グローカルとは?定義や注目される背景、企業の取り組みを紹介

グローカルとは?定義や注目される背景、企業の取り組みを紹介

グローカルとは

グローバルという言葉は、「地球規模」を意味する“Global(グローバル)”と、「地域」を意味する“Local(ローカル)”をかけ合わせた造語である。

「地球規模の考えを持ちながら、地域に寄り添った行動をすること」を意味しており、主にビジネスシーンで使用されている。国際的な事業を展開する「グローバル企業」と、地域に根差した事業を展開する「ローカル企業」の、それぞれの良いところを取り入れた新しいビジネスの形だ。

グローカルは、1980年代に日本企業の海外進出におけるマーケティング手法がきっかけとなって生まれた。それが、対象国や地域のニーズに合わせた「グローカリゼーション」である。この概念は経済学の域を超え、1990年代には学術用語として社会学分野で議論されはじめている。そして現在は、政治や都市開発、環境問題など幅広い分野でみられる言葉となった。

グローカルが注目される背景

グローカルが注目されている理由として、一つには進みつづけるグローバル化と、それに反対する反グローバル化運動があげられる。近代以降、技術の発展によりヒト・モノ・カネの動きは世界規模になり、文化や情報が国や地域を超えて行き来するようになった。

このグローバル化に伴い、どんどん進化していく都市部と取り残されている地方の格差はますます広がっている。しかし一方で、グローバル化の波が押し寄せながらも、伝統や文化、慣習の点から受け入れられないといった地域も存在する。そうした地域へ向け、世界規模の取り組みでありながら、その地域に合わせたものへ変化させる「グローカル」の概念が注目されはじめたのである。

また、もう一つの理由として、人口減少による国内市場の縮小があげられる。昨今は、年々人口が減少傾向にある日本では需要が見込めないとして、市場を海外に広げる企業が増加している。そこでグローカルの手段が活用できるとして、期待されているのだ。

グローカルのメリットとデメリット

グローカルのメリットとデメリット

ビジネス面で大きく注目されるグローカル。その取り組みのメリットとデメリットは、どんなものがあるだろうか。

メリット

グローカルは、先述のように海外進出の面で大きなメリットをもたらす。自社の商品やサービスを地域ごとのニーズに合わせ、需要に応えることができれば、大きな利益をもたらすことが可能となる。

また、現在はインターネットの発展によって、地方でも瞬時に情報を得ることができるが、その情報の早さに対して、商品やサービスの展開が追いついていないというジレンマを抱えている。そうした都市部と地方の格差を埋めることも期待できるだろう。

地域に寄り添った事業は受け入れられやすく、現地で長く続けることができれば、雇用を創出したり、新たな事業を展開するといった、地域と企業の双方にメリットをもたらすことが考えられる。

デメリット

グローカルにおいて最大のデメリットが、「カントリーリスク」である。これは、対象国が政治的、経済的、社会的に不安定な状況に陥ることで、損失を被ることだ。近年は紛争や戦争、テロ、クーデターなどにより、不安定な世界情勢が続いている。経済状況によっては、その国で急激なインフレや通貨、株価の大暴落が引き起こされることも考えられる。

また、世界的な感染症の流行によって経済が止まってしまったことは記憶にも新しいだろう。昨今は自然災害も大型化し、地域によっては経済的に大打撃を受けるところもある。こうしたリスクは予測がつきにくく、海外展開を行う上で慎重に判断しなければならない。

企業のグローカル取り組み事例

日本

イオンモール株式会社

全国に商業施設を展開するイオンモールは、その範囲を日本国内だけではなくアジア地域にも広げている。2000年代に中国へ進出し、成長性が期待される内陸部を中心に20以上出店。日本で培ったノウハウをベースに、定期的に売り場を見直すなどのリニューアルを行っている。

また、アセアン地域(ベトナム・カンボジア・インドネシア)には、2014年のベトナム出店を皮切りにおよそ20店舗を展開。特定の地域に集中して出店するドミナント戦略によって、地域経済の活性化に繋げている。

