
オルタナティブスクールとは?
オルタナティブスクールとは、日本の公教育とは違うもう一つの(alternative、オルタナティブ)学校を指す。大きな特徴は、ヨーロッパやアメリカの哲学的および教育学的思想を基盤とする教育を提供していること。子ども一人ひとりの自主性を尊重し、主体的に学習に取り組めるような教育体制を築いており、教育の多様化を象徴する学校とされる。
近年、横並び的、あるいは画一的と言われる日本の公教育以外の教育を受けたい場合などに選択されることが増えている。
フリースクールとの違い
公立学校および私立学校の代わりになる学校と言えば、不登校児や引きこもりなどの児童・生徒が通うイメージのあるフリースクールやサポート校などがある。オルタナティブスクールとは、広義では公教育とは異なるもう一つの学校の総称で、フリースクールやサポート校を含む場合もある。
ただし狭義では、オルタナティブスクールとは公教育とは異なる教育方針や運営制度をもとに運営している学校のことを指す。そのため教育方針や学習方法に共感し、子どもを通わせたいという保護者が積極的に選択していると考えられる。この点は、学校に行きたくない、あるいは学校にいけない子どもが通うことが多いフリースクールやサポート校とは異なる。
日本でオルタナティブスクールが注目を集めている理由
公立小学校に通っている小学生が約98%を占める日本で、オルタナティブスクールの注目度が高まっている理由は、それぞれの子どもにふさわしい教育を選びたいという意識の変化が挙げられる。近年、インクルーシブ教育への関心が高まっていることからもうかがえるように、教育においても子どもの多様性を重んじる傾向が強まっているのだ。また、子供の将来を考えたときに、「グローバルに活躍してほしい」などの願いから、海外式の教育を受けられるオルタナティブスクールに魅力を感じていることも考えられる。
そのほか、オルタナティブスクールへの入学を希望する保護者には以下のような思いがあると推測される。
「子どもの自主性を伸ばしたい」
「子供の個性を尊重してほしい」
「型にはまった学校生活は、我が子には合わない」
また、いじめや不登校、カーストなど、日本の教育現場には根深い問題が潜んでおり、それらを回避したいという思惑もあると考えられる。
オルタナティブスクールの特徴

オルタナティブスクールは日本国内の教育法の規制を受けないため、教科や指導要領などはスクール独自のものが構築されている。海外の教育思想を取り入れていることが多く、以下のように、一人ひとりに焦点を当てた教育を実施していることが特徴だ。
子どもの自主性を伸ばす教育
オルタナティブスクールでは、学習内容に加えて生活ルールなども大人と子どもが話し合ったり、子どもが自主的に決めるケースがあり、子どもの自主性を伸ばすような体制になっている。大人は教師ではなく、子どもをサポートするスタッフという立ち位置になることも多い。
子どもの個性を生かした教育
オルタナティブスクールでは、公教育のように指導要領に沿って学習が進められるのではなく、子どもが興味・関心のあることを探求できるように学習が進められるケースが多い。そのため、子ども一人ひとりの個性を伸ばしたり、特性や性格を生かすことができる。
少人数制での教育
子どもの個性や自主性を伸ばすために、オルタナティブスクールでは少人数制でクラスを編成することが多い。また、公教育ではあまりない異年齢交流の機会も盛んに設けられるため、協調性を養うのはもちろん、核家族化が進む日本国内では見られなくなった年齢の異なる他人への接し方なども自然に身につけることができる。
体験型学習を多く導入した教育
公教育では教師が児童・生徒に教える形で授業が進むが、オルタナティブスクールでは自ら考え、探求できるように体験型学習を多く取り入れている。例えば、工作や絵画、音楽、手芸などの体験型学習を通して、多くのことを学べるような授業形態になっている。
オルタナティブスクールの種類

日本国内にあるオルタナティブスクール、あるいは幼児教育施設などが取り入れている教育法について代表的な6つを紹介する。
モンテッソーリ教育
モンテッソーリ教育は、1907年に医師であり教育家だったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法のことである。前提となっているのは「子どもには、自分を育てる力が備わっている」という自己教育力。歩くことを教えなくても子どもが歩こうとするのは、さまざまなことを吸収する自己教育力が備わっているからという考えが基盤となっている。そのため、子どもが自発的に活動を繰り返しながら、成長するのを見守る教育が大きな特徴だ。
シュタイナー教育
シュタイナー教育は、医者として活動していたルドルフ・シュタイナーが、自由ヴァルドルフ学校の創設アドバイザーを引き受けたことをきっかけに構築した教育法。日本では1987年に東京シュタイナーシューレが開設した店舗型教室を起点に広まったとされる。シュタイナー教育の大きな特徴は、発達は7年周期で節目を迎えると考え、7年ごとに分けて授業内容を構成すること。発達時期に合わせて体と心、頭をバランスよく成長させていくことなどがあげられる。
