ポリアモリー(Polyamory)とは?意味や形態を解説。浮気性と何が違う?

ポリアモリー(Polyamory)とは

ポリアモリー(Polyamory)は、複数の人と恋愛し、その関係を関係者全員が合意している状態を指す。ポリアモリーは、浮気と混同されやすいが、明確な違いがある。それは、その関係を関係者全員が合意しているか否か、という点だ。

例えば、AさんにBさんという恋人がいて、AさんがBさんに隠してCさんとも付き合い始めたとする。こういった行為を浮気という。一方、AさんがBさんと付き合っているけれども、Cさんとも付き合いたい、と考え、Bさん、Cさんに相談、合意を得て、付き合い始めた場合は、ポリアモリーという。

ポリアモリーの場合、誰も、騙されたり、嘘をついたりはしていない。複数の恋人を持つことには不誠実なイメージがつきまとうが、ポリアモリーの実践者たちは、少なくともお互いに対しては誠実である、と言えるだろう。

ポリアモリーを実践する人々は、同じ時期に複数の人に対して恋愛感情を抱き、合意を得て複数人と関係を築くこともある。一方、同時期にひとりの人しか好きにならず、一対一の関係を望むことは、モノガミーという。

ポリアモリーの関連用語

次に、ポリアモリーの関連用語を解説していく。

ポリアモリスト/ポリーとは

ポリアモリーを実践する人のことを、ポリアモリストもしくはポリーと呼ぶ。

例えば、恋活の場(飲み会やマッチングアプリなど)で、「私はポリアモリストです」と自己紹介している人がいたとする。最初に、自分がどんな関係を望むのかを明確にしておくことで、余計なトラブルを避けることができる。

ポリアモラスとは

ポリアモラスとは、同時に複数の人を好きになる感受性のことを指す。ポリアモリーを実践しているか否かに関わらず、複数の人を同時に好きになったことがある人のことは「ポリアモラスな人」と呼ぶことができる。

メタモアとは

メタモア(Metamour)とは、ポリアモリーの関係において、共通のパートナーを持っているが、互いには恋愛関係にはない相手のことを指す。

例えば、AさんがBさんと恋愛関係にあり、同時にAさんはCさんとも恋愛関係にある場合、BさんとCさんの関係をメタモアと呼ぶ。

メタモアは、仲良くなるパターンもある。ポリーの中には、メタモアとグーグルカレンダーなどを共有し、デートの日が被らないように調整する人たちもいる。一方、お互いに距離を保ったままだったり、名前だけ知っているだけだったりするパターンもある。

興味をそそられるのは、ポリアモリーの場合、メタモアに対して好意的な感情を抱くケースが少なくない、という点だ。浮気の場合、浮気相手に対しては、嫉妬や怒りなどを感じることが多いだろう。しかし、メタモアに関しては、「コンパージョン」という感情を抱くこともあると報告されている。コンパージョンとは、自分の恋人がメタモアから愛されている、もしくは恋人がメタモアを愛していることを知った時に生まれる喜びの感情のことだ。

もちろん、ポリアモリーの界隈では、嫉妬をどうコントロールするかが議題に上がることも珍しくない。しかし同時に、メタモアを愛していること、またはメタモアから愛されていることに対し、プラスの感情を抱くケースも珍しくないのだ。

さまざまな形のポリアモリー

ポリーたちは、様々な形でポリアモリーを実践している。以下に代表的な例を紹介する。

メインのパートナーが決まっているポリアモリー

同居しているなど、メインのパートナーをプライマリーパートナーと呼び、その次に距離が近いパートナーをセカンドパートナーと呼ぶ形を導入している人もいる。

近年、既婚者の有名YouTuberが、恋人をセカンドパートナー(セカパ)として紹介している動画がバズるなどの出来事があったが、このYouTuberは、ポリーであると定義できる。

ヒエラルキーのない形のポリアモリー

プライマリーパートナー、セカンドパートナー、と順位をつけることなく、全員が対等に扱われるポリアモリーも存在する。

ポリアモリーを実践する人々に対する偏見・差別

ポリアモリーを実践する人々に対する偏見・差別

日本をはじめ、多くの国はモノガミーかつ一夫一婦制が基本となっているため、ポリアモリーの人はマイノリティとして差別や偏見の目に晒されることが珍しくない。

ポリアモリーの人たちは、しばしば、理解し難いものとして「気持ち悪い」と評される。また、浮気とポリアモリーを同一視している人も多いため、「浮気を正当化している」「不誠実な遊び人」とみなされるケースも珍しくない。

そのため、ポリーの多くは、自分がポリーであることを公にせずに生活している。法的にもポリーのパートナーが保護されることはない。

ポリアモリーは特殊な恋愛関係なのか?

