イミ消費とは?注目される背景や他の消費スタイルとの違いを解説

イミ消費とは

イミ消費とは、商品やサービスを購入する際、商品の持つ社会的な価値や文化的な価値を重視し、その価値に対価を支払うことで満足感や社会への貢献している実感を得る消費行動を指す。

環境保護や地域貢献、フェアトレード、健康維持、歴史・文化伝承といった「意味」を見出す消費活動で「消費を通して自分がどうありたいか」を指標として経済活動を行う。消費によって、社会とのつながりを持ちたいと考える人の間で注目されている。

イミ消費の概念が生まれた背景

イミ消費は、ホットペッパーグルメ外食総研エヴァンジェリストの竹田クニ氏が提唱した概念で、2010年代以降に見られる消費傾向として用いられるようになった。現代社会では、大量生産・大量消費による環境問題や社会格差など、さまざまな課題が山をなしている。

一方で、持続可能な開発目標であるSDGsが世界的に広まったことにより、人々の環境問題や社会問題に対する意識が高まった。さらに、東日本大震災やコロナのパンデミックも、人々の価値観を大きく変える出来事となる。

「モノ」が持つ「意味」や「価値」に関心を持ちはじめ、自分たちの消費が、社会にどのような影響を与えるのかを考え、よりよい社会を作りたいと考える人が増えることにより、イミ消費が定着していった。

イミ消費が注目される理由

イミ消費が注目される理由

イミ消費が近年注目されている背景には、大きく分けて下記の2つの要因が考えられる。

環境問題への関心の高まり

近年、環境負荷を低減する行動を積極的に行う人が増えたことで、イミ消費が注目されている。これは、気候変動による異常気象や自然災害の増加、プラスチックごみによる海洋汚染、資源の枯渇など、地球規模で深刻化している環境問題への認識の高まりが要因として考えられる。

この環境問題への認知から、持続可能な社会の実現に向けて、環境負荷の少ない製品やサービスを求める声が上がっている。また、国連が採択したSDGsは、環境問題の解決を目標の一つに掲げており、世界中でSDGs達成に向けた取り組みも加速している。

こうした背景が重なり合い、単に商品を購入するだけでなく、環境に配慮した製品の選択、リサイクルや省エネなどへの意識が高まっている。

社会貢献への意識の高まり

社会貢献の重要性を認識しはじめた人が増えたことも、イミ消費が注目されている理由の一つだ。東日本大震災など大規模な災害が発生した際に、多くの人々が被災地支援に協力し、助け合う経験をした。また、世界的な貧困問題が深刻化する中で、社会の弱者に対する支援や公正な社会の実現を求める声も高まっている。

さらに、SNSを通じて世界中のさまざまな社会問題に関する情報が容易に得られるようになり、人々の意識は大きく変化した。

自分の消費行動が社会にどのような影響を与えるかを意識し、よりよい社会の実現に貢献したいと感じる消費者が増えている。

現代的な3つの消費文化とイミ消費との違い

消費文化は時代と共に変化を遂げてきた。現代的な3つの消費文化とイミ消費との違いを解説する。

モノ消費

「モノ消費」は「モノ」そのものに価値を見出す消費行動のことである。

具体的な商品家電製品、自動車、衣類、アクセサリーなど、形のある商品が中心
価値観モノの所有自体に価値を見出す
判断基準・ステータスや機能性
・所有により社会的な地位やステータスを示せるか
・より便利で快適な生活を送るための機能性の高い商品であるか

コト消費

コト消費とは、モノの所有よりも体験や経験そのものに価値を見出す消費行動を意味する。

具体的な商品旅行、趣味、習い事など、モノではなくその過程や記憶に残る体験
価値観心の豊かさや成長といった非物質的な価値を求める
判断基準・心の豊かさや成長を得られるか
・記憶に残るか
・体験を共有し、共感を得られるか

トキ消費

「トキ消費」は、フェスやライブ、スポーツ観戦といった、その瞬間しか味わえない高揚感や一体感の共有に価値を見出す消費行動を指す。コト消費と似ているが、一度きりの体験や限定的なサービスに限られる。

