報道の自由度とは?ランキングから読み取れる世界の事情や重要視される背景について

報道の自由度とは?

「報道の自由度」とは、報道機関が国民に事実を伝える際の自由のレベルを指す。報道の自由は、各国の法律で規定された「表現の自由」に含まれ、尊重されているとされる。日本においても、日本国憲法の中で表現の自由が保障されている。しかし、権力をもつ機関による情報操作や印象操作、あるいは報道機関への圧力などにより、「報道の自由」が確保されないこともある。このような圧力の度合いによって、国家間で報道の自由度のレベルに違いが生じている。

国際ジャーナリスト組織である「国境なき記者団(RSF:Reporters Without Borders)」は、各国の「報道の自由度」を集計・評価して発表している。それが自由度のレベルをスコアで表した「報道の自由度ランキング」で、数値が高いほど「報道の自由度」が高いことを意味している。報道の自由度は、国民のウェルビーイングを計る際にも重要な指標となる。

なお「国境なき記者団」では、報道の自由を「個人および集団としてのジャーナリストが公共の利益のためにニュースを選択し、制作し、発信する能力」と定義している。

「報道の自由」が求められる背景

「報道の自由」が重要なのは、国民の「知る権利」が民主主義の根幹をなすものだからだ。民主主義では自由な討論が行われることで成り立ち、そのためには国民が必要な情報にアクセスできることが前提となる。

この際の情報は、大部分が報道機関によって伝達されるもので、国民の知る権利は報道機関の報道によって左右されるものであるとも言える。つまり国民にとって報道機関は、正しい情報を得るために必要不可欠な存在ということになる。

多くの民主主義国家では三権分立を採用しており、相互に監視する機能がはたらく。しかし、それらのチェック機能が十分にはたらいていないケースもある。そのため報道機関は、国民のために権力機関を監視する役割も果たす。そして幅広く取材し、国民が必要とする情報を的確に報道する役割も担う。そのため、世界のあらゆる国で「報道の自由度」が重要視されているのだ。

「報道の自由度ランキング」の評価基準

「国境なき記者団」はフランスを拠点とする非営利団体で、すべての人が自由で信頼性のある情報が得られるように様々な活動を行っている。その一つが2002年から発表している「報道の自由度ランキング」だ。

ランキングは以下の5つの指標をもとに付けられている。

指標内容
政治的背景政治的な圧力に対するメディアの自律性の度合い、政治家や政府の責任を追求するというメディア本来の姿勢の度合い
経済的背景報道機関の設立を難しくさせるような政府による経済的制約の有無、メディアの利益に対する経済的制約の有無
法的枠組みジャーナリストの活動に対する検閲や司法制裁といった制限の有無、自由な活動ができる度合い
社会文化的背景階級や民族、ジェンダーなどの問題に対して報道機関に生じる社会的な制限の度合い
安全性ジャーナリストに対する殺人や暴力、勾留などの身体的危害の有無、業務上に起こりうる被害の度合い

この5つにおいて、各国・地域のスコアを評価する。スコアの算出方法は、メディアやジャーナリストに対する虐待の量的推計に加えて、パートナーNGOや特派員、研究者などへのアンケート結果に基づく質的分析をもとに100点満点で行われる。

「報道の自由度ランキング2024年」

2024年5月に公表された「報道の自由度ランキング」では、180カ国・地域が対象となった。下記の表は上位30位までのランキングだ。

「報道の自由度ランキング2024年」(編集部作成)

以下では、ランキング全体の評価、日本に対する評価に分けて紹介していく。

ランキング全体の評価

1位は8年連続のノルウェーで、グローバルスコアは唯一の90点オーバーとなった。ただし、2023年の95.18ポイントから4ポイント近くスコアを落としている。なお、前年2位だったアイルランドは8位に下落し、3位だったデンマーク、4位だったスウェーデンがそれぞれ1つ順位をあげた。

特筆に値するのは、スコア85以上はすべてEUの国ということだ。EUでは2022年に「欧州メディア自由法(EMFA)」が採択されており、メディアの独立性を共通原則として定めている。

前年ワースト3のベトナム(178位)、中国(179位)、北朝鮮(180位)は、2024年には174位、172位、177位にそれぞれ上昇した。一方、政治的不安が増しているアフガニスタンが178位、シリアが179位、エリトリアが180位となり、2024年のランキングにおいてワースト3を記録した。

