エコギルトとは?環境問題に対する責任感から生じる罪悪感。前向きに生かす方法を考える

エコギルトとは

エコギルト(eco guilt)とは、地球環境に対して害のある行動や決断をした際に感じる罪悪感のこと。

エコギルトのエコ(eco)は、生態学を意味するエコロジー(ecology)を表し、環境保全や環境に良いという意味を含む。また、ギルト(guilt)は罪悪感を意味し、罪を犯した、悪いことをしたと思う気持ちである。

つまりエコギルトとは、環境問題解決につながる行動を選択できたはずであるのに、理想とする行動を選べなかった時、悪いことをしたと自分を責める気持ちを指す。環境保全に関する行動について、個人的または社会的基準を満たさなかったと感じる時に生じるものだ。

深刻化する環境問題とエコギルト

環境問題とエコギルト

エコギルトは、環境問題に関する知識と強く結びついている。環境問題とは、人間活動により地球環境に変化が生じることによって起こる、さまざまな問題のことである。

資源を利用することで地球環境に影響が生じるが、問題なのはその負荷が自然の回復力(レジリエンス)を上回ることだ。文明が発達して人口増加や都市化が進み、産業革命で大量生産が可能となり、化学の発達により自然界で循環できない物質が生まれたことで多くの環境問題が深刻化した。

具体的には、ごみ問題、資源の枯渇、大気・土壌・水の汚染、森林破壊生物多様性の喪失などである。なかでも、今日グローバルな環境問題として各国が協調して解決にむけ取り組んでいるのが、地球温暖化のだ。

地球温暖化にともなう気候変動によって世界各地で災害などの悪影響が生じていることもあり、環境問題に関するネガティブな報道を目にする機会が多い。また、環境問題の原因や解決方法などに関する情報にも、私たちは日常生活で直接的・間接的に触れている。環境問題を解決するための情報に継続的に触れていれば、そのような行動を起こすべきだと促される気持ちになるが、全ての人がいつも理想的な選択をできるわけではない。

環境のためにもっとよい選択ができたはずなのにできなかった、という気持ちがエコギルトにつながる。

エコギルトが生じる例

人が生きていくためには多かれ少なかれ環境に負荷をかけることになるため、日常の些細な行為にもエコギルトが生じる可能性がある。

環境配慮製品に関する意識調査によると、約8割が環境のために行動していると回答し、環境問題に関心がない層でも約7割が環境のために行動をとっている結果となった。また、日用品を捨てる時に最も「環境に悪そうだ」と感じる人が3分の1を占め、20〜30代のほうが50〜60代に比べ、購入時から環境に悪そうと感じる傾向があった。

エコギルトの具的的な場面をあげればキリがないが、以下にいくつか示す。

  • 歩いて行ける場所に自動車で行く
  • 画面で読める文書を印刷する
  • 長時間シャワーを浴びる
  • 照明をつけっぱなしにする
  • 100%リサイクルではなく、バージンパルプの紙を使う
  • 持続可能なブランドではなくファストファッションの服を買う
  • 国産ではなく海外の安い食材を選ぶ
  • 容器包装のプラスチックを捨てる

結局、現代社会で環境に対して何も影響を及ぼさない生活を送ることは不可能であるため、環境意識が高い人ほどエコギルトという負の感情に悩まされるリスクが大きい。

エコギルトのメリット・デメリット

エコギルトは、自分の行動が環境に与えるインパクトを認識することから生じるもので、プラスにはたらく場合とマイナスにはたらく場合がある。

もっとよい行動をとれたはずだという自分を責める感情は、環境に優しい選択をしようとする原動力になり得る。これは、エコギルトがプラスに作用する場合だ。

反対に、環境に配慮しようとするたびに自責の念にとらわれてしまう場合、環境保護につながる話題や行動を完全に避けてしまう可能性がある。ネガティブな感情の原因から距離を置き、あまり気にしないようにしようとするのは健全な心の動きだ。

環境に配慮した行動を広めるために、エコギルトを利用しようとするのは適切ではないだろう。罪悪感から逃れたい心理は、環境問題そのものから目を背けるようになってしまうリスクがある。

環境行動を促すには、エコギルトではなく、物事を改善したいという前向きで希望につながる気持ちをきっかけにする方が、効果的だと考えられる。

エコギルトへの対処法

エコギルトへの対処法

気候変動などの環境問題に関する危機感を多くの人が抱えるなか、エコギルトは誰にとっても他人事ではない。罪悪感や不安のせいで日常生活に悪影響が生じたり、環境に配慮するのを辞めてしまったりしては本末転倒である。

