エコビレッジとは?特徴や注目される背景、世界の実例などを紹介

エコビレッジとは?特徴や注目される背景、世界の実例などを紹介

エコビレッジとは

エコビレッジとは、自然への負担が少なく、人々が互いに助け合う環境を作ろうとする小規模コミュニティのことだ。ただし、エコビレッジという言葉に明確な定義があるわけではなく、世界各地で様々な形のエコビレッジが作られている。

エコビレッジを作るうえでの一番の目的は、「持続可能であること」だ。2015年に国連で採択されたSDGsは、今や私たちの生活の中に根づき、「サステナブル(=持続可能)」はこれからの未来を語るうえで欠かせないキーワードとなっている。

SDGsを達成するためには、「人と自然の共存」「人と人との公平な関わり合い」「誰も取り残さない世界」をどのように実現していくか、ということに真剣に向き合わなければならない。こうした世界の動きの中で、それを体現しているかのようなエコビレッジという存在に注目が集まっている。

エコビレッジが発展した背景

エコビレッジが発展した背景

近代以降、工業化した社会は、このわずか100年ほどの間で多くのエネルギーを消費してきた。そのゆがみは、大型化する災害や食物の不作、異常気象などで私たちの肌で感じられるほど顕在化している。また、産業発展のために効率化を求め、IT技術が急速に発達し、インターネットが誕生する。SNSなどがさらに進化した結果、365日24時間いつでも連絡がとれたり仕事ができるようになったが、一方で人々が顔を合わせる機会は減少し、人間関係の希薄化に拍車をかけている面も問題視されている。

そんな現代社会で注目されているエコビレッジだが、実はその歴史は古い。

1970年代の欧米では、すでに環境とエネルギーの問題について議論されており、環境に負荷をかけない暮らしが模索されていた。このことから「エコロジカルな村」というのが形成されはじめ、さらに環境面だけではなく、人々の交流も健全に行われるような住環境の必要性が見出されるようになった。

この風潮に対し、熱心に取り組んでいたのがデンマークだ。デンマークでは1960年代後半に、エコビレッジの先駆けとなったコモンハウジング運動がおこっている。これは共有スペースを有する住居のことで、現在北欧では一般的な都市住宅の一つとして発展し、エコビレッジにも繋がっているものだ。

こうして世界に広まっていったエコビレッジづくりだが、世界的な交流は、1990年代にデンマークでGlobal Ecovillage Network(以下、GEN)が立ち上がったことがきっかけで始まったとされる。

エコビレッジの特徴

エコビレッジの特徴

明確な定義はないエコビレッジだが、GENジャパンはエコビレッジのことをこう定義している。

エコビレッジとは、地元の人々の参加型プロセスを通じて、再生の4つの分野(社会、文化=世界観、エコロジー、経済、全体のシステムデザイン)の道筋を意識的にデザインしている意図的なコミュニティで、美しい代替案と革新的なソリューションを開拓する生きた実験室です。

引用元: About us|Global Ecovillage Network Japan

これをもとに考えると、各地で形成されるエコビレッジには以下のような共通点があるといえるだろう。

自給自足の生活

エコビレッジでは、野菜や穀物など食べるものは可能な限り自分たちで作っている。基本的には田畑を耕し、農薬をできるだけ使わない有機栽培や自然栽培を行ったり、木の実などを採集したりしながら自然に負担をかけないような生活を目指している。

再生可能エネルギーの利用

自然に負担をかけないというのは、もちろんエネルギー分野でも同様だ。太陽光や水力、風力などで発電するほか、微生物によって排泄物を分解するコンポストトイレや、雨水や排水を雑用水として再利用する、廃棄物や未使用資材を燃料にするなど、様々な工夫で生活インフラを整えている。

助け合いコミュニティの形成

人々は採れた食物を分け合ったり、作業を共同で行ったりと、お互いに助け合いながらコミュニティを形成していく。また、エコビレッジに関する意思決定は、一人ひとりの意見を尊重しながら話し合われ、すべての住民が参加できるような運営になるよう努めている。

地域経済の活性

自給自足分にプラスして生産することで稼ぎを生み出すことで、地域の財政を黒字にしているエコビレッジも多数存在する。できるだけその地域で経済が回るように取り組み、地域経済を活性化させることで、さらにその地域が盛り上がるという好循環が生まれている。また、物々交換で生計を立てたり、地域通貨を活用しているところもあるという。

