ミースとは?日常を豊かにするウェルビーイングな北欧の過ごし方

ミース(Mys)とは?

ミースとは、スウェーデン語で「居心地のよいこと」や「楽しいこと」を意味する。居心地のよさ、快適さ、人生のシンプルな喜びを体現するライフスタイルや過ごし方を指す概念だ。

スウェーデンの冬は日照時間が極端に短く、12月後半の冬至には、首都ストックホルムでは約6時間、北極圏に位置するキルナでは日照時間0時間になるほどだ。

ミースの考え方は、冬の終わりをただ待つのではなく、冬そのものを楽しむことにある。スウェーデンの人々は、ミースという伝統的な過ごし方を通して、寒く暗い季節をより快適で充実したものにする知恵を培ってきた。その核心にあるのは、居心地のよい空間をつくること、そして日々の暮らしを工夫することだ。

つまりミースは、過酷な気候の中でも心を豊かにし、人とのつながりを深めてくれる、ウェルビーイングなライフスタイルの一つなのだ。

ミースとヒュッゲとの違い

ミースに似た概念に、デンマークのヒュッゲ(hygge)がある。ミースとヒュッゲは、どちらも温かく居心地のよい雰囲気をつくり出すという基本的な考え方を共有しているが、それぞれに独自の文化的ニュアンスがある。

本質的には、ミースとヒュッゲはいずれも、温かさ、幸福感、満足感をもたらすことを目的としている。人々に、ペースを落とし、今この瞬間を大切にすることを促す。そして、友人や家族との付き合いや静かな環境での孤独を楽しむことを重視している。

スウェーデンにおけるミースは、日常の瞬間や個人的な経験にまで及ぶことが多い。一方、デンマークのヒュッゲは、特に家庭内で居心地のよい環境をつくり出すことに焦点を当てている。この点が、両者の大きな違いといえる。

日常生活にミースを取り入れる方法

日常生活にミースを取り入れる方法

ミースを日常生活に取り入れるために、特別なことをする必要はない。大切なのは、日々の暮らしの中で、心地よさを感じられる瞬間を意識し、それを積み重ねることだ。下記にミースを取り入れた生活の例をあげる。

  • テレビを見るときは、部屋の照明を暗くし、キャンドルを灯して、柔らかな光に包まれる。
  • 家族や友人を招き、大勢でディナーを楽しむ。テーブルにはキャンドルを並べ、心温まる雰囲気を演出する。
  • 日曜日の朝は、温かいコーヒーを淹れ、ベッドの中でゆっくりと味わう。
  • 親友を家に招き、暖かいブランケットをかけ、ホットドリンクとともに、ソファで寄り添いながら映画を観る。
  • 雨の日は、大きなジャンパーを羽織り、お気に入りのドリンクを片手に、窓際で雨音に耳を傾ける。
  • 寒い夜は、暖炉や焚火のぬくもりを楽しむ。炎が揺らめく様子を眺めながら、静かで贅沢な時間を過ごす。
  • 強い天井照明やスポットライトを避け、柔らかな光の間接照明や小さめのテーブルランプを取り入れる。柔らかな光はリラックスした気持ちにしてくれる。
  • 寒い日には、大きなウールの靴下を履いて足元を暖める。暖かさに身を委ねることで、心までほぐれるような感覚を味わえる。
  • お気に入りの本を手に取り、アームチェアでゆったりと読書する。穏やかな時間は、日々の忙しさを忘れさせてくれる。

ミースを家のデザインに取り入れる方法

ミースの概念は、住宅のさまざまなデザインにも取り入れられている。シンプルで美しく機能的なデザインは、住む人にとって快適で心地よい空間を生み出す。ミースを取り入れた家づくりのポイントを以下にあげる。

