ゼロウェイストとは? 定義や背景、自治体や企業の取り組みを解説

ゼロウェイストとは? 定義や背景、自治体や企業の取り組みを解説

ゼロ・ウェイストとは?

ゼロ・ウェイスト(zero waste)とは、ゴミをゼロにすることを目指す取り組みや考え方のこと。ゼロウェイスト国際連合(ZWIA)は、廃棄物を焼却や埋め立て処理することなく、再利用や修理によって資源を保護することを「ゴミを出さないこと」と定義している。これまでの大量生産・大量廃棄社会から脱し、有限な資源を循環させるため、世界中でさまざまな取り組みが行われている。

ゼロウェイスト達成に向けては、生産・購買・廃棄のいずれの段階においても、ゴミの削減を目指す必要がある。ゴミを出さない商品設計、必要分に限った買い物、資源回収の利用や堆肥化など、生産者と消費者の双方の努力が欠かせない。


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ゼロウェイストが注目される背景

世界中でゼロウェイストが注目される背景としては、ゴミ問題の深刻化が挙げられる。

イギリスのVerisk Maplecroft社の発表によると、世界で毎年約21億トンもの家庭ゴミが排出されている一方、このうちリサイクルされているのはわずか16%である。

また、環境省の発表によると、日本における2021年度の家庭ゴミの総排出量は4,095万トンで1人1日あたり890グラムのゴミを排出していることになる。

このように世界中で大量のゴミがあふれ返る中、埋め立て場所の不足や環境や人体への悪影響が大きな問題となっている。

特に、プラスチックゴミの問題は早急に対処すべき課題として捉えられている。街中から大量のプラスチックゴミが海に流れ込んでおり、2050年には魚より海洋ゴミの量のほうが多くなると言われているほどだ。そのような海洋に流れ込むプラスチックを、魚が飲み込んでしまうなど海洋生物へのダメージを与えている。更に、その魚を私たちは知らないうちに口にしている可能性もあり、人体への影響も心配される。

そのため、人間を含む全ての生物が安全に生きていくためには、今すぐゴミ問題と向き合っていく必要がある。ゼロウェイストを目指すことは単なる流行ではなく、私たちの暮らしや他の生命体の存続、地球の環境のために取り組まなくてはいけないことと言えるだろう。


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ゼロウェイストを目指す都市

ゼロウェイストへの取り組みを行っている代表的な都市として、以下3都市を見てみよう。

徳島県上勝町

2003年に日本初の「ゼロウェイスト宣言」を行い、以降町全体でゼロウェイストの仕組みづくりを進めている。

そんな上勝町にゴミ収集車は存在しないため、町内唯一のゴミステーションまで住民自らの手で廃棄物を運び込み、そこでゴミを13種類45分別することを求めている。また、希望者への布おむつの進呈や、不用品交換の場「くるくるショップ」の運営など、ゼロウェイストを目指した取り組みが積極的に行われている。

その結果、2016年にはリサイクル率が80%を超えた。日本全体のリサイクル率が20%ほどであることを踏まえると、驚異的な数字と言える。

イタリア カパンノリ

ゴミ焼却炉建設計画への反対運動をきっかけとして、2007年EU初の「ゼロウェイスト宣言」を行い、2020年までにゴミの埋め立てをゼロとすることを約束した。

ゴミを捨てる分課金する「Pay as you throw」政策や、量り売りを行う地元の商店などに対しての減税措置、再生できないゴミを「ブラックリスト」にして示すなど、ユニークな取り組みを行っている。2010年に開設したヨーロッパ初のゼロウェイスト研究センターでは、企業と製品のリデザインに向けての話し合いや、裁縫や家具の布張りなどアップサイクルに必要な技術の訓練も実施している。

ゴミを削減するだけでなく、大幅な経費削減にも成功しているカパンノリのゼロウェイスト戦略に対しては、ヨーロッパを中心に多くの自治体が熱い視線を注いでいる。

アメリカ サンフランシスコ

2003年に「ゼロウェイスト目標」を設定し、2020年までにゼロウェイストを達成することを誓った。2007年に、アメリカではじめて堆肥化できない使い捨て容器の使用を禁止し、2019年にはサンフランシスコ国際空港にてペットボトル入りの飲料水の販売を禁止するなど、積極的な政策を打ち出している。

その結果、埋め立て処理されるゴミを80%削減するまでに至っており、ゼロウェイストの先進都市として国際的に認識されている。2020年までのゼロウェイストは実現できなかったが、2030年に達成するために継続的に取り組みが行われている。


