サステナブル・シーフードとは?意味や認証・選び方などを紹介

サステナブル・シーフードとは

サステナブル・シーフードとは、「持続可能な」という意味を持つSustainableと、「海産食品」を意味するSeafoodを掛け合わせた言葉だ。海や水産資源の長期的な健全性を守るために、環境・資源に配慮した方法で漁獲された水産物、または育てられた水産物を指す。

サステナブル・シーフードは、世界的に水産資源の枯渇が危惧される中、未来に海の恵みを残す方法の1つとして重要視されてきた。また、国連が提唱するSDGsの目標14「海の豊かさを守ろう」の取り組みに貢献する存在としても注目を集めている。

世界が直面する海の資源問題

サステナブル・シーフードが重要視される背景には、水産資源の枯渇問題がある。2024年に公表された国連食糧農業機関(FAO)の報告書によると、2022年における「世界の漁業・養殖業の総生産量」は、2億2,320万トンと過去最高を記録。内訳は、水生動物が1億8,540万トン、藻類が3,780万トンであった。

また、水生動物の生産量1億8,540万トンのうち養殖業による生産量は全体の51%(推定9,400万トン)であり、漁獲量を上回った。なお、漁獲量は全体の49%にあたる9,100万トンと推定され、数十年単位で横ばい傾向が続いている。

「世界の漁業・養殖業の総生産量」は増加傾向にあるが、決して楽観視できない。世界人口や水産食糧の消費量も継続的に増加しているからだ。2024年の国連の報告によると、世界人口は今後60年間で増加し、2080年代半ばには103億人に達すると見込まれる。人口増加に伴い、海からの食糧資源の需要拡大が予想される中、水産資源自体の枯渇も危惧されている。

他方で、FAOからは「持続可能なレベルで漁獲されている資源が世界的に減少傾向にある」旨も報告されている。水産資源が適正レベル以下で利用されている割合は、2019年時点で65%であり、1974年比で25ポイントも低下。一方、過剰に漁獲されている状態の資源は、10%から35%まで上昇している。

過剰な漁獲が発生する背景には、IUU漁業(違法・無報告・無規制)などに起因する乱獲問題やゴーストフィッシング問題が潜んでいる。生態系バランス・生物多様性にも深刻な影響を及ぼしかねない、国際規模の問題だ。このような問題に対応しながら、水産資源の枯渇を防ぐためには、サステナブル・シーフードに代表される「持続可能な漁業や養殖」が欠かせない。

また、以下は農林水産省が公表した「令和5年漁業・養殖業生産統計」から引用したグラフだ。

引用:農林水産省「令和5年漁業・養殖業生産統計

※海面漁業・養殖業調査結果については、令和6年能登半島地震の影響により石川県を除いた各都道府県の合計値とした。

国内における令和5年の漁業・養殖業生産量は372万4,300トンであり、前年比で4.9%減少。近年の日本では、漁獲量や養殖生産量が減少傾向にあることが分かる。上記のような状況下で、日本においても海洋資源や環境に配慮した「持続可能な漁業・養殖業」の必要性が高まっている。

認証制度

サステナブル・シーフードには、認証取得の証として、認証マークが与えられる。認証マークが表示された「水産エコラベル」などがあることで、消費者は環境に配慮された水産物を選択しやすくなる。しかし、世界各国で多くの認証制度が誕生した影響で、次第に各認証の信頼性低下が問題視されるようになった。

このような潮流を受けて、2013年に世界水産物持続可能性イニシアチブ(GSSI)が誕生。GSSIは、水産関連企業・NGO・専門家・政府および政府間組織による、国際的な連合組織だ。FAOガイドラインに基づく厳格な基準で認証スキームを承認することで、信頼性が担保された認証水産物の普及を推進している。

2025年2月現在、GSSIによって国際的に認証されているスキームのうち、日本国内で主に活用されている3つの水産エコラベル認証を紹介する。

MSC認証

MSC認証は、ロンドンに本部を置く、海洋管理協議会(MSC)が管理・運営する認証制度だ。MSC 漁業認証とMSC CoC認証の2種類からなる認証制度であり、2017年3月にGSSIの承認を受けている。MSC漁業認証は、持続可能で適切に管理されている漁業であることを認証するものだ。MSC漁業認証規格に基づき、第三者機関によって漁業審査が実施される。

MSC CoC認証は、MSC漁業認証を取得した認証水産物と、それ以外の非認証水産物が混ざらないように管理するための認証スキームだ。MSC CoC認証は、漁業や海洋資源などの持続可能性に配慮された「認証水産物を消費者のもとへ確実に届けること」を目的としている。

ASC認証

ASC認証は、オランダの非営利団体・水産養殖管理協議会(ASC)による認証制度だ。環境・社会に対して責任を持ち、配慮が行き届いた養殖場や水産物を認証するものであり、2018年9月にGSSIの承認を得ている。ASC認証の目的は、水質汚染・生態系の撹乱・劣悪な労働条件といったさまざまな問題に対応しながら、養殖を適切に管理することだ。MSC認証ラベルは天然の水産物に表示されるのに対し、ASC認証ラベルは養殖の水産物に表示される。

