性(Sexual Orientation)」と「こころの性(Gender Identity)」の英語の頭文字を取ったものであり、多様な性のあり方を包括的に表現するために用いられている。
パンセクシュアルは、相手の性自認や性的指向を理由に好きになるわけではない。すべての人を「人間」として認識し、SOGIを認識しない点においても特徴的である。
相手のセクシュアリティをどう捉えるか
パンセクシュアルは、しばしば他の「〇〇セクシュアル」とまとめられてしまうことがある。特に、バイセクシュアルと混合されることが多い。ここでは、相手のセクシュアリティをどう捉えるかによって異なる3つの性的指向について、パンセクシュアルと比較しながら解説する。
バイセクシュアル(両性愛)
バイセクシュアルは、男性と女性の両方に対して性的または恋愛的な魅力を感じる人々を指す。バイセクシュアルの人々は、性別に関係なく特定の個人に対して魅力を感じるが、その対象は主に男性と女性に限定される。
パンセクシュアルと比較すると、バイセクシュアルは性別の二元性に基づいている点が異なる。パンセクシュアルは性のあり方に捉われず、個人に対して魅力を感じるため、より包括的な視点を持つ。
ポリセクシュアル(複数性愛)
ポリセクシュアルは、複数の性別に対して性的または恋愛的な魅力を感じる人々を指すが、すべての性別に対して魅力を感じるわけではない。ポリセクシュアルの人々は、「男らしさ、女らしさ」など、特定のセクシュアリティに対して強い魅力を感じることがあるが、その範囲は個人によって異なる。
パンセクシュアルと比較すると、ポリセクシュアルは魅力を感じる性別の範囲が限定されている点が異なる。パンセクシュアルは、相手の性のあり方に関係なく、すべての人々に対して魅力を感じるため、より広範な視点を持つ。
オムニセクシュアル(全性愛)
オムニセクシュアルは、すべての性別やジェンダーに対して性的または恋愛的な魅力を感じる人々を指す。オムニセクシュアルの人々は、特定の性やセクシュアリティに関係なく、個人に対して魅力を感じるが、その魅力の感じ方には性別やジェンダーが影響を与えることがある。
パンセクシュアルと比較すると、オムニセクシュアルは性別やジェンダーを認識しつつも、すべての性別に対して魅力を感じる点が異なる。パンセクシュアルは、相手の性のあり方に関係なく、すべての人々に対して魅力を感じるため、より包括的な視点を持つ。
パンセクシュアルが抱える生きづらさ

パンセクシュアルは、セクシュアルマイノリティ全体が抱える課題に加えて、他の性的指向と混同されることや、LGBTQ+のコミュニティ内でも理解されづらい現状がある。ここでは、パンセクシュアルが抱える生きづらさについて深掘りする。
認知度が低く誤解されやすい
パンセクシュアルという性的指向自体が、まだ広く認知されていないことが大きな問題である。多くの人々がパンセクシュアルという概念を理解しておらず、誤解や偏見が生じやすい。このため、パンセクシュアルの人々は自分の性的指向を説明する際に困難を感じることが多い。
バイセクシュアルと混同されがち
パンセクシュアルはしばしばバイセクシュアルと混同されることがある。バイセクシュアルは異性と同性の両方に惹かれるが、パンセクシュアルは性別に関係なく人に惹かれる。この違いが理解されないことで、パンセクシュアルの人々は自分のアイデンティティを正しく認識されないことが多い。自己認識や自己表現に対する不安やストレスの増大にもつながっている。
コミュニティ内での孤立感
パンセクシュアルの人々はLGBTQ+コミュニティ内でも孤立感を感じることがある。パンセクシュアルという性的指向が他の性的指向と異なるため、コミュニティ内での理解や受容が十分でない場合がある。このため、パンセクシュアルの人々は自分の居場所を見つけるのが難しいと感じることがある。
社会的な固定観念との対立
社会全体のジェンダーや性的指向に対する固定観念も、パンセクシュアルの人々が生きづらさを感じる要因の一つである。性別に関係なく人に惹かれるというパンセクシュアルの特性は、従来の性別二元論に基づく社会の枠組みと対立することが多い。このため、パンセクシュアルの人々は自分の性的指向を隠すか、誤解されることを恐れて自己表現を控えることがある。
まとめ
パンセクシュアルという概念は、まだまだ認知度が低く、理解されていないのが現状だ。そのため、彼らは日常生活において多くの困難を抱えることがある。
社会全体がパンセクシュアルという性的指向を理解し、受け入れることで、彼らがより安心して自分らしく生きることができる環境を整えることが求められている。教育や啓発活動を通じて、パンセクシュアルに対する理解を深めることも重要だ。また、法的な保護や支援の枠組みが整備されることも期待される。
すべての人が平等に扱われる社会を目指すためには、パンセクシュアルだけでなく、多様なセクシュアリティを尊重することが必要だ。人々が抱える生きづらさが解消され、より包括的で理解のある社会が築かれることを願う。
参考記事
多様な性(LGBTQ+)”のこと 性を表す4つの要素とは?|香川県さぬき市
LGBTQ+|NHKハートネット
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