エコギルトを自覚したうえで捉え方を意識的に変えると、気持ちを前向きに切り替えられるかもしれない。以下にエコギルトの対処法をいくつかご紹介する。

エコギルトを適切に捉える

エコギルトが生じるのは、地球環境を気にかけ、変化を起こしたいと思っているからである。思いやりや責任感、倫理的にふるまいたいという前向きな気持ちがなければ、エコギルトを感じることもない。

また、罪悪感は自分のせいで悪影響が及んだという感覚だが、実際には自分に責任がないこともある。例えば、消費者がどんな製品を選ぶかよりも、生産者がどのように生産するかの方が、環境へのインパクトに大きな差が生じる場合もある。

社会構造的な問題を個人の選択だけで解決することは不可能だ。もちろん、個人的な行動を継続することも重要だが、責任を感じて悩む必要はない。エコギルトを感じる自分は、地球環境を思いやるエシカルな人間であり、可能な範囲で行動するだけでも価値があると自覚してよいのである。

環境への配慮に完璧を求めない

環境問題の現状を改善するには、環境への配慮について完璧を目指す人よりも、変化を起こそうとする人が増えることが必要だ。100%環境に優しい生活を送ることは現実的に難しく、小さな行動が集まることが大きな変化をもたらす可能性がある。

また、他人と比較しないことも大切だ。ソーシャルメディアを通じて、理想的なエコ生活を発信する人を目にして、自分は努力が足りないと後ろ向きになることは誰にでも起こり得る。

しかし、私たちは皆独自の状況にあり、家族構成や住んでいる場所、ライフスタイル、経済的な事情によってできることは一人ひとり異なる。自分自身や成果を他の人と比較せず、毎日の自分の選択が環境に良い影響を与えていることを認識し誇りをもつことが大切だ。

人とつながる

同様の環境意識をもったグループやオンラインのコミュニティに参加するなどして、人とつながることで孤独感が和らぎ安心を得られる。気候変動などの環境問題の現実について知ることは前向きな行動だが、知れば知るほど不安や恐怖が増すおそれがある。

志を同じくする人々とつながりをもつことで、お互いに支え合うことができ、不安や罪悪感について共感し合うのは自分の感情を整理することにも役立つ。

環境問題に真摯に向き合おうとする仲間とつながれば、ネガティブな感情に支配されずに自分のモチベーションを長く保つことができるだろう。

希望をもって行動する

人はどんなに小さなことでも希望をもって行動を起こすことで、不安をやわらげることができる。私たちは過去にできなかったことを悔んだり、将来起こることについて過度に心配して不安になったりするものだ。

しかし、今できることに集中することで、小さな達成感を重ねることができる。下記は簡単にできる行動の例である。

  • 断熱省エネ住宅に住む
  • 高効率の給湯器、節水できる機器を選ぶ
  • 太陽光発電など、再生可能エネルギーを取り入れる
  • LED・省エネ家電などを選ぶ
  • 地元産の旬の食材を積極的に選ぶ
  • はかり売りを利用するなど、好きなものを必要な分だけ買う
  • 食品の食べ残しゼロ、食材の使い切り
  • ごみはできるだけ減らし、資源としてきちんと分別・再利用する
  • クールビズ・ウォームビズ、サステナブルファッションに取り組む
  • 宅配便は一度で受け取る
  • テレワークを増やす
  • できるだけ公共交通・自転車・徒歩で移動する
  • 環境にやさしい次世代自動車を選ぶ

これらの行動を一つでも実行すれば、温室効果ガス削減と光熱費の節約に結びつく。できなかったことに意識を向けるのではなく、今日自分が選択した行動の成果を認識することが継続につながるはずだ。

まとめ

気候不安に関する意識調査の結果によると、気候変動がもたらす感情として日本は「不安」が7割と非常に高かった。しかし、喪失感・絶望・怒りといった激しい負の感情や、罪悪感・恥ずかしさなど自責の念から生じる感情は、他国と比べて非常に低くなっている。

エコギルトという概念も日本国内では未だ普及してはいないが、むしろ良い傾向かもしれない。負の感情からではなく、前向きなモチベーションによりサステナブルな活動を広めていく方が、より多くの人に受け入れられるにちがいないからだ。

環境問題を「自分ごと」として捉え、自分の選択が気候変動などの問題解決に影響力をもつという認識を、いかに普及していくかが今後の鍵となるだろう。

環境問題の解決につながる小さな行動が多くの人によって当たり前のように実践され、地球の未来が希望に満ちたものになることを願わずにいられない。

参考記事

環境問題とは?地球の未来のために、知るべきこと|WWF
Eco-Guilt Taught Me There’s no Such Thing as Perfect|MILLE WORLD
Climate change: the role of eco-guilt|Charity Digital Trust
Eco-Guilt Tripping Out. “Go green”, “Make more sustainable…  | Medium
デコ活アクション一覧 | デコ活

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