アイリスオーヤマ

アイリスオーヤマは仙台市を拠点としながら、商品の全国展開を行っている会社だ。その顧客はアジアや欧米など世界にも広がり、アイリスグループが持つ32の工場のうち、海外工場は18にのぼっている。

各工場は現地の法人が運営しており、従業員もほとんどが現地採用である。こうすることで、日本だけでは分からなかった現地の顧客のニーズに沿った提案や開発を行うことができる。

地方でもグローバルな事業展開が行えるというモデルともなっており、仙台市と提携しながら脱炭素化や防災環境都市づくりなど、様々な分野で事業を拡大している。

海外

IKEA

スウェーデン発祥のIKEAは、1970年代に日本に出店している。しかし、欧米向けの商品展開であったため日本のニーズに合わず、一度撤退することになった。

その後2006年に再度出店する際には、徹底的に日本市場を分析している。日本の家屋の間取りを研究し、サイズや仕様を細かく設定することで日本の暮らしにマッチした商品開発を行い、2度目の日本進出は大成功を収めた。

また、IKEAでは独自に家に関するアンケートを実施。各国の暮らしを分析し、国や地域にマッチした提案を行っている。

マクドナルド

第二次世界大戦にアメリカで誕生したマクドナルドは、今や誰もが知る世界的な大企業だ。そんなマクドナルドのハンバーガーは、現地のニーズに合わせて様々な素材や味を使ったメニューが多数存在し、サイズも国によって変化させている。日本の「てりやきバーガー」はその一例だ。

他にもイタリアではパンチェッタ、イスラム圏では牛肉を使用しないなど、各地域の食文化や宗教に合わせたメニューを展開する。サイドメニューでも、シンガポールではジャスミンティー、スペインではガスパチョ、ブラジルではアップルパイではなくバナナパイが購入できる。

マクドナルドがこれほど世界的な企業へ成長した背景には、現地の文化を取り入れたグローカル戦略があるといえるだろう。

グローカルの課題点

グローカルの課題点

グローカルの課題は、グローカルに対応できる人材の確保および育成である。海外情勢はもちろん、対象地の地場産業や言葉、文化、習慣などを理解し、良好なコミュニケーションを築くことが求められる。また、その地域でどのように展開したら受け入れられるかといった、マーケティング力も必要になる。地域の魅力を発見したり、課題を解決する案を考案し、さらにそれらの情報を発信する能力も重要だ。

そうした人材を確保するのは難しく、育成にも時間やコストがかかるため、長期的な取り組みが必要になるという面は大きな課題点となる。

こうした状況を受け、グローカル人材を育成するプログラムを行う地域や大学も増えている。

まとめ

急速に発展するグローバル社会において、地球規模でありながら「地域に寄り添う」というグローカルは重要な考え方である。今や政治や経済だけでなく、文化や価値観も国境を越える時代だ。グローバル社会によって世界が交わる上で大切なのは、お互いに尊重しあうことである。

多様性」の重要性が叫ばれるように、相手の国や地域の慣習に敬意を払ったり、理解に努めようとすることで、健全なグローバル社会が形成されていく。その過程において、グローカルは重要な役目を果たすだろう。

Edited by k.fukuda

参考サイト

イオンモール
IKEA--家での暮らしに喜びを
「グローカル化時代」におけるグローバル都市のネットワーク|宮町良広
グローバル研究を超えて ―グローカル研究の構想と今日的意義について―|上杉富之
アイリスオーヤマ、グローカル企業として脱炭素や防災 アイリスオーヤマ、強さを生み出す5つの力(7)|日本経済新聞
平等、人権のすべては家から始まる――イケアが日本で産官学のコラボアクションを進めるわけとは |Sustainable Brands Japan
若者がワクワクする社会を創る。|グローカルセンター

About the Writer
秋吉紗花

秋吉 紗花

大学では日本文学を専攻し、常々「人が善く生きるとは何か」について考えている。哲学、歴史を学ぶことが好き。食べることも大好きで、一次産業や食品ロス問題にも関心を持つ。さまざまな事例から、現代を生きるヒントを見出せるような記事を執筆していきたい。この人が書いた記事の一覧

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