トキ消費の特徴

具体的な商品音楽、食、アートなどのフェス、フラッシュモブなど不意に始まるパフォーマンス、スポーツ観戦
価値観非物質的な価値の中でも、記憶に深く残り、豊かな人生につながる一度きりの特別な体験を求める
判断基準・時間や場所が限定されていて、同じ体験が二度とできないか
・不特定多数の人と体験や感動を分かち合えるか
・自身が盛り上がりに貢献していると実感できるか

イミ消費との違い

「イミ消費」は「モノ消費」「コト消費」「トキ消費」の要素を含みつつ、その背景にあるストーリーや社会貢献、自己実現といった、より深い意味合いを含んでいる点で違いがある。

イミ消費の具体例

本章ではイミ消費の具体例を紹介する。

フェアトレードなファッションにこだわる

ファッションの分野では、単に流行を追うだけでなく、地球環境や社会に配慮した商品の選択がイミ消費として注目されている。

オーガニックコットン・環境負荷の少ない栽培方法で育てられた綿花を使用し、農家や労働者の健康にも配慮した製品
フェアトレード製品・途上国の生産者に対して適正な価格で取引を行い、彼らの生活向上に貢献する製品
リサイクル素材・廃廃棄物となるはずだったペットボトルや古着などを再利用し、新たな価値を生み出した製品

これらの商品を選び、身につけることは、環境負荷を低減し社会貢献につながるだけでなく、自分自身の価値観を表現する手段にもなっている。

動物実験をしていない天然由来のコスメを使用する

コスメを選ぶ際にも、動物愛護やサスティナビリティの観点から商品を選べる。

動物実験反対アニマルウェルフェアに配慮し、動物実験を行っていないコスメ
天然由来成分・人の肌にやさしいだけでなく、動物実験を行う必要がない天然由来の成分で作られたコスメ
容器のリサイクル・プラスチックゴミ削減に貢献するリサイクルが可能な製品

天然由来の商品を選ぶことで、環境負荷を低減し、動物愛護にもつながる。

オーガニックや地域で生産された食品を選ぶ

食生活においても、環境や社会に配慮した選択ができる。

オーガニック食品・環境負担が少なく体にも優しい、化学肥料や農薬が不使用の食品
地産地消・地域の農業支援と食料自給率向上に貢献できるだけでなく、環境負荷低減に貢献できる、地元産の輸送が最小限に抑えられた食品
フードロス削減・食品ロスを減らす取り組みをしている企業の製品

地域で生産された食品やオーガニック食品を消費することは、食料自給率向上や食料問題の解決、環境負荷の低減につながる。

自然環境や現地の文化を大切にする旅行を楽しむ

旅行においても、自然環境や現地の文化を尊重する意識が高まっている。

エコツーリズム自然環境を保護しながら観光を楽しむ旅行
ボランティアツーリズム現地でボランティア活動を行いながら観光する旅行
文化体験現地の文化に触れ、理解を深める旅行

自然環境や現地の文化を尊重する旅行は、地域の生態系の保護、地域社会への貢献、異文化理解の促進につながる。

イミ消費がもたらすメリット5つ

イミ消費の実践によって得られるメリットは多岐にわたる。本章では、イミ消費がもたらす5つの具体的なメリットについて解説する。

1.自分の価値観に合う商品を選べる

自分の価値観やライフスタイルに合った商品を選ぶことで、より一層の満足感を得られる。環境問題に関心がある人がオーガニックコットン製品を選べば、自分の価値観と消費行動を一致させることが可能だ。単に商品を購入するだけでなく、より豊かなライフスタイルの実現へとつながる。

2.社会貢献を実感できる

イミ消費をすることで、消費を通じた社会貢献を体感できる。フェアトレード製品の購入による途上国の生産者支援を通して、自分自身の行動が社会によい影響を与えている実感を得られ、自己肯定感を高めることにもつながる。

3.自己実現につながる

自分の価値観に基づいたイミ消費は、自分らしい生き方につながる。例えば、動物愛護に関心がある人は、動物実験を行っていないコスメを選んだり、アニマルウェルフェアな商品を開発している企業の商品を購入したりして、自分の価値観を貫き、自己実現ができる。

