JOMOとは
JOMO(ジョーモ)とは、“Joy Of Missing Out”を略した言葉である。これは直訳すると「取り残される喜び」という意味で、常に何かしらの情報源と繋がっていなければならないという観念から解放され、目の前のことを純粋に楽しめる喜びを示している。
インターネットが発展した現代社会は、手軽に情報を得ることができるようになり、常にたくさんの情報に囲まれる状況で暮らしている人も多いだろう。しかし、初めは「最新情報を簡単に得られる」という点で便利に思っていたものの、それが徐々に「常に最新情報をチェックしなければ、周囲から置いていかれる」「こうしている間に他の人よりチャンスを逃すのではないか」という、強迫観念にも似た不安や焦燥感に駆られるようになっていく人が増加したのだ。
FOMOからJOMOへの変化
このような状況下で生まれたのが、FOMO(フォーモ)である。これは“Fear Of Missing Out”を略した言葉で、「取り残される恐れ」という意味だ。FOMOは、インターネットが一般市民の生活に広がりつつあった2000年代初めに生まれたとされる概念である。
その後2010年代に入り、ソーシャルメディアが発展してくると、常に何かしらの情報に触れていなければならない状態からの脱却を望む人たちが現れる。そんな中で、起業家のアニル・ダッシュが自身のブログで新たにJOMOについて投稿したことをきっかけとして、この概念は広まったとされる。
JOMOが注目される背景
SNS上の繋がりや人間関係に疲れたり、インターネット上にある誹謗中傷をはじめとしたネガティブな言葉などから離れるため、昨今では「デジタルデトックス」という行為が注目を浴びている。また、真偽不明の情報に溢れているネット世界では、それらに踊らされ、フェイクニュースなどに混乱する人も少なくない。
このような環境でJOMOが注目されているのは、情報を意図的に遮断することで、むしろ見逃すことが喜びになり、目の前のことを楽しもうする人々が増加しているからといえる。
SNSによる不安症の増加
SNSにおける不安症は、FOMOだけではない。中にはFOMOの影響でさらに深刻な症状が生じることもある。これらは「SNS不安症」と呼ぶこともでき、間違いなく現代社会における喫緊の課題ともいえる。
MOMO
FOMOがさらに進んでしまった状態のこと。“Mystery of Missing Out”の略で、友人や周りの人がSNSを投稿しないこと、もしくは連絡が取れないことに不安を感じたり、「自分が疎外されているのではないか」というような妄想を広げてしまう心理状態のことをいう。
FOJI
“Fear Of Joining In”(参加することへの恐怖)の略で、SNS上で誰とも繋がりたくないという想いから、アカウントを消したり投稿を控えたりする心理状態のことをいう。MOMOとは反義語として使われることが多い。
BROMO
友人(ブロス)が取り残される不安を感じないように、自身のSNSの投稿を控える心理状態のこと。他者を気遣う気持ちから生まれたものであるが、一方で必要以上に気を遣いすぎてしまうという面も持つ。
ウェルビーイングに必要な考え方
現代人が1日で受け取る情報量は、江戸時代の1年分、平安時代の一生分ともいわれるほど多い。その上、社会の進化や生活スピードが速すぎることも要因となって、メンタルヘルスに問題を抱えている人が大幅に増加している。
そこで、ウェルビーイングを重要視する人々が年々増えているという。ウェルビーイングというのは個人も社会も満たされている状態のことだ。JOMOという概念は、インターネットの悪い面に影響を受けた個人や社会の価値観を一変させ、むしろ情報を減らすことで、まずは個人の心が満たされていくのではないかと期待される。
JOMOによって得られること

FOMOから脱してJOMOが実現すると、以下のような感覚を得ることがある。
- 家族や友人と、オフラインの会話やアクティビティを楽しめる
- SNSなどのソーシャルメディアを使用していないことを、むしろ誇らしく思える
- ソーシャルメディアの更新に気を取られず、目の前のことに集中できる
