
夏になると、誰もが真夏日やゲリラ雷雨の発生が増えていると感じているだろう。その原因の大部分は地球温暖化が占めている。しかし本当に止められないのか考えるために、地球温暖化の現状や今後予想される状況について紹介する。そして、地球温暖化を止めるために私たち一人ひとりができる小さな取り組みも紹介したい。
地球温暖化とは

地球温暖化とは、地球の温度が上昇する現象のことを指す。自然環境や人間の生活などにさまざまな影響を及ぼすため、世界中で注視されている。
地球温暖化の主な原因は、CO₂などの温室効果ガスの増加だ。温室効果ガスは元々、大気中の水蒸気とともに、太陽の光によって温められた熱を逃さない役割を果たしている。しかし近年は温室効果ガスが増え、温度を調節することが難しくなっている。
世界の年平均気温は、1990年代半ば以降100年につき0.77℃の割合で上昇。2024年は、基準値(1991〜2020年の30年平均値)に比べてプラス0.62℃となり、1891年の統計開始以降最も高い値となった(*1)。
地球温暖化の原因

IPCC(気候変動に関する政府間パネル、Intergovernmental Panel on Climate Change)の「第4次評価報告書」(2007年)によると、温室効果ガスの76.7%はCO₂であり、大気中のCO₂濃度は1750年から40%以上増加しているとも指摘している(*2)。
CO₂の排出が増えている代表的な原因は、以下の3つだ。
発電
CO₂排出に大きく関わっているのが発電である。家庭からのCO₂排出量は、電気が46.0%と約半分を占めている(*3)。電気を作るには石炭や石油、天然ガスを燃やすことが必要であり、この際にCO₂が発生することが原因と考えられる。
生産・消費
現代の世界経済は、大量生産・大量消費・大量廃棄で成り立っている。しかし、製品の製造を行う際も、消費する際も大量のCO₂を排出し、廃棄によって大気汚染や海洋汚染につながる。
こうしたサイクルが成立しているのは、資源や環境に限界があることに目をつぶっているからかもしれない。
森林破壊
CO₂の排出だけはなく、吸収率が低下することも地球温暖化に大きく関わる。その例が森林破壊だ。CO₂を吸収する役割のある樹木が伐採されることで、CO₂の吸収量が減ってしまう。
森林破壊は木材の過剰利用などが原因だが、気候変動による森林火災も森林破壊を加速させている。つまり、地球温暖化が森林破壊を加速させ、森林破壊もまた地球温暖化を加速させるという悪循環に陥っているのだ。
地球温暖化がもたらす影響

地球温暖化は、地球上の環境にどのような影響をもたらしているのだろうか。以下では、代表的な3つについて解説する。
気温の上昇
「IPCC第6次評価報告書」(2023年)では、最悪の場合、2081年〜2100年の世界の年平均気温は1850年〜1900年と比べて3.3〜5.7℃上昇すると報告している(*2)。日本では、「IPCC第5次評価報告書」(2014年)をもとに2100年の気温を予測しており、最悪のペースの場合、全国の真夏日は現在より52.8日も増加するとしている(*4)。
陸地の減少
世界の平均海水面は1902年〜2010年にかけて16cm上昇している(*5)。海面水位が上昇すると、海岸線が内陸へ入り込むため陸地が減少してしまい、南太平洋の中には水没の可能性が高まっている島国もある。
「IPCC第6次評価報告書」では、最悪の場合、世界平均海面水位は2100年までに1986年~2005年に比べて、84cm上昇すると指摘している(*5)。
自然災害の増加
昨今、ゲリラ雷雨の発生頻度が高くなっていることを実感している人も多いだろう。事実、日降水量の日数は増加しており、1901~1930 年と1990~2019 年を比較すると、100mm以上の日は約1.4倍、200mm以上の日は約1.7 倍に増えている(*6)。
このほか、気温の上昇により熱波や洪水、森林火災といった自然災害のリスクも高まっている。
さらに地球温暖化が進むとどうなるのか

このまま今よりも地球温暖化が進んでしまうと、どのような影響がおよぼされるのだろうか。環境、生態系、人間の3つの観点から考えてみたい。
環境への影響
まずは海面の上昇により、沿岸部に広がる湿原や干潟などの自然が消失すると考えられる。なぜなら、沿岸部の塩分濃度が上昇するからだ。その結果、内陸部でも干ばつ化が進む懸念がある。
その乾燥化によって森林火災の発生件数が増えることも指摘されている。これらの回復には時間がかかると考えられるため、地球温暖化をさらに加速させる可能性もある。
生態系への影響
昨今、海水温度の上昇によってこれまで獲れていた魚の漁獲量が減少するなど、日本の漁業に影響が出ていることはよく知られている。これは大気中のCO₂濃度が増えていることで、大気からCO₂を吸収している海の酸性化も進行しているからだ。
酸性化によってプランクトンなどの海洋生態系の基盤を担う生物がダメージを受け、その影響が海洋生物全体の生態系に及んでいるのである。
また陸上でも森林や湿地が減少すると、もともと棲んでいた生物の個体数が減少したり、絶滅の危険に直面することも懸念されている。
人間への影響
人間の生活は自然環境と共存・共生しているため、自然環境に変化が生じるとその影響を受けてしまう。代表的な事例は以下のようなものだ。
食糧の生産量が減ると、食料品の価格が上がるという予測もある。農産物の自給率が低い日本は、特に大きな影響を受ける可能性がある。
地球温暖化に対する世界の対策

