つなぎ合わせることで生まれる。minä perhonenが紡ぐ再生のデザイン

minä perhonenの服づくりに、「余り」はほとんど存在しない。制作の過程で生まれるハギレや端布は、捨てられることなく次の素材として生かされてきた。小さな布片をつなぎ合わせる行為は、再利用を超え、時間や記憶、手仕事の痕跡を編み直すことでもある。本記事では、その思想から再生を前提としたデザインのあり方を探る。

布の切れ端は、本当に「余り」なのか

服づくりの現場では、どれほど丁寧に設計されたパターンであっても、必ず布の切れ端やハギレが生まれる。型紙の外に残った布片は、完成した服の背後で「余り」と呼ばれ、役目を終えたものとして扱われることが多い。大量生産を前提としたファッション産業において、それはごく当たり前の風景だ。

一方でminä perhonenのものづくりにおいて、そうした布の切れ端は最初から廃棄の対象として位置づけられていない。そこにあるのは、資源を無駄にしないという実利的な判断だけではなく、素材そのものに向けられたまなざしだ。

一枚の布は、デザインされ、織られ、染められ、多くの工程と人の手を経て生まれている。その背景ごと引き受けるように、minä perhonenは小さな布片にも意味を見出してきた。「余り」とは、視点によって生まれる言葉なのかもしれない。そう問いかける姿勢が、ブランドの服づくりの根底に流れている。


エシカルファッションとは

捨てずに編み直す、minä perhonenのものづくり

minä perhonenでは、制作の過程で生まれた端布やハギレを保管し、再び素材として活用する取り組みが継続的に行われてきた。異なるコレクションで使われた布、色や柄、大きさもばらばらな布片が集められ、再構成されることで、新たなテキスタイルやプロダクトへと姿を変えていく。

たとえば、過去のテキスタイルを細かく裁断し、つなぎ合わせることで生まれるパッチワーク的な表現は、minä perhonenの象徴的なデザインの一つだ。そこでは、同じ柄を揃えることよりも、異なる布同士が隣り合うことで生まれるリズムや奥行きが大切にされている。

こうした再構成の工程は、あらかじめ完成形を厳密に決めるのではなく、素材の状態や組み合わせを見極めながら進められる。不揃いな布片をどう配置するか、どこでつなぐかといった判断の積み重ねが、最終的な表情をかたちづくっていく。その過程には、効率よりも対話に近い時間が流れている。

再び命を吹き込まれた布には、過去のコレクションの記憶や時間の層が重なっている。新しいプロダクトでありながら、どこかに「かつて」の痕跡を宿すその佇まいは、単なる再利用とは異なる価値を生み出している。捨てることを前提にしないからこそ、編み直すという創造的な選択肢が立ち上がる。minä perhonenのものづくりは、その可能性を静かに示している。


サーキュラーデザイン

循環を前提にしたデザインの可能性

minä perhonenの実践が示しているのは、循環を「特別な取り組み」や「付加価値」として掲げるのではなく、創作の前提条件として組み込むという考え方だ。素材は使い切られ、引き継がれ、形を変えながら生き続ける。その時間軸の中で、服づくりが行われている。

この姿勢は、近年注目されるサステナブルファッションや循環型デザインの文脈とも重なるが、理念先行ではない点に特徴がある。環境配慮を目的化するのではなく、「つくり続けるために、どうあるべきか」という問いへの一つの答えとして、結果的に循環が生まれている。

布の切れ端を「余り」と呼ぶのか、「次の素材」と捉えるのか。その認識の違いは、デザインのあり方だけでなく、私たちの消費や選択の視点にも影響を与える。minä perhonenの服づくりは、断片をつなぎ合わせながら、ものづくりの未来に静かな示唆を投げかけている。

Edited by k.fukuda

参考サイト

minä perhonen 公式サイト|minä perhonen
Collection|minä perhonen

本記事は、特集「物語をまとう——つくる人、着る人、つながる世界」に収録されている。布や色の奥に重なる時間や人の気配。世界とのつながりを形づくるその輪郭に、静かに目を凝らしてみたい。ほかの記事もあわせて、より多角的な視点を見つけよう。

つなぎ合わせることで生まれる。minä perhonenが紡ぐ再生のデザイン
つなぎ合わせることで生まれる。minä perhonenが紡ぐ再生のデザイン
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About the Writer
Kie Fukuda

k.fukuda

大学で国際コミュニケーション学を専攻。これまで世界60か国をバックパッカーとして旅してきた。多様な価値観や考え方に触れ、固定観念を持たないように心がけている。関心のあるテーマは、ウェルビーイング、地方創生、多様性、食。趣味は、旅、サッカー観戦、読書、ウクレレ。この人が書いた記事の一覧

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