SNSの投稿は、そのほとんどは良い面を切り取っただけであるにもかかわらず、「自分はこんな体験をしていない」と得体の知れない焦燥感に駆られることがある。その結果、人よりも多く情報を得ようとし、ますます取り残される恐怖にはまってしまうのだ。
しかし一旦、意識的に情報を断ち切ってしまえば、SNSやインターネットの世界に囚われていた自分に気付くことができるだろう。
JOMOを実践するために

JOMOという概念を取り入れるには、いくつかのポイントがある。これらを意識することで、だんだんとFOMOからJOMOへ移行していく感覚が得られるだろう。
デジタルの利用時間を制限する
自分が一日の中で、どれだけスマートフォンに触れているか知っている人は少ない。そのため実際に計測してみると、想像以上に触れていることに驚くかもしれない。少し調べものをしようとしただけなのに、気が付いたらSNSのアイコンをタップしていたというのは、多くの人が経験していることだろう。まずはSNSを見る時間を決め、タイマーなどを使って制限することから始めてみよう。
身体を動かす時間を持つ
ソファーやベッドに寝転がったり、椅子や床に座ったりすると、ついスマートフォンに手が伸びてしまう。そんなときは水回りを丁寧に掃除する、部屋を片づけるなど、意図的に身体を動かしてみることが大切だ。
また、トレーニングや散歩、休日にスポーツサークルに参加するなど、適度に運動をすることも効果的である。
ジャーナリングをする
ジャーナリングとは、自分の頭に浮かんだことをそのまま書き出す行為のこと。「書く瞑想」ともいわれ、ネガティブ/ポジティブは問わず、とにかく今感じたことを書き出すのが特徴だ。SNSやインターネットを利用している際の漠然とした不安を可視化することで、その原因を突き止め、対策を考えられるようになる。
SNSアカウントをログアウトする
いよいよSNSなどのソーシャルメディアから離れることを決意したら、勢いでアカウントを削除したくなるかもしれない。しかし、その前に一旦ログアウトを行ってみよう。削除したものの、後悔したりリバウンドする可能性もあるからだ。
また削除するというのは実際かなり心理的なハードルが高く、躊躇することもある。一方、ログアウトであれば一定期間のお試しとして気軽に距離を置くことができる。
JOMOの注意点
JOMOを目指すにあたって、情報を遮断することが本当に問題ないのか、疑問に感じることがあるかもしれない。例えば、社会を震撼させる大きな事件や事故、災害など、瞬時にほしい情報もあるだろう。
しかし、これらの「情報」は、FOMOなどでいわれる「情報」と根本的に性質が異なっている。SNS上にある情報には、消費活動を促す宣伝であったり、虚栄心や自己顕示欲から投稿されたものも多い。一切の情報を断ち切ることに不安を感じる場合は、正確で質のいい情報を提供してくれるものだけをフォローするなど、自分なりの対策を考えてみよう。
また、多くのアプリで災害や事件、事故の情報のみを通知するという設定が可能だ。それらの情報はテレビやラジオ、新聞などのオールドメディアから得ることもできる。様々な媒体を活用し、デジタルだけに頼らないようにすることがJOMOの実践にはとても重要だ。
まとめ
現代は、社会全体でデジタル依存してしまっているといっても過言ではないだろう。もちろんインターネットは適度に付き合うことができれば決して悪いものではなく、私たちの生活を便利で豊かにしてくれるものだ。デジタルの発展によって、これまで大きな労力を強いられてきたものが、格段に楽になるなど、歓迎すべき点も多々ある。
しかし、それらのメリットはデジタル社会と適切な距離を保ってこそ、受けられるものである。特に、誰もが簡単に発信できるようになった今、メディアリテラシーを身につけ、情報の取捨選択を行うことがとても大切だ。
自分の心を喜ばせ、より楽しい人生を送るために、時にはデジタル世界との接続を遮断することも必要になるだろう。
【参考サイト】
JOMO!|Anil Dash
FOMO and Social Media|Caterina.net
JOMO: The Joy of Missing Out | Psychology Today
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