フィーカ(Fika)とは?スウェーデンの伝統文化「息抜きする時間」から学ぶウェルビーイング

フィーカ(Fika)とは

フィーカとは、「仲間と一緒に甘いお菓子とコーヒーを楽しむ」というスウェーデンの伝統文化である。フィーカはスウェーデン語でコーヒーを意味する「kaffi」が語源と言われており、コーヒーと甘いお菓子を用意して家族や友人だけでなく職場の仲間と交流しながら過ごす時間を大切にする。

スウェーデンでは多くの企業が午前10時と午後3時に、15分ほどのフィーカを取り入れている。フィーカの時間は仕事の手を止め、同僚たちと交流しながらリラックスした時間を過ごすことができる。

フィーカのルーツ

フィーカは1930年代に流行していたスウェーデン文化「カフェレープ」から始まったと言われている。当時スウェーデンでは女性のほとんどが専業主婦だったため、女性だけでお菓子を持ち寄って家事や育児の息抜きをしていたという。しかし、カフェレープは現代のフィーカとはかけ離れたものであった。お菓子やコーヒーよりも高価な調度品に重きを置き、正装での参加が求められたり、夫の社会的地位で座る順番が決められていた。女性の社会進出など社会の変化を経て、現在のリラックスした雰囲気を楽しむフィーカの形へと変わっていったのである。

スウェーデンの風土とフィーカ

スウェーデンでは冬が長く、気候もどんよりとした曇りの日が多いため、日光を浴びる時間が年間を通じて相対的に少ない。そのため家にこもりがちになり、こうした環境下では心身ともに落ち込みやすくなるが、フィーカは、外に出るきっかけや人と交流する機会を生み、孤独感の軽減にも貢献する。また、晴れた日には多くの人が外に出て、日光を浴びながらゆっくりフィーカの時を過ごしている姿がみられるという。

ちなみに、2021年のスウェーデンの一人当たりのコーヒー消費量は世界3位である。年間で一人当たりの消費が約9.1kgと、日本の約3.4kgと比べると2.5倍ほども多く、慣習的によく飲まれていることがわかる。

ヒュッゲ(Hygge)との違い

スウェーデンのフィーカ以外にも、北欧諸国には日常の暮らしのなかでゆっくりとした時間を過ごす考えがあり、デンマークの「ヒュッゲ(Hygge)」にも共通するものがある。

ヒュッゲは暮らしを豊かにするための行動の定義が幅広く、読書や芸術鑑賞、散歩、サイクリングなど心身共にリラックスして過ごすこと全般を指している。フィーカは、行動としては「仲間と一緒に甘いお菓子とコーヒーを楽しむ」に限定されるが、居心地の良い空間にいることや大切な人と過ごすことはヒュッゲと考え方は変わらないだろう。

フィーカタイムの過ごし方

フィーカタイムの過ごし方

フィーカタイムに基本的に必要なものは、「コーヒーとお菓子と談笑する仲間」である。さらにテーブルウェアの用意もあると、より充実した時間を過ごせる。

コーヒーと相性のよい甘いお菓子を用意する

フィーカではコーヒーと甘いお菓子は必須である。北欧菓子はフランス菓子のような華やかなスイーツとは異なり、味も見た目も素朴なお菓子が多く子どもから大人まで幅広い世代に愛されている。

北欧で定番のバターとシナモンがたっぷりのシナモンロールのほかに、スウェーデンの伝統的なお菓子「プリンセスケーキ」も人気である。表面は緑色のマジパンで覆われており、中には生クリーム、カスタードクリーム、ベリーのジャムなど異なる甘さが重なった特別な味わいのスイーツだ。日本でもコーヒーのセットとしてイメージしやすいクッキーは、現地では「小さなお菓子」と呼ばれ、多くのカフェや洋菓子屋さんで販売されている。

基本は甘いお菓子を用意することが多いが、厳密に定義づけられているわけではないため、サンドイッチなどの軽食が選ばれることもある。子どもやコーヒーが飲めない大人はレモネードなどを飲んだり、柔軟性を持って親しまれている。

仲間たちとの談笑を楽しむ

フィーカに大切なのはコーヒーと甘いお菓子だけではない。仲間との交流を楽しむことが重要である。フィーカはスウェーデンの企業では慣習化されており、職場の仲間とコミュニケーションをとる時間として、仕事をする時間とははっきり分けてリラックスした時間を過ごしている。そのため、スウェーデンではフィーカタイム中は、オフィスやお店の電話はほとんどつながらないのだそう。

日本の職場では休憩の時間が取りづらかったりタスクに追われたりして、仕事をしながらコーヒーやお菓子を口にすることもあるだろう。これでは完璧にリフレッシュするのは難しく、業務以外での交流も生まれにくい。仕事の手を止めて、仕事場とは少し離れた場所で過ごすことで、仕事と息抜きのメリハリをつけて効率よく仕事ができるメリットもある。

テーブルウェアにこだわる

フィーカは素敵なお菓子やこだわりのコーヒーが並ぶ時間でもあり、器やカップにこだわって揃える人も多い。フィーカのような時間が取れなくてもまずは形から入ってみるのも一つの手段だろう。北欧の食器で揃えてみたり、好みの絵柄のカップやクロスを用意してみることもよいかもしれない。

日本の導入企業

イケアジャパン

スウェーデンに本社を置くイケアの日本法人イケア・ジャパンでは、毎週金曜日の15時に社員が集まりフィーカをする。イケアが販売するお菓子や手づくりデザートとともに、20分ほど世間話などを楽しむ機会が用意されているのだ。スウェーデン企業では慣習となっているフィーカを日本でも忠実に実践している。

エスケイワード 

翻訳サービスやWebサイト制作を手掛けるエスケイワードは、業務の合間にフィーカを導入している。本場のフィーカと同じく、15分程デスクを離れてコーヒーと甘いお菓子で職場のメンバーと談笑を楽しむ。コロナ禍を通して雑談で生まれるアイデアや、会話をすることでお互いの人となりを知ることの大切さを知ったことが、フィーカを取り入れるきっかけになったようだ。

福井県庁

福井県庁では、部署の垣根を超えて同年代、子育て中、管理職など様々な共通点で職員同士が繋がり、リラックスした雰囲気の中で意見交換や情報交換ができる場を提供している。この結果、キャリアや家庭との両立に関する不安を解消し、職員同士で応援し合う風土を築き上げることに成功した。

まとめ

スウェーデンの伝統文化であるフィーカは、ウェルビーイングへの関心の高まりに伴って日本でも注目を集めている。仕事や家事などで張り詰めた心身の緊張を意識的にほぐすために、フィーカ時間は有効な手段となり得る。また、職場の仲間や友達と他愛もない話をしながらリラックスできる時間が文化的に認められていることも、健康なコミュニティをつくるために重要となりそうだ。

コーヒーとお菓子、そして談笑する仲間。フィーカの実践によって、私たち現代人が抱える心身の不調や人間関係の不和を簡単に取り除けるかもしれない。

【参考記事】
スウェーデンのコーヒーブレイク、FIKA(フィーカ)とは?|COFFEE TOWN
Ska vi fika?/スカ ヴィ フィーカ? (お茶をしませんか?)|スウェーデンハウス
世界の一人当たりコーヒー消費量|全日本コーヒー協会
イケアが毎週金曜日、「お茶会」を開く理由|日経ビジネス
「フィーカ」で交流の機会を増やそう!甘いスウェーデンの文化を取り入れてみました。|株式会社エスケイワード
福井県庁fika(フィーカ)について|福井県

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