オールジェンダートイレが2024年度グッドデザイン賞を受賞。日本女子大が提案する新しい選択肢

日本女子大学は、女性用トイレと男性用トイレとは別に、アクセスしやすく、かつスタイリッシュなデザインのオールジェンダートイレを設置し、「2024年度グッドデザイン賞」を受賞した。

出典:日本女子大学

誰でも使いやすい「オールジェンダートイレ」の広まり

オールジェンダートイレとは、性別に関係なく、誰でも利用できるトイレのことだ。オールジェンダートイレを設置することで、「女性用」「男性用」とはっきり分けられたトイレを使いにくい人でも、気軽にトイレが利用できるようになった。例えば、ノンバイナリーなど、男女二つで分けられない性自認を持っている人にとっては、従来の「女性用」「男性用」トイレは使いにくい。また、トランスジェンダーの人で、身体は女性だけれど、性自認が男性の場合、女性用トイレは使いたくないけれど、男性用トイレにも入りづらい、という状況が発生する。この場合も、オールジェンダートイレなら、気軽に利用することができる。

さらには、何かしらの介助が必要な人の場合で、自分の性別とは違う介助者と一緒にトイレに入りたい場合にも、オールジェンダートイレは役立つ。介助者が異性の場合、従来の「女性用」「男性用」トイレは使いにくいが、誰でも入れるトイレなら、ふたりで入ることに抵抗がなくなるだろう。

オールジェンダートイレは、LGBTQ+コミュニティだけではなく、介助が必要な人たちからも、求められているトイレなのだ。

スウェーデンなどの福祉国家の一部の都市では、オールジェンダートイレが標準設備として整備されている。日本での認知度はまだ低いが、商業施設や学校、公共施設などで徐々に設置箇所は増えてきている。

日本女子大のオールジェンダートイレ、狙いは「選択性」

日本では、まだあまり導入が進んでいない中、日本女子大学では「選択性」をコンセプトにしたオールジェンダートイレが設置されており、2024年度グッドデザイン賞にも選ばれた。

日本女子大学のオールジェンダートイレは、2つの出入口は大きく設けてあり、「より道」する感覚で誰もが使いやすいような設計になっている。また、一つひとつの個室が広く、フィッティングボードや洗面、タッチレスのサニタリーボックスなども備えつけられている。これらのデザインのコンセプトは「選択性」で、「女性用」「男性用」「オールジェンダートイレ」の中から、自分に合ったトイレを選択的に選べる仕様になっている。

この取り組みは、同校のダイバーシティ推進基本方針に沿って実施され、誰もが充実したキャンパスライフを送ることができるような配慮の一環でもある。

今回の取り組みにおいて、設計・デザインを監修した建築デザイン学部長の佐藤克志教授は、「「女子大学」という前提条件付きですが、在校生の利用に関する抵抗感は大きく減少していることが整備前後に行った学生調査でも示されています」とコメントし、これまで女子トイレを使用することに抵抗があった人々がトイレにアクセスしやすい環境づくりにおいて一定の効果があったことを評価した。

出典:日本女子大学

オールジェンダートイレは、人々の選択肢が広がる、という利点がある。また、LGBTQ+コミュニティの人たちや、介助が必要な人たちが、心理的な安全を確保した上でトイレが利用できるというのも大きなメリットだろう。

ただ、女性のセーフスペースがなくなるケースがあるなど課題も抱えている。また、盗撮などの性犯罪の懸念から安心してトイレを使用できない人が発生してしまうのではないかと危惧する人もいる。ただ、女性のセーフスペースがなくなるケースがあるなど課題も抱えている。また、盗撮などの性犯罪の懸念から安心してトイレを使用できない人が発生してしまうのではないかと危惧する人もいる。日本女子大のオールジェンダートイレに対しても、トイレの見通しのよさが「不安」の要因ともなっていることがあるという。

今後は日本でも、さまざまな属性の人が生きやすい社会を実現する上で重要な役割を果たすことが期待されるオールジェンダートイレの導入が進んでいくように、日本の文化的・社会的背景を鑑みたうえで、よりフィットする形を模索していくことも求められそうだ。

参考記事
日本女子大学オールジェンダートイレが「2024年度グッドデザイン賞」を受賞|日本女子大学

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