  • 木材をふんだんに活用し、自然のぬくもりを感じられる空間をつくる。床や家具に無垢材を使用し、視覚的にも触感的にも温かみを演出する。
  • できるだけ多くの自然光を取り入れるために、太陽に面した大きな窓を設置する。カーテンやブラインドは、光を柔らかく拡散する素材を選ぶとよい。
  • 機能性とデザイン性を兼ね備えた、シンプルで洗練されたインテリアを心がける。余計な装飾を省きながらも、実用性を損なわないバランスが重要である。
  • 白、グレー、ベージュといったニュートラルカラーを基調とし、落ち着いた雰囲気を演出する。
  • ストレスを感じさせないミニマルなデザインを意識する。収納を工夫することで、整理整頓しやすくし、より快適な空間を保てる。
  • 電球色のライトやキャンドルなど、柔らかく温かみのある光を採用する。光の演出は、空間の雰囲気を大きく左右するため、過ごす時間帯に応じた照明計画を考えるとよい。
  • 午後のティータイム(フィーカ)を楽しむために、お菓子づくりに欠かせないオーブンを設置する。また、収納力の高いキャビネットや作業しやすい広めのカウンターを取り入れることで、日々の暮らしがより快適になる。

ミースのさまざまな実践例

ミースのさまざまな実践例

ミースにはさまざまな過ごし方がある。過ごす相手や場所によって、心地よさを追求しよう。下記にミースの具体的な実践例をあげる。

  • Fredag​​smys(フレドッグスミース)ー金曜日の居心地のよさ
    一週間の仕事や学校が終わり、リラックスモードに切り替える時間。着心地のよい服と雰囲気のある照明で、リラックスした空間をつくり、家族や友人とソファに集まる。特別なことはせず、お気に入りの映画を観たり、スナックやデザートを楽しんだりする。
  • Frukostmys(フルコストミース) — 居心地のよい朝
    静かな朝、ゆっくりとテーブルを整え、温かいコーヒーや焼きたてのパンを味わう。新聞を読んだり、静かな音楽を流したりすれば、一日のスタートがより心地よいものになる。
  • Familjemys(ファミリミース) — 家族の居心地のよさ
    家族と一緒に過ごす、温かく楽しい時間。ボードゲームをしたり、手づくりの料理を囲んで語り合ったりすることで、家族の絆が深まる。忙しい日々の中で、意識的にこうした時間をもつことが大切だ。
  • Höstmys(ホストミース)、vintermys(ヴィンターミース)ー秋の心地よさ、冬の心地よさ
    春と夏にもミースはあるが、肌寒くなる季節こそ、ミースの魅力が増す。暖かいブランケットに包まれながら紅茶を楽しんだり、オーブン料理や焼き菓子の香りに癒されたりする。キャンドルのやわらかな光や暖炉の炎が心地よいのも、秋や冬の寒さや薄暗さがあってこそだ。
  • Tjejmys (チェイミース)— 女性同士の心地よさ
    親しい友人と集まり、おしゃべりを楽しむ時間。自宅でおいしい食事と飲み物を用意し、映画を観たり、スパ気分でフェイスパックをしたりするのもよい。リラックスしながら、気の置けない友人とのひとときを楽しむ。

まとめ

ミースは、スウェーデンに根づく、居心地のよさを大切にするライフスタイルであり、寒く暗い冬を快適に過ごすための知恵として発展してきた。デンマークのヒュッゲと似た概念でありながらも、ミースはより個人的な瞬間や日常のささやかな楽しみにまで目を向ける点が特徴だ。

日常にミースを取り入れる方法は多岐にわたる。キャンドルを灯したり、温かい飲み物を楽しんだりするだけでも、心を落ち着かせる効果がある。さらに、インテリアに木材や柔らかな光を取り入れることで、居心地のよい空間をつくり出すことができる。

ミースを意識的に生活に取り入れることで、日々の幸福度を高め、大切な人と心豊かなウェルビーイングな時間を過ごせるだろう。

参考資料
Mys | The Swedish Art of Coziness and Its Comparison with Hygge
『森のしあわせ通信』一年で最高のシーズン|スウェーデンハウス
Swedish Tradition ‘Mys’ Helps Cope With the Dark, Cold Winter|Business Insider
‘Mys’ is the winter routine you’ve been doing all along but should embrace even more|COUNTRY LIVING
Mastering the Art of Swedish “Mys” | The Revival House
Why The Swedish ‘Mys’ Is A Must In Your Vocabulary|Babbel

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