エシカルファッションを実践するためには。5つのキーワードと取り組み事例

エシカルファッションとは

エシカルファッションとは、英語で「道徳的もしくは倫理的ファッション」を意味する。つまり、産業に関わる人々や地球環境への配慮を重視したファッションのことだ。

アパレル産業は、国連貿易開発会議において第2位の汚染産業として位置づけられている。原料の調達・生産・流通・販売・廃棄のなかで、大気や水質の汚染といった環境負荷がかかるためだ。さらにファストファッションが人気を博して以降、生産コストを抑えるために、低賃金といった劣悪な環境での労働が問題視されるようになった。

こうした背景から、地球環境や人への道徳性を重視することがファッション業界に求められている。消費者もまた、エシカルファッションを積極的に購入することで、環境課題に取り組むことができる。

エシカルファッションの5つのKWと取り組み事例

エシカルファッションのなかでも自然環境に焦点を当てた取り組みが重視しているのは、次の2点だ。

  1. 廃棄物による大気・水質を防ぐ
  2. 再利用をして廃棄物と新たな原材料の調達を減らす

この章では、実際に資源の再利用と環境汚染防止につながるエシカルファッションの具体的な取り組みを、5つのキーワードをもとに紹介していく。

1.プレラブド

プレラブドとは、英語で「以前(Pre)愛されていた(Loved)」を意味し、大切に着用されていたファッションを受け継いでいく行動のことを指す。これにより、洋服の廃棄を減らす。

古着との違いは、所有者の想いやストーリーが込められているかどうかだ。古着は一度着られた服全般を他の人が購入するというサイクルのみに焦点を当てている。一方でプレラルドは、古着のなかでも所有者が大切にしてきたファッションの価値を再認識することで、新たな所有者へと受け継がれていく流れを指している。

プレラブドを実践することで、洋服の廃棄による環境負荷が減るだけでなく、年を経るにつれて、素材の色や質感の変化を楽しめたり、自分が持っているものを大切にする心を育むことにもつながる。

■具体的な取り組み
古着ファッションの売買をおこなう株式会社ベクトルによる、サステナブルギャラリー「PRELOVED」が挙げられる。ここでは、個人が愛用してきたグッズをアートとして展示することで、長く使いこまれたファッションの価値を鑑賞者に紹介する。

マイケル・ジョーダンといったスター選手着用の品から日本の若手タレントのお気に入りグッズまで、幅広いプレラブドグッズを展示している。

公式サイト:PRELOVED

2. アップサイクル

アップサイクルとは、捨てられるはずの製品に新たな付加価値をつけ、再度製品として販売することだ。ゴミの量を減らすだけでなく、生産のための新たな原料調達を必要としないため、資源の消費抑制にも役立つ。

類似の用語であるリサイクルは、回収された廃棄物をまったく別のものへと変える。例えば、古紙のトイレットペーパーの原料としての活用だ。一方でアップサイクルは、本来の姿を活かして新たな商品をつくっている。そのため、原料化が必要なリサイクルより環境負荷が低い。

アップサイクルによって、鉄道や飛行機のシートを活用した商品など、珍しい素材も楽しめたり、古着と比べると、現在の流行に合わせたデザインが豊富であったりする。

■具体的な取り組み
残糸や残布を原料とした洋服を販売するファッションブランド「RYE TENDER」がある。残った素材を使うファッションは、耐久性が低い傾向にあるが、RYE TENDERは高品質の素材のみを使用し、長く使える服を販売している。

公式サイト:RYE TENDER

3. バイオグレーダブル

出典:NETENE.

バイオグレーダブルとは、微生物や菌類によって分解され、土に還るものを指す。環境省によると、2022年に処分された洋服のうち95%は焼却もしくは埋め立てによって処分された。その量は大型トラック120台分におよび、焼却による大気汚染や埋めた洋服が海に流れることによる海洋汚染が問題視されてきた。

洋服はポリエステル等の化学繊維が使われていることが多く、マイクロプラスチックによる水質汚染も心配されている。バイオグレーダブルは、自然に還るように天然繊維を使うことで、こうした汚染問題の解決に着手している。

バイオグレーダブルによって、土壌や海洋汚染を防げるだけでなく、化学繊維を使用しないため、石油の消費量を抑えられるというメリットもある。また、天然素材のため、肌に優しいとされる。

■具体的な取り組み
この取り組みをしているのが、ファッションブランド「NETENE.」だ。普段は使われていないコットンの産毛をアップサイクルし、土に還るファッション製品を作っている。さらに生産地を国内にすることで輸送時の二酸化炭素排出量を抑え、包装もリサイクル可能な素材を活用している。

公式サイト:NETENE.

4. コンポスタブル

コンポスタブルとは、堆肥化に必要な条件のもとで生分解される商品だ。これにより、廃棄による環境負荷を抑えるだけでなく、堆肥としての再利用も可能となる。

分解され土に還る点では、前述のバイオグレーダブルと同じだ。しかし、埋立地などで分解されるバイオグレーダブルと異なり、コンポスタブルは、特定の温度などの条件が必要となる。

コンポスタブルの商品によって、土壌汚染や海洋汚染の防止につながり、堆肥として再利用することもできる。また、天然素材のため肌ざわりが良く、着心地がいいといった消費者にとってのメリットある。

具体的な取り組み
動物ではなく植物性の素材を利用したファッションブランド「LOVST-TOKYO」の梱包材が挙げられる。通販の梱包材の原料にコンスターチ等を用い、生分解できるように工夫している。さらに指定の場所をはさみでカットすると、エコバックとしても使える仕様だ。

公式サイト:LOVST-TOKYO

5. クルーエルティ・フリー

出典:NADAYA

クルーエルティ・フリーとは、生産過程で動物を犠牲にしない取り組みを指す。ファッションやコスメ業界では、製品開発や原料調達のために、動物実験・搾取・殺生などが行われてきたため、その残虐性が問題視されてきた。

ファッション業界では、動物の毛皮を使ったリアルファーの代わりに、石油などを原料としたエコファーを生産。また、動物の皮を素材とした本革の代わりに、植物を原料としたヴィーガンレザーの商品も増えつつある。

クルーエルティ・フリーを取り入れることで、動物の犠牲が減りアニマルウェルフェアを実践できるだけでなく、消費者は本革よりもお手頃に購入できる。

■具体的な取り組み
パイナップルを主原料としたレザーブランド「ピニャテックス」がある。従来は水に弱いパイナップルの繊維に、とうもろこしやじゃがいもに含まれる成分を混ぜ、レザーに代わる素材として日常遣いを可能とした。

公式サイト:ピニャテックス

まとめ

エシカルファッションは、資源の再利用や植物由来の原料の活用によって、環境負荷を抑えるのに役立っている。ファッション業界がこうした地球環境に優しい製品を生産していく前提として、「売れる」という確証が必要だ。そのため、消費者が新たな洋服を購入する際に、エシカルな商品を選ぶことが、持続可能な社会を実現していくために必要だ。

しかし、生産過程での二酸化炭素排出や石油・植物の採取といった環境負荷は、軽減されるといえどゼロになるわけではない。

まず大切なことは、今持っている商品を大切に使うことで、購入と廃棄の頻度を下げることだ。そのうえで、新しいファッションを購入するときは、少しでも環境への配慮があるものを選ぶことがよいだろう。

参考記事
国連、ファッションの流行を追うことの環境コストを「見える化」する活動を開始国際連合工法センター
SUTAINABLE FASHION これからのファッションを持続可能に|環境省

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