エコビレッジの取り組み事例

世界中に広がるエコビレッジ。各代表者には様々な思いがあり、それぞれユニークな取り組みを行っている。国内外での事例をみてみよう。

日本

福島県「Dana Village」

Dana Villageは、「すべてのいのちが響き合う社会づくり」をテーマとし、福島県西会津町安座地区の小学校の旧分校で活動しているエコビレッジだ。Dana Villageが掲げるホリスティックとは、「全体性」を意味するギリシャ語“Holos”を語源とする言葉である。(※1)

併設農場で野菜を作り、空気、水、土壌など自然を循環させながら共存していく農的な暮らしや、多国籍な中で公平性のあるコミュニティを実現させている様は、まさに地球上の「すべて」が調和した社会そのものだ。

熊本県「三角エコビレッジ サイハテ」

サイハテは、1万坪もの広い土地を有するエコビレッジだ。東日本大震災がおこった2011年の11月11日に開村し、「暮らしの大転換期」に向けた、新しい暮らしの土台作りを行っている。

サイハテの特徴は、現代社会に背を向けるのではなく、むしろ現代人に受け入れられるようなオルタナティブ文化を模索していることだ。ルールやリーダーはなく、調和や人を思いやる心を信じて、型破りなコンセプトを打ち出している。

海外

デンマーク「ムンクスゴー」

デンマークの首都コペンハーゲンから25km離れたロスキレ市にあるムンクスゴーは、世界で最も古いエコビレッジだ。

ムンクスゴーの特徴は、年代の近い人と気兼ねなく交流を図れるようにとの理由から、居住区間が年代別になっていることである。また、住民全員が集まることのできるコモンハウスも設置され、自然なコミュニケーションをとれるような工夫がなされている。

スコットランド「フィンドホーン」

自然豊かなスコットランドらしく森林、海、そして砂丘に囲まれたフィンドホーンは、スピリチュアルを軸に暮らすエコビレッジだ。1962年に創始者がこの地に移り住んだことがきっかけでスタートし、60年以上経過した今では毎年およそ70ヵ国から1万4000人以上が訪れるという。

スピリチュアルといっても、住民や訪れる人は様々な宗教観を持ち合わせており、精神、文化、経済、環境の4つの面から持続可能な村づくりが行われている。

エコビレッジの課題点

エコビレッジの課題点

エコビレッジの課題は、メリットでもある「自然と共存した暮らし」がマイナスに働くこともあるという点だ。例えば、天候によっては発電ができなくなったり、農作物が不作になることも起こり得る。

また、収入源の確保や資金の調達など経済的な課題も多く、続けることが困難となる可能性も考えられるだろう。

意見の不一致や、恋愛問題など人間関係のトラブルが起こった場合、どのように解決していくかも予め考えておく必要があり、状況に応じて柔軟に対処することも求められる。

成熟した現代文明から離れた理想的な暮らしとされることも多いが、完全に切り離すことは難しく、どこまで許容するかしっかりとした目的、方向性を共有することが重要だ。

まとめ

自然とともに、ニュートラルな人間関係の中で暮らすエコビレッジ。明確な定義はないものの、総じて「持続可能であること」を共通の概念として、世界中で様々なエコビレッジが生まれている。

土を耕して種から食物を育てたり、様々なバックグラウンドを持つ人々と暮らし、良好な人間関係を築いたりすることは途方もない時間と労力がかかる。しかしこうした生活は、スピーディーで合理化や効率化を重視した現代、資本主義のもと築かれてきた競争社会で忘れさられた、人間本来の暮らしを思い出させてくれる。

エコビレッジを一度訪れてみると、自分の中の固定観念が崩れされ、新たな価値観が生み出されるかもしれない。

Edited by k.fukuda

注解・参考サイト

注解

(※1)ホリスティックとは | NPO法人 日本ホリスティック医学協会

参考サイト

Dana Village
三角エコビレッジ SAIHATE
Welcome to the website of Munksøgårds.
Findhorn Foundation
Ecovillage |Global Ecovillage Network Japan
「エコビレッジ」とは |北海道エコビレッジ推進プロジェクトWEBサイト
パーマカルチャー・エコビレッジ・バイオリージョンリズム|糸長浩司

About the Writer
秋吉紗花

秋吉 紗花

大学では日本文学を専攻し、常々「人が善く生きるとは何か」について考えている。哲学、歴史を学ぶことが好き。食べることも大好きで、一次産業や食品ロス問題にも関心を持つ。さまざまな事例から、現代を生きるヒントを見出せるような記事を執筆していきたい。この人が書いた記事の一覧

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