
東京一極集中による地方の人口減少や高齢化が進む今、日本の未来を切り拓く鍵は「地方」にある。地域資源を活かし、持続可能なまちづくりを進める地方創生は、今こそ再注目すべき重要なテーマだ。持続可能な地域社会を築き、日本全体の活力を高めるためには、私たち自身の行動が未来を創る一歩となりえるだろう。
地方創生とは

「地方創生」とは、急速な少子高齢化の進展と、東京圏への人口の過度の集中という二つの課題に同時に対応し、地域ごとの「個性」を活かして活力ある社会を築く国家的な取り組みだ。
単なる地域経済の活性化に留まらず、人口減少への対応や社会の持続的な発展を図るための総合的な戦略である。できない苦しみに、誰かが苛まれている。
地方創生はなぜ必要?

私たちは今、東京一極集中と地方の過疎化という課題に直面している。地方の人口減少は、その地域の衰退を招き、都市部の人口集中は災害リスクの増大や経済の偏重につながる。地方創生はこうした課題の打開策として不可欠なのだ。
地方における課題
少子高齢化が進む中で、地方は人口減少、産業の衰退、医療・福祉サービスの質の低下といった複合的な課題を抱えており、例えば以下の3つが挙げられる。
地方創生が目指すもの:4つの基本目標と2つの横断目標

地方創生は、日本全体の活力を高めるための国家戦略であり、内閣府は具体的な4つの目標と2つの横断目標を掲げている。これは4つの基本目標に対し、それらを支える2つの横断的目標という構造だ。
4つの基本目標
しごと【安定した雇用の創出】
地域の特性を活かした産業振興や観光、農業の強化により、新たな雇用を創出。若者や女性、高齢者が地元で安定して暮らせる仕組みづくりを目指す。
ひとの流れ【地方への新しいひとの流れ】
Uターン・Iターンやテレワーク、二拠点生活の支援を通じて、都市から地方への移住・定住を促進する。多様な人材が活躍できる地域づくりを推進する。
結婚・出産・子育て【若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる】
保育や教育の充実、支援制度の強化を通じて、若い世代が安心して家庭を築ける環境を整え、少子化の改善を図る。
まち【ひとが集う、安心して暮らすことができる地域をつくる】
交通・医療・防災などのインフラ整備を通じて、暮らしやすく魅力ある地域を形成する。コミュニティの維持・強化を目指す。
2つの横断目標
多様な人材の活躍を推進
年齢や性別、国籍、障がいの有無に関わらず、誰もが活躍できる社会づくりを目指す。
新しい時代の流れを力にする
デジタル化やグリーン化、Society5.0など現代社会の変化を活用して、地域課題を解決する。
地方創生の成功に必要な視点

地方創生を成功させるためには、内閣府が示す以下の3つの視点が不可欠だ。これらを意識することで、持続可能な地域づくりへと繋げられる。
「地域ならでは」の強みを活かす視点
その地域にしかない歴史、文化、自然、産業などの独自性を深く理解し、それを最大限に活かすことが重要だ。地域にしかない自然環境や特産品や個性、魅力を見つめ直し、それを活用した経済活性化や観光復興、商品開発などが必要となる。
「地域外」との連携を強化する視点
地域内だけで完結するのではなく、都市部や他の地域との連携を積極的に図ることが求められる。例えば、新事業や広域観光ルートの構築、外からの資源・人材を取り込むことで地域内だけでは生まれにくいイノベーションや新しい価値を創出する、などが挙げられる。
「未来志向」で持続可能性を追求する視点
目先の利益だけでなく、将来にわたって地域が存続し、発展していくための視点を持つことが重要である。これは環境負荷を抑えた事業、教育や福祉への投資、次世代を担う人材育成を通じて、長期的に地域を支える体制づくり、などがその例だ。
地方創生の取り組み事例

