ペスカタリアンとは?注目される理由やメリット・デメリットを紹介

ペスカタリアンとは

ペスカタリアンとは、野菜、卵、乳製品、豆類、穀物に加え、魚や貝類を食べ、肉・家禽(ニワトリやアヒルなど家で飼う鳥)は食べない人を指す。言葉自体は1900年代初頭に生まれ、正式名称は「ペスコ・ベジタリアン」であり、菜食主義の一種とされている。これは、イタリア語の「魚(pesce)」と「菜食主義者(vegetarian)」を組み合わせたものだ。

ペスカタリアンは、健康的な食材のみを選ぶスタイルから加工でんぷんやジャンクフードなどを選ぶスタイルまで多種多様である。肉を食べない理由としては、健康リスクの低減や環境配慮、好き嫌いなどさまざまなものがある。

ペスカタリアンの食事

ペスカタリアンの食べるもの・食べないものとしてはおもに以下の通りである。

●食べる物
・魚類
・貝類
・豆類と豆製品
・果物
・野菜
・ナッツと種子
・全粒穀物
・卵
・乳製品

食べないもの
・鶏肉/豚肉/牛肉/ラム肉
・ソーセージ
・ベーコン
・ランチミート

ヴィーガンやベジタリアンとの違い

ここでは、ペスカタリアンとヴィーガン、ベジタリアンとの違いを説明する。三者はいずれも肉や家禽を食べない点は共通している。また、いずれのスタイルも環境に配慮できる。スウェーデンの論文によるとペスカタリアンの食事が温室効果ガス排出量を59%削減できるとされ、ベジタリアンでは62%、ヴィーガンでは73%削減できると報告されている。食べられる食材の種類としては、ペスカタリアンが一番多く、ヴィーガンが一番少ない。以下で詳しく見ていく。

ベジタリアン

ベジタリアンは、肉・魚・家禽などを食べない。一方、乳製品や卵などは食べる人と制限する人がおり、乳製品を食べる人はラクト・ベジタリアン、卵も食べる場合はラクト・オボ・ベジタリアンと呼ばれることもある。

ヴィーガン

ヴィーガンはベジタリアンの一種であるが、ベジタリアンよりも食べる食材は少ない。野菜や果物、穀類やナッツ類を中心とした食生活が特徴だ。また、乳製品や卵は一切食べず、人によってははちみつなども避ける。ヴィーガンの場合は、動物由来の商品の排除により栄養不足が危惧されるため、ビタミンや鉄分などをサプリで補うこともある。

ペスカタリアンが注目される理由

ペスカタリアンが注目される理由

ここでは、ペスカタリアンが注目される3つの理由について触れる。

健康上のメリットがある

ペスカタリアンを含む菜食主義の食生活では、肥満や心臓病など慢性疾患にかかるリスクが低いといわれている。また、菜食主義に関する研究によると、ペスカタリアンは糖尿病を発症するリスクが4.8%であり、肉を食べる人の7.6%と比較すると、低いことが明らかになっている。また、心臓病に関しても、肉を食べる人に比べて死亡リスクが22%も低いことが報告されている。そのため、健康志向の人を中心に注目が集まっている。

環境への影響が小さい

畜産業は、地球温暖化の原因である温室効果ガスの排出、水の大量使用、放牧や資料栽培のための森林破壊など、地球環境に与える影響が問題視されている。一方、魚介類の養殖は肉と比較すると、温室効果ガスの排出量が少ない。英国の研究によると、魚を食べる人の食事は、一日一回以上肉を食べる人の食事より46%温室効果ガスの排出量が少ないことが分かった。このように、環境への負荷が少ないことも注目を浴びている理由の一つだ。

アニマルウェルフェアの観点から

ほかの菜食主義と同じように、アニマルウェルフェアの観点から肉を食べたくない人も増えている。近年、家畜の劣悪な飼育環境などがメディアに取り上げられることもあり、不人道的な飼育環境や労働条件に対して反対する人々がペスカタリアンや菜食主義を選ぶようになっている。また、ペスカタリアンにおいても過剰漁獲や密漁などIUU漁業の問題があるため、倫理的に問題がないとされる捕獲または養殖された魚のみを選ぶ人もいる。