身近でポリアモリーを実践している人に出会ったことがある人は少ないだろう。しかし、ポリアモリーとは、そんなに特殊なことなのだろうか?

『ポリアモリー 複数の愛を生きる』(深海菊江著 平凡社)では、自覚していないだけでポリアモラス(複数の人を同時に好きになるような感受性)であることは珍しくない、と述べている。本書では、以下のチェック項目を設けている。いくつ当てはまるだろうか?

  1. 交際相手がいるのにほかの人を好きになったことがある
  2. 配偶者がいるのにデートしたいと思う相手が現れたことがある
  3. すでにパートナーがいる人を好きになったことがある
  4. 実は浮気をしたことがある
  5. 実は二股をかけたことがある
  6. 実は不倫をしたことがある

本書によると、こういった項目がひとつでも当てはまる人は、「ポリアモラスな体験がある」と言えるという。

しかし、モノガミー規範を内面化している人たちにとっては、複数人を同時に好きになったり、関係を持ったりすることはふしだらだったり、浮気性だと断罪されることが多い。それゆえ、同時に複数人を好きになっても、罪悪感で苦しんだり、関係を発展させないようにしたり、パートナーに隠したり嘘をついて誤魔化したりすることになりがちだ。

一方、ポリーを自認する人たちは、同時に複数の人を好きになる、という感受性を否定しない。同時に複数の人を好きになることを否定せず、全員に嘘をつかずに関係を構築しようとする実践の試みがポリアモリーなのだろう。

ポリアモリーについて学びたいなら?

近年、ポリアモリーについての書籍が発売されるなど、ポリアモリーについて学べる機会は増えつつある。ここでは、ポリアモリーについてより深く知りたい方のために、参考資料を紹介する。

ポリアモリー関連の書籍

前述の『ポリアモリー 複数の愛を生きる』(深海菊江著 平凡社)は、日本で最初に発売されたポリアモリー関連の一般書籍だ。研究者の深海が、ポリアモリーについて取材したものをまとめたもので、用語解説なども明確で、わかりやすい。

近年発売されたものだと、『もう一人、誰かを好きになったとき ポリアモリーのリアル』(荻上チキ著 新潮社)がある。これは、日本で初めて100人以上の当事者にインタビュー調査をしてまとめられた書籍だ。

日本ではまだまだポリアモリーに対する偏見が強いため、ポリーを公言する人はほとんどいない。しかし、本書を読めば、ポリーが確実に存在していることがわかる。

オンラインコミュニティやSNS

ポリアモリーを実践している人のオンラインコミュニティや当事者が発信するSNS上では、経験や悩みがシェアされている。そういったオンライン上のコミュニティを覗いてみることで、学びが深まるケースもある。

ポリアモリーの交流会ポリーラウンジ」

東京などの都会では、しばしばポリアモリーの実践者、またはアライ(セクシャルマイノリティに理解を示し、サポートをする人)のオフラインの交流会が開催されている。ポリアモリーの交流会の代表的なものとして「ポリーラウンジ」がある。「ポリーラウンジ」は、当事者によって運営されており、東京、大阪、名古屋などで定期的に交流会や勉強が開催されている。そういった交流会に参加すれば、当事者から直接話を聞くことができる。

さいごに。複数恋愛の受け止め方は、時代や文化によって変わる

ポリアモリーは現在、社会の規範にそぐわないとして、非難されることが多い。

しかし、かつては日本でも、権力のある男性が、女性を第二婦人、第三婦人にしたり、妾にしたりすることは、公にも法的にも認められていた時代があった。

どういった恋愛・性愛の関係が正しいか、という規範は時代や文化によって変わってくる。ポリアモリーに関しても、人々がどのように受容するのかは、時代の流れとともに変わっていくだろう。

参考書籍
『ポリアモリー 複数の愛を生きる』(深海菊江著、平凡社)
『もう一人、誰かを好きになったとき ポリアモリーのリアル』(荻上チキ著、新潮社)

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