イエネプラン教育
イエネプラン教育は、ドイツで発祥し、オランダで広がったオープンモデルの教育法。「対話」「自由」「創造性」といった8つのミニマム、20の原則、6つのクオリティ特性などのコンセプトに基づいて教育を展開している。子どもを異年齢に分けてクラス編成をするのが特徴で、教科ごとの時間割はなく「対話」「遊び」「仕事(学習)」「催し」の4つを基本活動としている。その中で子どもの自律と共生感を育てていく。
サベトリー教育
サベトリー教育とは、アメリカのサベトリー・バレー・スクールで1960年代に生まれた教育法。「学びたいと感じれば自ら学ぶ」が教育理念だ。そのため、子どもの興味や関心が向くままに学習を進めていくのが大きな特徴。教育現場にいるのは教員ではなくスタッフやメンバーで、子どもたちと意見を交わしながら学校運営を行う。
サマーヒル教育
イギリスの教育者ニールが創設したサマーヒルスクールは、世界で最初に開設されたフリースクールと言われる。「子どもには子どもの人生を主体的に生きる役割がある」というニールの根幹的な考えに基づいて運営されており、「世界で一番自由な学校」とも称される。ニールの教えをもとに教育を展開するサマーヒル教育は、「自由な学習環境」を尊重し、「自治」「子どもの権利」「自律」を尊重できるよう工夫をしているのが特徴だ。スクールでは、受ける授業や校則も子どもたちで決定する。
フレネ教育
フレネ教育は、フランスの教師であるセレスタン・フレネが考案した教育メソッドのこと。学習計画を子ども自身が立てることが特徴で、子どもが書いた作文を授業の教材としている。作文を書くことに加え、教材として作文を選定することで、子どもたちの学びに対する姿勢が意欲的になるとされる。
このように、さまざまな教育方針、教育理念で考案された教育法があり、子どもの性格などから自分たちで選択することができることがオルタナティブスクールに通う大きなメリットとなる。
オルタナティブスクールを選ぶ際の注意点
オルタナティブスクールを選択する場合、子どもの個性や自主性の尊重などメリットがある一方、注意すべき点もある。代表的な4つについて解説していく。
許可校が少ない
オルタナティブスクールのうち日本の教育法に則った学習体制を構築していない場合、無許可・不許可扱いになるため、子どもは不登校という扱いになる。毎日通い、卒業しても卒業資格は得られないということだ。ただし、数は少ないが地域の公立学校と連携し、出席扱いになることもある。
また、許可を得ているオルタナティブスクールに通いたいとしても、自宅から毎日通学できる距離、場所にない可能性もある。
費用が高い
公立の小中学校であれば、教育にかかる費用は実質無料だが、オルタナティブスクールの場合は費用がかかる。私立学校並みか、それよりも高額というのが一般的だ。
一例を紹介すると、イエナプラン教育を行う学校法人茂来学園大日向小学校の場合、以下の費用がかかる。
入学金…100,000円(初年度のみ)
授業料…年額600,000円
施設維持費…年額100,000円
教育活動費…年額60,000円
このほか、昼食代やスクールバス利用料なども利用状況に応じて発生するため、経済的な負担は大きくなってしまう。
教育方針が合わない可能性もある
これまで紹介したようにオルタナティブスクールは、教育の目的や目標は似ているが、教育方針や教育理念、学習の仕方は大きく異なる。そのため、子どもが入学した後で「教育方針が合わない」「学習の進め方が合わない」といった可能性もある。入学前に体験入学に参加したり、見学に出かけるなどで、子どもが成長するのにふさわしい場所かどうか見極めることが重要だ。
上級校が併設されていない
オルタナティブスクールは幼児教育や児童教育が主体で、対象となるのは幼児期や児童期などが主流。中学校が併設されているケースもあるが、高校以上の学校が併設されていることは稀だ。そのため、オルタナティブスクールで幼児期や児童期を過ごしても、思春期になると公教育を受けざるを得ない状況になることも考えられる。この際、教育環境の大きな違いに子どもが戸惑うことも想定される。この点も事前に注意したい点だ。
まとめ
アメリカやヨーロッパ発祥の教育法に則った教育を受けられるオルタナティブスクール。「子どもの自主性を伸ばしたい」「子どもの個性を尊重したい」「グローバルな視点を身につけてほしい」といった思いから、子どもたちが受ける教育を選べるのは大きなメリットだ。
しかし一方で、「上級校がない」「許可校が少ない」などの注意点もあり、子どもが成長する中で教育の違いからギャップを感じる可能性もある。子どもが学校に通う期間は日本では6歳から22歳までの16年間が一般的。子どもの将来のために慎重に考え、最善の教育を選択したいものだ。
【参考記事】
日本モンテッソーリ教育総合研究所「モンテッソーリ教育とは」
学校法人シュタイナー学園「教育内容」
日本イエナプラン教育協会「イエナプラン教育とは」
学校法人茂来学園大日向小学校・大日向中学校
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