4.共感できるコミュニティが生まれる

価値観が明確になるイミ消費では、同じ価値観を持つ人たちとつながり、共感できるコミュニティを見つけるきっかけになる。例えば、オーガニック食品に興味のある人同士が集まるコミュニティに参加すれば、情報交換をしたり一緒にイベントに参加したりできる。同じ価値観を持つ人同士のコミュニティに属することで、孤独感を解消し、心の豊かさにもつながる。

5.持続可能な社会の実現に貢献できる

環境問題や社会問題の解決に貢献するイミ消費は、よりよい未来を築くことにつながる。例えば、リサイクル素材で作られた製品を利用すれば、ごみの削減や資源の有効活用に貢献できる。

イミ消費を実践するための3つのステップ

本章では、イミ消費を実践するための3つのステップを解説する。

1.自分の価値観を見つける

イミ消費をはじめるにあたってまず大切なことは、自分が何を大切にし、どんな社会に貢献したいのかという「自分の価値観の明確化」だ。環境問題、社会問題、動物愛護など関心のあるテーマを具体的に書き出し、価値観を明確にしよう。

2.信頼できるブランドを選ぶ

次に、信頼できるブランドを選ぶことだ。単に商品そのものだけでなく、商品を生産している企業の姿勢も重要な判断材料となる。下記の3つのポイントを中心に判断しよう。

  • 自分の価値観と企業理念、世界観が合うか
  • 自社の製品を通じて、企業がどのような社会を実現したいと考えているのか
  • 動物実験、児童労働、環境破壊など自分の価値観に合わない活動に関わっていないか

ウェブサイトやニュース記事、サステナビリティレポートなどを参考に、企業の取り組みを確認する。また、第三者機関による認証や評価を受けていることも、信頼性の目安となる。

企業の取り組みを詳しく調べ、共感したり応援したりすることで、より一層商品に愛着を持ち、社会貢献を実感しやすくなる。

3.コミュニティに参加する

最後に、同じ価値観を持つ人たちとつながり、情報を交換したり一緒に活動したりしよう。コミュニティへの参加は、下記のようなメリットをもたらす。

  • イミ消費を続けるためのモチベーションを維持しやすくなる
  • 孤独感の解消や心の安定につながり、幸福を感じやすくなる
  • ライフスタイルや社会問題に関する知識を深められる

イミ消費の最終ステップとして、コミュニティに参加することはさまざまなメリットをもたらしてくれる。

まとめ

多くの環境問題や社会課題が顕在化している中で、消費のあり方を考え直す潮流が活発になっている。これまで以上に、消費者の意思が市場において重要さを増しており、商品やサービス、企業のマーケティング活動などに強く影響を与えることもある。

そのため、消費活動における私たちの小さな選択は社会全体の様相を変える要素ともなりうるのだ。私たちひとり一人が感じる「イミ」を大切にし、消費を通じて企業や社会と対話していきたい。

【参考記事】
持続可能な消費と生産(SCP)に関する国際政策動向|(公財)地球環境戦略研究機関 持続可能な消費と生産領域, 慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
第1部 第2章 第2節 (1)若者の消費行動|消費者庁
コロナ禍と持続的な消費行動への意識 ― 新型コロナウイルス意識調査と東日本大震災後調査より ―| 宮木 由貴子
エシカル消費と消費者志向経営|椙山女学園大学現代マネジメント学部 東 珠 実
SNSコンテンツ利用にみるZ世代の消費行動のありかた|髭白 晃宜 
社会・環境配慮型商品への支払意思額に関する調査 ~オーガニックコットンの事例~|森 千紗
化粧品を取り巻く問題とオーガニックコスメ | 高知工科大学マネジメント学部 内田志穂
ボランティアツーリズムの可能性|北海道大学 観光創造専攻 博士後期課程 依田真美 
消費者教育の理念と方法 ー消費経済における女性の経済的役割を中心にー |大橋 照枝
ブランド・コミュニティにはどんなメンバーが参加しているのか|羽藤 雅彦 (流通科学大学)
第10章 消費者意識と購買行動|日本リサーチセンター
「幸せ戦略」で考えるこれからの消費社会 ― コロナ禍の消費者の意識・行動から ―| ㈱第一生命経済研究所 取締役 ライフデザイン研究部長兼主席研究員 宮木 由貴子

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