ペスカタリアンのメリット

ペスカタリアンのメリット

ここでは、ペスカタリアンのメリットを紹介する。

ヴィーガンよりも食べ物の制限が少ない

1つ目は、ヴィーガンよりも食べられる食品が多いことだ。ペスカタリアンの食事では、肉以外に食べられないものは基本ない。ヴィーガンの場合はレストランでのメニュー選びやレシピ探しの際に苦労する場合もあるものの、魚という選択肢が増えることで、外食時の自由度も大きくなる。そのため、菜食主義になる最初のステップとして、ペスカタリアンを選ぶ人も多い。

さまざまな栄養素がとれる

2つ目は、さまざまな栄養素を摂取できる点だ。完全に動物性の食品を食べない場合、タンパク質やカルシウム、ビタミンB12など身体が必要とする栄養素がとれない。しかし、魚介類は脂肪分が少ない上に優れたタンパク質がとれるのだ。白身魚であれば高タンパクかつ低脂肪であり、サーモンやマグロなどであれば、コレステロールを減らす役割もあるオメガ3脂肪酸が豊富に含まれているため、栄養価が高い。

また、日本人にとっては、昔から食べてきた食事内容であるため体質に合っており、腸内環境も整いやすいとされているのだ。

健康リスクの低減につながる

3つ目は、さまざまな健康リスクを下げられる点だ。先述の通り、魚介類には豊富なタンパク質が含まれており、オメガ3のような良質な油も摂取できる。そのため、ペスカタリアンは血中コレステロールや血圧が低く、糖尿病や高血圧、肥満などのリスクを減少させる可能性があるのだ。肉と変わらずタンパク質を摂ることができ、健康的なメリットも大きいことがペスカタリアンを選択する理由の一つになっている。

ペスカタリアンのデメリット

ペスカタリアンの食生活にはメリットが多いものの、デメリットも存在する。

魚介類に含まれる有害物質の多量摂取

魚介類を摂取しすぎると有毒な物質を摂りすぎてしまう。実は魚の種類によっては、神経系に対して有害な水銀やダイオキシンなどの有害物質が含まれており、摂取しすぎると高血圧や脳機能障害を引き起こすリスクが高まる。

白身魚は週に何回食べても問題はないものの、以下の魚には有害物質が多く含まれている可能性がある。

  • イシダイ
  • スズキ
  • ヒラメ
  • カレイ
  • サメ
  • メカジキ

たまに食べることはまったく問題ないものの、頻繁に食べることは避けるのが賢明だ。また、妊娠中や授乳中の女性、子どもは摂取を避けるべきだといわれている。

鉄分が不足する

幅広い栄養素の取れるペスカタリアンの食事であるが、赤身肉を摂取しないことで、鉄分が足りなくなる。ただし、ホウレンソウやブロッコリー、ナッツ、豆腐などをビタミンCが豊富な食材(柑橘類、トマトなど)と一緒に食べることで、鉄分不足を防げるとされている。ほかにも、鉄分を摂取できるゼリーやバーなどを取り入れてみるのも良いだろう。ペスカタリアンに移行する際には、すべての栄養素を摂取できるようなバランスの取れた食生活を送ることを意識するのが重要だ。

漁業・養殖業の環境への影響

畜産業は環境に多大な負荷をかけていると述べたが、漁業や養殖業も環境に負荷をかけている。たとえば、乱獲による資源の枯渇や養殖場建設のための沿岸環境の破壊、薬品による生態系への悪影響などが挙げられる。このように、畜産ではないからといって、環境に良いとは限らない。魚介を選ぶ際には、持続可能な水産物のみに与えられる印のMSC認証(天然)やASC認証(養殖)がついているものを選ぶとなお良いだろう。

まとめ

ペスカタリアンは、菜食主義でありつつも、食べられるものの制限が少なく、健康リスクの低減にもつながることから、注目を集めている。畜産業における環境負荷や動物保護に関する話題が上がる中、ペスカタリアンはさらに人気が高まるのではないかと予想される。菜食主義に興味のある方や自身の健康リスクが気になる方は、一度ペスカタリアンの食生活を試してみてはいかがだろうか。

参考記事
What Is a Pescatarian and What Do They Eat?|healthline
Vegetarian vs. Vegan vs. Pescatarian: What’s the Difference?|healthline
What is a pescatarian diet?|BBC goodFOOD
Pescatarian Diet 101: Pros, Cons And What You Can Eat|Forbes HEALTH
Designing Nutritionally Adequate and Climate-Friendly Diets for Omnivorous, Pescatarian, Vegetarian and Vegan Adolescents in Sweden Using Linear Optimization|National Library of Medicine
Type of vegetarian diet, body weight, and prevalence of type 2 diabetes|National Library of Medicine

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