地域創生の取り組みは、国や多くの企業も含め既に全国で行われている。ここでは、国と企業それぞれの取り組み事例をいくつか紹介する。
国の取り組み事例
「地方創生交付金」による財政支援
地方公共団体が自律的かつ意欲的に地方創生に取り組めるよう、国が財政的な支援を行う制度。結婚・出産・子育て支援、移住・定住の促進、地域人材の育成・確保、観光や農林水産業の復興など、地域の特性に応じた多様な事業が対象となる。
「地域再生計画」の認定
地方公共団体が地域の課題解決や活性化を目的として策定する計画を国が認定し、財政支援や規制緩和などの支援を行う。地域独自の再生や発展活動を後押しする。
「関係人口創出・拡大事業」の推進
移住者でも観光客でもない「地域と多様な形で関わる人々(関係人口)」の創出・拡大を支援する。関係人口を地域に呼び込み、テレワークや二地域居住などを後押しする。
企業の取り組み事例
地方拠点設置・サテライトオフィス開設
大手IT企業やベンチャー企業などが、都市部に集中していた機能を地方に移転することで、都市部の優秀な人材が地方で働く機会を作る取り組みが行われている。例えばアニメ制作会社のシャフトは、2022年に東京都杉並区から静岡県静岡市へ本社機能の一部を移転し、制作スタジオを新設した。これは制作費の削減や長期的な人材育成による内製強化を目的としている。
地域産品を活用した新商品開発・販路拡大
食品メーカーや小売業などが、地方の特産品や伝統的な食材を活かした新商品を開発し、全国展開する事例が増えている。例えば株式会社JR東日本商事は、地産品を活かしたプライベートブランド商品「おやつTIMES」を開発し、首都圏の駅構内店舗やECサイトで販売している。
地域課題解決型ビジネスの展開
徳島県の株式会社いろどりは、山間地の葉っぱ(つまもの)を地域資源として活用し、料理の装飾用に全国の料亭や飲食店へ販売する「葉っぱビジネス」を展開している。高齢者を中心に地域住民が生産者となり、売上は2億円を超える規模に成長。地域の雇用創出や高齢者の生きがいづくりにもつながっている。
地方創生のために私たちができること

地方創生は、国や自治体、企業だけの取り組みだけではない。私たち一人ひとりが意識し、行動することで、その推進に貢献することができるだろう。個人ができる活動には、例えば以下のようなことがある。
地域活動への積極的な参加
地域のイベントやボランティア活動に積極的に参加することで、地域コミュニティの活性化につながる。お祭りへの参加、清掃活動、地域のNPO活動への協力など、小さな一歩が地域の活力を生み出すといえる。またその地域の魅力や課題を肌で感じることもできる。
SNSでの地域の魅力発信
SNSを活用して、自分が住んでいる地域や訪れた地域の魅力(美しい風景、美味しい食べ物、ユニークな文化など)を発信することで、地域の認知度向上に貢献できる。観光地では”映えスポット”が用意されていることもあるので、楽しみながら地域の発信ができるだろう。
ふるさと納税を使った寄付
ふるさと納税は、納税者が自分の応援したい自治体に寄付を行うことで、寄付額のうち2,000円を超える部分について所得税や住民税の控除を受けられる制度だ。寄付先はどの自治体でも選ぶことができ、納税という形で地方創生への貢献ができる。
まとめ

地方創生は、一朝一夕に結果が出るものではなく、長期的な視点と粘り強い取り組みが必要だ。人口減少、少子高齢化、東京一極集中という構造的な課題に対し、国、地方自治体、企業、そして私たち一人ひとりが連携し、それぞれの役割を果たすことが不可欠だ。
例えば、地域の特産品を積極的に購入する、ボランティア活動に参加する、SNSで地域の魅力を発信する、といった個人でもできる行動は、地方創生の大きな力となる。また、もしあなたが東京出身者であれば、一度地方に出向くことで、新たな発見や地方創生への関心が生まれるだろう。
参考サイト
地方創生総合サイト|内閣官房・内閣府総合サイト
まち・ひと・しごと創生 |内閣官房・内閣府総合サイト
静岡で輝くクリエイター☆アニメ業界の新たな風 | 静岡市企業立地ナビ
のもの > おやつTIMES|JR東日本
葉っぱの町上勝町から人と社会に喜びと感動を|株式会社いろどり



























佑 立花
2018年よりWEBライターとして活動。地方創生やサステナビリティ、ウェルビーイング、ブロックチェーンなど幅広い分野に関心を持ち、暮らしに根ざした視点で執筆。現在は農家の夫と生まれたばかりの子どもと共に古民家で暮らし、子育てと仕事を両立しながら、持続可能な未来につながる情報発信を行っている。
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