ベジタリアンとは?環境にも体にも優しい食生活の種類やメリットを紹介

ベジタリアンとは 環境にも身体にも優しい食生活の種類やメリットを紹介

ベジタリアンとは

ベジタリアンとは、肉や魚などは食べずに穀物や豆類、野菜・果物、ナッツ、代替肉などの植物性食品を摂る人のこと。この言葉は、「健全な、新鮮な、元気のある」を意味するラテン語 “vegetus” に由来し、1847年に英国ベジタリアン協会が発足した際に初めて使用された。

観光庁のデータ(*1)によると、世界のベジタリアン人口は毎年増加しており、2023年には約5.3億人に達している。2003年には3.5億人、2013年には4.3億人であったため、10年で約1億人ずつ増えていることになる。また、国と地域別のベジタリアン人口比率としては、1位のインドが20%と高く、2位が台湾、3位以下は欧米豪諸国が多くなっている。日本の人口に占めるベジタリアンの割合は5.1%となっている。

ベジタリアンの種類

ベジタリアンの種類

ベジタリアンと一口にいっても、食べるものの違いによってさまざまな種類がある。ここでは、種類とそれぞれの違いを説明する。

ヴィーガン (Vegan)

ヴィーガンとは、一切の動物性食材を食べず、植物由来のもののみ口にする完全菜食主義の人のことだ。別名ピュア・ベジタリアンと呼ばれることもある。ヴィーガンは命をいただく肉や魚だけでなく、卵・乳製品・ハチミツなど動物由来のものは全く食べない。さらに、魚や肉からとっているだしも口にしない。

また、食だけでなく生活に使う衣類などのアイテムにおいても、革製品や毛皮といった動物性製品は避ける傾向にある。

ローヴィーガン(Raw Vegan)

ローヴィーガンは、ヴィーガンと同様に植物性のものを食べるだけでなく、中でも生の野菜やフルーツ、ナッツなど酵素が豊富な「ローフード」を中心に食べる人を指す。ローフードとは、生の野菜やフルーツ、ナッツ、一定の温度以下で調理された酵素が豊富なもののことだ。

ローフードは、酵素が豊富な状態で食べることで、体に良い影響があると考えられているため、ローヴィーガンは酵素が壊れてしまう高温で加熱された野菜は避ける。

ラクト・ベジタリアン (Lacto Vegetarian)

ラクト・ベジタリアンとは、肉や魚、卵は食べないものの乳製品は摂取するベジタリアンである。牛乳やバター、チーズなどは食べられるため、カフェラテなどのドリンクは比較的自由に選べる。

オボ・ベジタリアン(Ovo Vegetarian)

オボ・ベジタリアンは、肉、魚、乳製品は食べず、卵は摂取できるベジタリアンである。卵は親鳥を殺さないため食べられるが、魚卵は魚を殺してしまうため食べられない。卵を摂取できるため、乳製品を使わないクッキーなどの焼き菓子も食べられる。

ラクト・オボ・ベジタリアン(Lacto Ovo Vegetarian)

ラクト・オボ・ベジタリアンは、肉と魚は食べず、卵と乳製品は食べる人を指す。オボ・ベジタリアンと同じように魚卵は魚を殺してしまうため食べない。卵と乳製品は自由に摂取できるため、スイーツやドリンクの多くは自由に食べられる。ただし、動物由来のゼラチンが入ったデザートは食べられない場合もある。

ペスカタリアン(Pescatarian)

ペスカタリアン(別名:ぺスコ・ベジタリアン)は、肉や肉の加工食品は食べないが魚介類は摂取するベジタリアンである。日本では魚のだしが料理に使われることも多いため、和食は食べられるものが多い。

ポーヨーベジタリアン(Pollo Vegetarian)

ポーヨーベジタリアンは、 牛肉、豚肉、羊肉、馬肉などの赤身肉と魚介類は食べないものの、鶏肉やターキーの肉や卵、乳製品は食べる人を指す。人によっては魚介類を食べる場合もある。鶏肉を食べられるため、ほかのベジタリアンよりレストランでのメニューの選択肢は多い。

