種まく旅人Ⅱ

INTRODUCTION

この連載が生まれた、ひとつのきっかけ。


夕陽が海に沈む、三浦半島・秋谷。
15年前に都会を離れ、この海辺のまちで「食べるものを育てる」暮らしを手に入れた。

朝は産み落とされたばかりの鶏卵を炊き立ての白米にかけ、
夜は目の前の海で採れた魚と、自分たちで育てた野菜で晩酌を楽しむ。

心はいつも凪いでいる。

だが今、気候危機という現実が、この美しい日常に影を落とす。

2040年、娘が大人になる頃の世界はどうなっているのか。
この海辺のまちで生まれた我が子に、何を残せるのか。

WRITER

いまを見つめ、これからを描く。

青葉 薫

青葉 薫

横須賀市秋谷在住のライター。全国の生産者を取材した書籍「畑のうた 種蒔く旅人」を上梓。本名で放送作家/脚本家/ラジオパーソナリティーとしても活動。日本環境ジャーナリストの会会員/横須賀市都市計画審議委員/横須賀市環境審議委員/株式会社オフィスクレッシェンド取締役

STORIES

未来へつながる小さな旅

三浦半島で暮らして、15年になる。河津桜も散り、寒さの合間に初夏のよう…

海辺の町で暮らして15年、夕暮れが訪れるたびにビーサンで浜辺を歩く。いにしえの海に思い…

#2 キャベツが高騰した本当の理由

三浦半島では春キャベツの収穫が最盛期を迎えている。陽射しの強さと夜露の冷たさの寒暖差…

#3 里山の菜園を小さな生態系に

里山の菜園が春の雑草に占領されてしまった。野菜作りは望まない草や虫との生存競争でもある…

#4 ゴミをなくすには、ゴミという概念をなくすこと

毎日のようにビーサンで浜辺を歩く。海は大切なことを教えてくれる。大切なことに…

#5 気候変動への適応策は、時には「あるがままを受け入れること」かもしれない

いつも目の前に広がっている海——三浦半島の城ヶ島から伊豆半島にかけて広がる相模湾では…

#6 娘におにぎりを残せるか。わたしたちのコメの現在地と未来予測

三浦半島からフェリーで房総半島に渡るたびに近いなと感じる。乗船時間40分。体感的には東京…

#7 小さなコンポストに大地の過去と未来が見えてくる

きっかけは些細なことだった。ベランダの片隅に役目を終えたプランターが土を入れたまま放置…

#8 耕すのをやめる。もう一度、土と生き直す

里山の麓にある海辺の町で野菜作りに取り組み始めて15年。毎年のように悩まされたのが

毎日どこかで40℃を越えている。7月の平均気温は3年連続で過去最高を記録している…

60年前に母が秋谷海岸を訪れていたと訊いたのは数年前のことだ。会社の同僚と保養所…

2025年の夏も過去最高の暑さを記録したと報道されているが、三浦半島は去年よりも…

太陽を遮るものなど何ひとつない棚田を大きな黒い影が覆った。見上げると夏雲が…

種蒔く旅人13-1

ずっと海を見ていた。15年間ずっと。だが、わたしが見ていたのは海の表面に過ぎ…

2025年に植えたみかんの木が50年後に繋ぐ未来

夏みかんが冬に色づくのを知ったのは三浦半島で暮らし始めてからだ。緑の実が晩秋に入った…

酷暑の次に待っていたのは、熊被害だった。原因を作ったのは人間だ。かつては熊の生息地と都市の間に…

旅人16-1

以前書いたように「雑草なんて草はないんだよ」と教えてくれたのは南房総で70年以上農業を営んできた…

旅人17-1

三浦半島では秋になると子安の里の路肩や河川敷などに「黄金の壁」が出現する。背高泡立草。その名の通り、背の高い泡立ちしたような黄金色…

三浦半島ではみかん狩りが終わると、休む間もなく七草の仕事が始まる。大根、キャベツとともに冬の市場を席巻する三浦産「春の七草」だ。

旅人19-1

年末年始はごみ集積所の山がいちだんと大きくなる。昭和生まれのわたしにとっては子どもの頃から見慣れた風景のひとつだ。