デジタルデバイドとは
デジタルデバイドとは、インターネットを利用し、情報にアクセスできる人とできない人の情報格差のことだ。
現代人にとって、インターネットは生活に欠かせない道具であり、人とのつながりや学習・仕事の機会など、さまざまな面で役立てることができる。一方、インターネットを活用できない人は、人とのつながりを維持しにくかったり、仕事のチャンスを得られなかったりと、不利な立場に立たされることが多い。近年、こういった格差をなくすために、デジタルデバイドの解消が求められている。
デジタルデバイドの問題点

「昔の人はインターネットを使っていなかったのだから、ネットを使わない人がいても問題ないのでは?」と思われる方もいるかもしれない。実際、ネットを介して常に情報にアクセスしたり人とつながったりすることに疲弊している現代人は多い。デジタルデトックスと呼ばれる、ネット断ちも一時流行したほどだ。しかし、ネットを使いすぎて疲れてネット断ちをする人と、最初からネットの情報にアクセスできない環境にある人とは、全く状況が異なる。
いまの時代、ネットを使わないことで逃してしまうチャンスは軽視できない。ネットが普及していなかった時代と比べ、ネットを使うことが常識化しているからこそ、情報格差が問題になってくるのだ。
情報格差により生まれる問題1 経済格差・貧困から抜け出せない
インフラが整備されていない地域や、経済的に余裕のない家庭で、Wi-Fiがない場合、ネット機器を使いこなすことができない。例えば、途上国では、ネットを使うことができないため、ニュースを知ることができなかったり、学習機会が失われたりすることもある。ネットが使えないことで、経済格差が固定されてしまうリスクもあるのだ。
情報格差により生まれる問題2 つながりが維持できず、孤立する
SNSなどを使えば、趣味の仲間とつながったり、憧れの人と会話をしたりできる。しかし、SNSを利用する環境がなければ、そういった新しいつながりは生まれにくい。特に高齢者の場合、ネット上のつながりがなく、オフラインのつながりも薄れてきた結果、精神的に孤立してしまう可能性もある。
情報格差により生まれる問題3 いざという時に頼れる情報にアクセスできない
ネットはさまざまな情報が溢れている。中にはフェイクニュースや、ヘイトを煽る悪質な情報も多い。しかし、困ったときに問い掛ければ、簡単に公的な支援の窓口を見つけることができる、というメリットもある。
例えば、性犯罪被害にあってしまった場合、「性犯罪 ワンストップセンター」と検索すれば、「♯8891」に電話すればいいことがわかるし、オレオレ詐欺被害にあった場合には「オレオレ詐欺 相談」と検索すれば、「♯9110」で警察が対応してくれることがわかる。
一方、ネットを使うことができなければ、緊急事態にどこに相談すればいいのかがすぐにはわからない。事件や事故に巻き込まれた時、対応が遅れてしまったら、最悪の場合、命に関わるケースもあるのだ。
デジタルデバイドの原因
次に、デジタルデバイドの原因について確認していく。
デジタルデバイドの原因1 経済的な貧しさ
ネットにアクセスするためには、パソコンやスマートフォンなどの機器が必要になる。また、インターネットに接続するためにもお金がかかる。
発展途上国や、低所得な世帯では、これらの費用が大きな負担となり、ネットに気軽にアクセスすることが難しいケースも少なくない。
デジタルデバイドの原因2 学習機会の乏しさ
ネットを上手に活用するためには、基礎的なネットリテラシーが必要になる。
高齢者など、ネットリテラシーを学ぶ機会がなかった世代と、生まれた時からスマホで遊んでいた世代とでは、情報格差が生まれるのは自然の成り行きだろう。
デジタルデバイドの原因3 インフラ整備の遅れ
途上国や、人があまり住んでいない田舎などでは、インターネットの整備が遅れていたり、インターネットが整備されていたとしても、速度が遅く、スムーズに利用できなかったりする場所もある。こういった地理的要因も、デジタルデバイドの一因となっているのだ。
デジタルデバイドの原因4 文化的・思想的にネットに抵抗感がある
一部の社会、地域、世代、宗教では、ネットの利用に対する不信感・抵抗感が強い。特に伝統的な生活様式を重視するコミュニティでその傾向は顕著だ。
例えば、キリスト系の宗教集団であるアーミッシュでは、デジタル機器を使うことが忌避されてきた。文明を遠ざけ、電車も使わず、パソコンも使わない。そういった生き方こそが正しいと考える集団もいるのだ。(しかし、近年、アーミッシュの中にはスマホなどを活用し始めた人もいる。)
ネットに対する人々の価値観は日々変化している。例えば、近年結婚したカップルの3組に1組はマッチングアプリを利用して出会っている。しかし、現代の40代以上の日本人は、「出会い系」のイメージがあるため、マッチングアプリに抵抗がある人が多い。
ネットやその使い方に固定のイメージがあり、使用に抵抗感がある人は少なくないのだ。
デジタルデバイドの原因5 障害がある
身体的な障害があり、デジタル機器を使いこなせない、という人もいる。
視覚や聴覚に障害があるために、限られた情報にしかアクセスできないという人もいる。また、知的な障害があるためにデジタル機器を使いこなすことが困難だという人もいることも忘れてはならない。
データで見るデジタルデバイドの現状

日本におけるデジタルデバイドの問題は、高齢者において顕著だ。
総務省の「通信利用動向調査」(令和5年)(※1)によると10代から50代では9割以上がインターネットを使用している一方、80歳以上は36パーセントしか利用していない。
つまり、80歳以上の日本人の約6割はネットを使えていないのだ。80歳以上でスマホを持っているのは17.8パーセントしかおらず、パソコンの利用者も12パーセントに止まっている。
高齢者のデジタルスキル・リテラシー不足は深刻だ。デジタル機器を使いこなすことができなければ、行政手続きがスムーズにできなかったり、医療サービスへのアクセスが難しくなったりする可能性がある。政府や自治体は高齢者むけにデジタルリテラシー向上のための講習会を開催するなどの支援策を進めているが、十分な成果が出ているとは言えない状態だ。
デジタルデバイドの解決策
次に、デジタルデバイドを解消するための対策を見ていこう。
デジタルデバイドの解決策1 ネット環境のインフラを整備
地方にも高速インターネット回線を整備するなど、インフラを整えることが大切だ。どんな場所でも安心して、かつ安価にネットを利用することが、デジタルデバイドの解決の第一歩となるだろう。
デジタルデバイドの解決策2 ネットリテラシーを高める
学校や、地域のコミュニティでネットリテラシーを高める教育機会を提供することも大切だろう。とくに、高齢者が抵抗なくデジタル機器を使いこなせるための継続的な支援が求められる。
デジタルデバイドの解決策3 経済的な支援
低所得の世帯は無料または安価でデジタル機器やネット接続を利用できるような支援が必要だろう。具体的には、補助金制度や格安プランの提供、学校でタブレットを無料配布する、などの方法が考えられる。
デジタルデバイドの解決策4 ネットへの抵抗感を和らげる
高齢者に対しては、ネットへの抵抗感を和らげる対策が必要だろう。ネットを使うとどのような利便性があるのか、に加えて、安全性もアピールする必要があるだろう。
さいごに
デジタルデバイドは、現代社会における深刻な問題のひとつだ。
ネットやデジタル技術を利用できる人とできない人では、教育の機会、就業の機会、コミュニティに所属する機会、多様な情報にアクセスする機会に大きな格差がある。
そういった不平等を解消するために、政府や自治体が具体的な施策を実行する必要があるだろう。
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