オリエンタル・ベジタリアン(Oriental Vegetarian)

オリエンタル・ベジタリアン(別名:オリエンタル・ヴィーガン)は、ヴィーガンと同じように肉、魚、卵、乳製品を一切摂らず、そのうえ五葷(ごくん)と呼ばれる「長ネギ・玉ネギ・ニンニク・ラッキョウ・ニラ」を避ける人のことだ。仏教で五葷はにおいや刺激が強く、禅やヨガの修行を妨げるという考えがあるため、オリエンタル・ベジタリアンは精進料理の原点とされている。

フルータリアン(Fruitarian)

フルータリアンは、果物やナッツ類のみを食べる人のことで、根菜や葉野菜なども一切摂らない。植物を傷つけたり植物の命を奪ったりすることを避けるために、植物を生かしたまま果実部分のみを食べるという思想に基づいている。そのため、収穫時に茎や根を傷つけてしまう野菜は避ける。一方、キュウリやトマトなど、収穫時に命を奪わないものは人によって食べることもある。

フレキシタリアン(Flexitarian)

フレキシタリアン(別名:セミベジタリアン)は、植物性食品を中心とした食生活をしつつも、状況や体調に応じて肉や魚介類を摂取する場合もある人のことだ。健康志向や環境保護に対する意識からフレキシタリアンを選ぶ人が多く、野菜中心の食生活をしながら難しい時には肉や魚を取り入れている。 

【ベジタリアンの種類一覧】

ベジタリアンになる理由

ベジタリアンになる理由

ベジタリアンになる理由としてはおもに4つのきっかけがある。

健康意識

まずは、健康意識を高めたいという理由である。WHO(世界保健機関)が加工肉の発がん性を指摘したり、動物性食品にはコレステロールが多いことでさまざまな病気の原因になることから、健康を意識してベジタリアンを選択する人が多い。植物性の食品はビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富に含まれており、消化が良く体に負担をかけにくいため、ダイエットや慢性疾患のリスク低減にも効果があるとされている。ベジタリアンは、長期的な健康維持と生活の質の向上につながる選択肢として、人々の関心を集めている。

環境保護

環境保全の観点からベジタリアンを選択する人もいる。畜産業は、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出、森林破壊、水資源の大量消費などによって環境に大きな負荷をかけている。国連食糧農業機関(FAO)のレポートによると、世界の温室効果ガス排出量の14.5%が畜産業に由来するとされている。

また、魚の摂りすぎによる海の生態系破壊も深刻な問題となっているため、魚介類の消費を控えることで海の豊かさを守ろうとする動きもある。ベジタリアンになることは、比較的取り掛かりやすい環境保護への貢献活動なのだ。

アニマルウェルフェア

生き物の権利や命を尊重するアニマルウェルフェアの観点からベジタリアンに転換する場合もある。特に、動物への非人道的な扱いを知ったことで肉や魚を食べなくなるケースが多い。畜産業では、狭く劣悪な環境での飼育や暴力など、生産時における動物福祉を無視した行為が問題視されている。そのため、動物の命を犠牲にしたくないという考えから、ベジタリアンになる人が増加している。

宗教的理由

宗教的な背景から、ベジタリアンを実践する人々も多く存在する。例えば、インドで信仰する人が多いヒンドゥー教では不殺生の教えがあり、生き物を傷つけないことが重要視される。インドで人口あたりのベジタリアン比率が高いのは、この宗教上の理由がほとんどである。

また、仏教やジャイナ教などでも、生命の尊重や慈悲の心を説いており、菜食主義が勧められている。宗教の信仰に基づくベジタリアンの食生活は、精神性を高め、宗教が持つ価値観を日々の生活に取り入れる方法として多くの人に実践されている。

ベジタリアンのメリット

ベジタリアンのメリット

ベジタリアンの食生活には、健康効果を中心としたいくつかのメリットがある。

ダイエット効果がある

植物性食品を中心とした健康的な食生活によりダイエット効果が得られる可能性がある。体重増加の原因の一つは、脂質が多い動物性食品を多く摂取しカロリーオーバーになることである。植物性食品を摂取し続けるとカロリーを抑えられ、余分な脂肪も減っていくため、ダイエット効果が期待できるのだ。