もちろん人類は地球温暖化を見過ごしているわけではなく、世界ではさまざまな対策を実施している。世界と日本に分けて、代表的な事例を紹介する。
海外
世界各国ではそれぞれに対策を行っているが、そのベースとなるのが地球規模で行われている対策だ。代表的な3つについて解説する。
国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)
1995年以来、毎年開催されているのが「国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)」だ。1992年に採択された「国連気候変動枠組条約(UNFCCC)」の具体化のために、約200の締約国の政府、研究機関や企業などが議長国に集まる国際的な会議である。
話し合われるのは、主に以下のような内容だ。
- 気候変動によって生じている問題の状況と、その対策
- 各国の取り組み事例や温室効果ガスの削減の進捗状況の報告
- 気候変動対策の方針に対する締約国間での合意形成、など
2024年に開催されたCOP29では、途上国の気候変動対策に対する資金支援に関して2025年以降の目標に合意したことが大きな成果とされている。
SDGs(持続可能な開発目標)
SDGs(Sustainable Development Goals)は、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年を年限とする国際目標のこと。持続可能な社会を実現するために17の国際目標・169のターゲット・232の指標が定められた。
地球温暖化に関しては、目標13「気候変動に具体的な対策を」で気候変動やその影響を軽減することを目標としている。
パリ協定
「パリ協定」とは、気候変動に関する世界全体の取り組みとして、2015年のCOP21で採択された協定のこと。
1997年のCOP3で採択された「京都議定書」の後継に位置するもので、「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことが目標だ。パリ協定の締結国は、取り組みや進捗状況に関する「NDC(国が決定する貢献)」の5年ごとの提出が義務付けられている。

日本
日本国内では政府が主導し、さまざまな政策を実施している。代表的な3つを紹介したい。
法令や計画などの制定
地球温暖化対策の第一歩として、日本政府は1998年に「地球温暖化対策推進法」を成立させている。これは「京都議定書」の採択を受けたものだ。
2024年の改正では、国内外で地球温暖化対策を加速するため「JCMクレジットの発行」や「指定法人制度の創設」などを定めた。
また2021年には、地球温暖化対策推進法に基づく政府の総合計画として「地球温暖化対策計画」を閣議決定。2025年の改定では、省エネ性能の⾼い設備・機器の導⼊促進などを明記した。
地球温暖化対策税
低炭素社会の実現に向けて、地球温暖化対策税が2012年に導入されている。化石燃料の使用量に合わせて課税する仕組みだ。税収は再生可能エネルギーの導入推進のための施策に用いられている。
デコ活の推進
デコ活とは、2022年に発足した国民運動のこと。国と自治体、企業、団体等が連携して、脱炭素社会の実現につながる新しい暮らしを推進している。
具体的には、衣食住などに関わる3分野13種類の「デコ活アクション」を決定。脱炭素型の取り組みや製品、サービスなどを発信するポータルサイトを設けるなどして、日本国民のデコ活を支援している。
私たちができる小さな取り組み

地球温暖化は世界中で大きな問題として認識されている。そのため地球温暖化対策は、地球規模、あるいは国や企業といった大きな組織で行われていることも多い。
しかし、地球に暮らす一人の人間として私たちにもできることがある。例えば、日頃から行っている節電やゴミの分別だ。
その取り組みの一つは小さいかもしれない。しかし地球温暖化を抑止するには、こうした日常的かつ簡単なアクションを一人ひとり積み上げていくことが重要なのだ。
Edited by c.lin
注解・参考サイト
注解
(*1)気象庁 | 世界の年平均気温
(*2)温暖化とは?地球温暖化の原因と予測 | JCCCA 全国地球温暖化防止活動推進センター
(*3)温室効果ガスインベントリ| 温室効果ガスインベントリオフィス|国立環境研究所
(*4)日本国内における気候変動予測の不確実性を 考慮した結果について(お知らせ)
(*5)IPCCAR6特別報告書|環境省
(*6)日本の気候変動2020|文部科学省気象庁
参考サイト
温暖化とは?地球温暖化の原因と予測|デコ活
地球温暖化対策|環境省
気候変動|外務省
海洋による二酸化炭素吸収量(全球)|気象庁






























倉岡 広之明
雑誌記者として活動した後、フリーライターとして独立。さまざまなジャンルの記事を執筆しているが、北海道で生まれ育ったこともあり、自然環境や気候変動、SDGs、エネルギー問題への関心が深い。現在は、住宅やまちづくり、社会問題、教育、近代史など、多岐にわたるテーマを手がけている。
( この人が書いた記事の一覧 )