他にも、オーストラリアのキャンベラやニュージーランドのオークランド、福岡県大木町など世界中の多くの都市がゼロウェイストを目指した取り組みを進めている。収集システムの構築やルールの制定など、街をあげてゴミ問題に向き合うことがゼロウェイスト達成には必要となる。既にゼロウェイストに向けて大きく前進している都市に倣って、他の多くの都市がゴミ削減のために舵を切ることができるか注目したい。


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家庭でゼロウェイストを達成するためのポイント「5つのR」

では、家庭の中でゴミを削減したいと思った時には、どのようなことから始めるといいのだろうか。ゼロウェイストの提唱者であり、『ゼロ・ウェイスト・ホームーゴミを出さないシンプルな暮らし』の著者でもあるベア・ジョンソン氏は、5つのRを意識することでゼロウェイストな暮らしへ近づくとしている。

  • Refuse(断る)

買い物の際のレジ袋やスプーンを断ること、不要なDMの停止などが有効な手段。今まで無意識のうちにもらっていた物でも、ゴミとなりそうなものはもらわないように心掛けることが、ゼロウェイストへのファーストステップとなる。

  • Reduce(減らす)

買い物の際に、必要以上に物を買わないことも重要だ。例えば、欲しいものリストを作成することで、セールなどでの衝動的な消費を避けることができる。それにより、本当に必要なもののみを買うことにつながり、結果的にゴミとなるものを減らすことができる。

  • Reuse(再利用)

フリマアプリで洋服を購入したり、リサイクルショップで家電を購入することが挙げられる。他の人にとっては”ゴミ”となったものであっても、別の誰かにとっては価値があることも多い。そのため、価値があるものを安く手に入れることができるリユースは経済面においても優れている。

  • Recycle(再資源化)

ビン、カン、ペットボトル、古紙などを資源として排出し、新たな原料やエネルギー源として利用すること。ゴミを分別し自治体などの資源回収に持ち込むことも、リサイクル活動の一環である。しかし、リサイクルに際しては大気汚染などの環境への負担が生じることもあるため、前述のリフューズ、リデュース、リユースを優先的に行うことが望ましい。

  • Rot(堆肥化)

生ごみや落ち葉などを、微生物の働きにより発酵・分解して堆肥を作ること。家庭用コンポストを利用して、自宅でも生ごみを家庭菜園などで使う堆肥に生まれ変わらせることができる。家庭ごみの38%を生ごみが占めているので、コンポストの活用によってゴミを大幅に削減することにつながる。


この5つのRは上から順に実践を検討することが重要で、まずはゴミを家庭に持ち込まない「Refuse」の心掛けからはじめてみてはいかがだろうか。


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ゼロウェイストなくらしの実践

日々の暮らしの中でゼロウェイストを目指すための具体的な取り組みとしては、以下のようなものがある。

・マイバッグを使用する

・フリマアプリを利用する

・マイボトル・マイカトラリーを持ち歩く

・量り売りのお店を利用する

コンポストで生ゴミを減らす

・壊れたものは修理して長く使う

・浄水ポットを使用する

・シェアサービスやサブスクを利用する

生活の中からゴミを完全になくすことは難しいことかもしれない。しかし、まずは自分がどのようなゴミを出しているのか把握し、少しずつゼロウェイストな暮らしに近づくことはできるのではないだろうか。ゴミを少しでも減らし、地球の環境にも自らの心にも豊かさを生むような生活を、より多くの人が送れることを願っている。


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まとめ

ゼロウェイストへの取り組みは世界中で広まっており、社会の仕組みが構築され始め、関連商品も数多く登場している。中には、ひとつのライフスタイルやファッションとして、「ゼロウェイスト」を楽しんでいる人たちも存在する。

しかし、人によってはどうしても防げないゴミもあり、落胆することもあるかもしれない。そのような時は、ゼロにすることだけに囚われることなく、少しでもゴミを減らすことができないかということに意識を向けてみてはいかがだろうか。地球環境のためにゼロウェイストに取り組むことも素晴らしいが、ゴミを減らすことで自らの日常を少しでも気持ちのよいものにできる人が増えることを望んでいる。

Edited by k.fukuda

参考サイト

Zero Waste Definition
Waste Generation and Recycling Indices | Verisk Maplecroft
一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和3年度)について| 環境省
THE STORY OF CAPANNORI
Policies related to Zero Waste

About the Writer
Kie Fukuda

k.fukuda

大学で国際コミュニケーション学を専攻。これまで世界60か国をバックパッカーとして旅してきた。多様な価値観や考え方に触れ、固定観念を持たないように心がけている。関心のあるテーマは、ウェルビーイング、地方創生、多様性、食。趣味は、旅、サッカー観戦、読書、ウクレレ。この人が書いた記事の一覧

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