ちなみに2024年は、「政治的背景」の指標が全体的に下落したことが指摘されている。政治的な圧力により、世界的に報道の自由が損なわれていると考えられている。

日本の評価

一方、日本のランキングは70位(スコア62.12)となっている。前年と比較して、スコアは63.95から下がり、ランキングも68位から下落した。

各項目の評価は以下の通りとなっている。

  • 政治的背景:73位(前年83位)
  • 経済的背景:44位(同47位)
  • 法的枠組み:80位(同73位)
  • 社会文化的指標:113位(同105位)
  • 安全性:71位(同60位)

「国境なき記者団」は、政府や企業からの圧力により、汚職や環境汚染、セクハラ、健康問題などのセンシティブな問題に対する厳しい自主規制がメディアではたらいていると厳しく評価した。また、日本特有の記者クラブ制度に対しては、ナショナルグループによるフリーランスや外国人記者に対する差別や嫌がらせのもとになっていると指摘している。

なお先進7カ国のランキングは、ドイツ10位、カナダ14位、フランス21位、イギリス23位、イタリア46位、アメリカ55位で、日本は先進国中では最下位となっている。

「報道の自由度ランキング」における日本の推移

「報道の自由度ランキング」における日本の推移

2002年から始まった「報道の自由度ランキング」において、日本のランキングがどのように推移しているか確認したい。

「報道の自由度ランキング」日本のランキング推移(編集部作成)

日本におけるランキングの最高位は、民主党政権時代の11位(2010年)だ。しかし2013年以降は、50位以下が定位置となっている。そのきっかけとなったのが、東日本大震災後に起きた福島第一原子力発電所での事故だ。「国境なき記者団」は、十分な情報公開が行われなかったことのほか、ジャーナリストが検閲に加えて警察や司法による嫌がらせを受けていると指摘した。

2013年の年末には、国の安全保障に著しい支障を与える情報を「特定秘密」とする「特定秘密保護法」が制定された。国民が知るべき情報が公開されなくなる可能性が高まったとして、2014年のランキングはさらに順位を落とし59位となった。

日本のランキングが最も低いのは2016年と2017年の72位だが、この時期にはニュース番組のキャスターが降板に追い込まれるという事態が相次いだ。記者クラブの活動による弊害もさらに強くなり、記者会見ではネットメディアやフリージャーナリストが発言を求めてもほとんど指名されなくなったとしている。

こうした事態には政治的な圧力がはたらいたことが指摘されるが、「国境なき記者団」も「日本のメディアの自由度が衰退している」と厳しく評価した。

「報道の自由」を保障する日本の法律

日本では「報道の自由」に関して、「日本国憲法」「放送法」「電気通信事業法」「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」の4つの法律により、以下のように保障している。

法律内容
日本国憲法」(第二十一条言論、出版その他一切の表現の自由を保障する。検閲をしてはならない。通信の秘密を犯してはならない。
放送法」(第一条放送の不偏不党、真実および自律を保障することで、放送による表現の自由を確保する。
電気通信事業法」第六条電気通信事業者は不当な差別をしてはならない。
青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(第三条世界に向けて自由な表現活動ができるインターネットを利用できる環境の整備に関して、民間が主体的に行う取り組みを国や地方自治体は尊重する。

なお「報道の自由」に関する代表的な判例として、1968年に発生した「博多駅事件」をきっかけに訴訟に発展した「博多駅テレビフィルム提出命令事件」がある。

最高裁は「民主主義社会において、重要な判断の資料を提供することが報道機関の報道に求められており、国民の「知る権利」に奉仕することである」「事実の報道の自由は、憲法二十一条の保障のもとにあり、報道のための取材の自由も十分に尊重される」と示した。

まとめ

「報道の自由度」は、その国における「報道の自由」が保障されている度合いを表す国際的な指標だ。「国境なき記者団」が毎年ランキングを発表しており、2024年の日本は70位にランクインしている。

報道機関が正しく機能していないランキングの低い国では、政治的な介入や圧力によって民主主義が正しく運用されていないと考えられる。そのため国民の「知る権利」は満たされておらず、生きづらさにつながっている可能性もある。日本は先進7カ国のうち最も「報道の不自由度」が高い国であり、報道の自由に制限がかかっている状態とも言える。

しかしインターネットが普及し、グローバル化が進む現代では、報道機関に頼らずとも世界がどのような状況にあるかをある程度知ることも可能になった。国民の生活が権力機関からの過干渉を受けていないかどうか知るためにも、幅広く情報を収集しながら「報道の自由度」の動向を今後も注視していきたい。

参考記事
「言論の自由を守る砦」に関する基本認識(案)|総務省
報道のあり方と報道被害の防止・救済に関する決議|日本弁護士連合会
報道の自由を保障し、民主主義の基盤を守る|立憲民主党
2024GlobalsSore|RSF

関連記事

まだ表示できる投稿がありません。

新着記事