また、サプライチェーンにおけるすべての企業が「非認証製品の混入を防ぐためのCoC認証」を取得していなければ、販売製品にASC認証ラベルを表示できない。2024年12月時点で、ASC認証を取得している国内の企業・漁協は19件であり、認証養殖場の数は46にのぼる。

MEL認証

MEL認証は、一般社団法人マリン・エコラベル・ジャパン協議会が運営する、日本発の水産エコラベル認証制度だ。2019年2月にGSSIの承認を受け、国際的な標準スキームとして認められている。

MEL認証では、第三者が水産資源の持続性と環境に対して配慮している漁業・養殖業生産者を審査し、認証する。さらに、認証生産者が卸す水産物を流通・加工する事業者にも CoC認証の取得が求められる。2024年12月時点で、計265件の事業者・団体がMEL認証を取得済だ。内訳は、漁業認証25件、養殖認証70件、流通加工段階のCoC認証が170件となっている。

サステナブル・シーフードのメリットと課題

サステナブル・シーフードがもたらすメリットとしては、以下が挙げられる。

・水産資源や生態系の保護につながる
・長期的に安定した水産物の供給が期待できる

消費者がサステナブル・シーフードを積極的に選ぶことで、水産資源や生態系を守る活動を後押しできる点がメリットだ。消費者は、安心して魚介を消費しながら、水産資源を未来につなぐ取り組みに貢献できる。

また、サステナブル・シーフードが社会に評価されることで、適切な方法で管理された漁業・養殖の普及も進みやすくなる。サステナブル・シーフードの取り組みに参画する企業・団体が増えると、過剰漁業などを防ぎながら、長期的に安定した水産物供給が期待できるのも利点だ。

しかし、サステナブル・シーフードに関する認証取得のハードルは高く、「まだまだ認証をクリアした製品が少ない」という課題もある。現時点でスーパーなどでサステナブル・シーフードに出会える機会は限られているかもしれないが、私たち消費者にできる行動は少なくない。

例えば、WWFジャパンのホームページでは「サステナブル・シーフードを購入したい」、「選ぶための情報を表示してほしい」といった意思表示を行う方法を紹介している。具体的には、スーパーのお客様カードに書き込む方法や、企業ホームページの「ご意見・お問合せ・お客様相談室」といった項目から送信する方法が挙げられる。

サステナブル・シーフードを選ぼう

サステナブル・シーフードを選ぶ方法は、大きく分けて以下の2つだ。

サステナブル・シーフードを選ぼう
・飲食店で食べる方法
・スーパーマーケットなどで購入する

MSC・ASC・MELといった認証取得を示す水産エコラベルは、サステナブル・シーフードを見分ける手がかりにできる。さらに、サステナブル・シーフードを取り扱う飲食店を紹介するサイトや、魚の選び方などをまとめたガイドも存在する。以下のような情報を積極的に活用するのも1つの方法だ。

サステナブル・シーフードが食べられるレストラン|WWFジャパン

MSC・ASCラベル付きのメニューの提供、持続可能性が比較的高い水産物の調達といった基準を満たす飲食店を掲載。サステナブル・シーフードの普及に取り組む人たちを応援している。

ブルーシーフードガイド|Sailors for the sea

持続可能な水産物を優先的に消費する行動を後押しする目的で作られた、ポジティブなガイド。水産業全体を支援しながら、枯渇した水産資源の回復を促す考え方に基づいて作成されている。エリア版ガイドには、審査を経てブルーシーフードパートナーに認定された飲食店や企業も掲載されている。

まとめ

日本をはじめ、世界は水産資源の問題に直面している。だが、「今ある魚介類が将来は食べられないかもしれない」という身近な問題の重要性はあまり認識されておらず、日本近海で水産資源の状態が良くない現状も広くは知られていない。まずは、海や水産資源を取り巻く課題と将来想定されるリスクを正しく知るのが大切だ。

さらに、私たち消費者にできる選択や行動を知り、実践するのも有効である。実践の具体例としては、水産エコラベルが表示された製品を購入したり、「サステナブル・シーフードを購入したい」という意思をお店・企業に伝えたりする方法が挙げられる。海洋環境や水産資源、未来の食文化を守るために、一人ひとりがエシカル消費を継続していく必要があるだろう。

参考記事
「サステナブル・シーフード」とは?|MSC
The State of World fisheries and aquaculture 2024|FAO
世界人口の増大が鈍化、2050年に97億人に達した後、2100年に110億人で頭打ちか|国際連合広報センター
令和5年度水産白書 第4章「水産業をめぐる国際情勢」|水産庁
令和5年漁業・養殖業生産統計|農林水産省
水産エコラベルをめぐる状況について|水産庁加工流通課
MSC認証の概要|MSC
環境ラベル等データベース_MSC認証|環境省
なぜ養殖認証が必要なのか|ASC Japan
ASC認証|ASC Japan
CoC認証について|ASC Japan
ASC 12月ニュースレター|ASC Japan
認証の仕組み|MEL協議会
認証された事業者・団体一覧|MEL協議会
海を守るためのさかなの選び方と食べ方〜サステナブル・シーフードを選ぼう〜|WWF
消費者のみなさんができること〜海の環境と生きものを守っていくために〜|WWF
サステナブル・シーフードが食べられるレストラン|WWFジャパン
ブルーシーフードガイド|Sailors for the sea

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