高血圧や動脈硬化が予防できる

ベジタリアンの食生活は、高血圧や動脈硬化を予防できるとされている。一般的に、動物性の脂質は動脈硬化の原因となる悪玉コレステロールが多く含まれ、植物性の食品はコレステロールを減らすものが多いといわれているため、ベジタリアンの食生活により動脈硬化を予防できるのだ。また、動物性食品に含まれる脂質には多量の塩分が含まれるものも多く、植物性食品の方が比較的少ないため、高血圧の予防にもつながる。

便秘の悩みが改善される

植物性の食品を摂ることで、便秘の悩みが改善される可能性がある。ベジタリアンがメインの食材とする野菜には、食物繊維が多く含まれている。食物繊維は体内で吸収されずに、腸の動きを活発化し整えてくれるため、便通が良くなるのだ。食物繊維は一般的な食事では不足しがちなものだと捉えられているが、ベジタリアンになると努力せずとも摂れる場合が多い。

財布に優しい

ベジタリアンになると食費を安く済ませられる場合もある。野菜は肉や魚などの動物性食品よりも安く購入できるからだ。たとえば、以前は主菜を作る際に肉をメインに使っていた人が豆腐に変えるだけで、かなり食費を抑えられる。使う植物性食品によっても異なるが、野菜をメインとして食べる場合は費用を大幅にカットできる。

ベジタリアンのデメリット

ベジタリアンの食生活は一見メリットばかりに見えるものの、デメリットも存在する。

栄養素が足りない場合もある

ベジタリアンの食生活では、鉄分やタンパク質、カルシウムなどが少ないため健康的な生活を送るための栄養素が足りないことが多い。これらが不足すると筋力低下や貧血、骨粗しょう症のリスクとなる場合もあるため、適宜不足分を補いながら生活する必要がある。例えば、ベジタリアンの種類によっては卵や乳製品でカバーしたり、難しい場合はサプリを活用したりしてバランスをとっている。

外食時の選択肢が限られる

日本ではベジタリアンの比率も少ないため、外食でのメニュー選びで苦戦することがある。そのため、外食をする際はベジタリアン向けの店舗やメニューがある店を事前に調べておく必要がある。食事メンバーにベジタリアンの人がいる場合は、なるべくメニューの選択肢が多い場所を選ぶことが求められる。

まとめ

ベジタリアンは植物性食品を中心とした食生活を送る人々を指し、世界的に増加傾向にある。健康や環境保護に対するメリットも多いことから注目されているが、完全な移行は難しい面もある。そこで、フレキシタリアンが行う植物性食品を中心としつつも、状況や体調に応じて肉や魚介類を摂取する食生活から始めてみるのもおすすめだ。例えば、一日一食を植物性食品中心にしたり、外食時には野菜たっぷりのメニューを選んだりするなど、工夫次第で楽しめる。新しいチャレンジを楽しみつつも、無理をせずに自分に合う食生活を送ることが大切となるだろう。

注解・参考サイト

注解
*1 データ

参考サイト
ベジタリアン・ヴィーガン/ムスリム旅行者おもてなしガイド|観光庁
Livestock solutions for climate change | FAO
ベジタリアンとは?|日本ベジタリアン協会

About the Writer
中村衣里_中村エレナ

エリ

大学時代は英米学科に在籍し、アメリカに留学後は都市開発と貧困の関連性について研究。現在はフリーライターとして、旅行・留学・英語・SDGsを中心に執筆している。社会の中にある偏見や分断をなくし、誰もが公平に生きられる世界の実現を目指し、文章を通じて変化や行動のきっかけを届けることに取り組んでいる。関心のあるテーマは、多様性・貧困・ジェンダー・メンタルヘルス・心理学など。趣味は旅行、noteを書くこと、映画を観ること。この人が書いた記事の一覧

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