FSC認証とは?マークの種類や企業が取得するメリットを解説

FSC認証とは

FSC認証とは、適切に管理された森林から製品が生産されたことを証明する国際的な環境ラベルである。Forest Stewardship Council(FSC:森林管理協議会)が運営する国際的な制度で、適切に管理されている森林で生産された林産物による製品であることを示す。

FSCはドイツのボンに本部を置く非営利団体で、環境保護団体・林業者・木材取引企業・先住民団体・地域林業組合などから構成されている。

この団体が、環境・社会・経済の便益という観点から森林が適切に管理されていることを審査するために策定し、「10の原則と70の基準」として示している。審査基準には、森林の持続可能な利用や自然環境の保全だけでなく、法律や条約の遵守、労働者や先住民の権利、地域の人々との関係性などの視点も含まれている。

消費者は、FSC認証を受けた製品を選んで購入することで、適切な森林管理を行う林業者や地域、その生産品を扱う事業者を支援することができる。

FSC認証は、世界中の森林の適切な利用と管理、生態系の保護、人権の尊重などといった社会課題の解決に広く貢献する制度だといえる。

FSC認証が必要とされる背景

FSC認証が必要とされる背景

FSC認証が必要とされている背景には、世界的な森林破壊と残された森林の劣化、それにともなう野生生物や住民の暮らしへの悪影響があげられる。

森林は多くの野生生物のすみかであるとともに、健全な水と土を保全し、木材や食糧などの資源を提供しており、我々人間社会を支える基盤となっている。また、森林は温室効果ガスであるCO2を吸収・固定するため、近年問題となっている地球温暖化対策という面からも重要だ。

しかし、最新の国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、2015〜20年の間に年間で平均1020万ヘクタール、つまり2秒ごとにサッカー場1面分に値する森林面積が失われているとされる。

森林減少の原因は、乱伐や違法伐採、農地への大規模転換、地球温暖化による山火事の増加などである。さらに、天然林が人工林やプランテーションに改変されたり、分断されたりして劣化すると、もともとの生態系や地域住民のくらしに悪影響が及ぶ。

そのような状況において、森林の減少や荒廃に歯止めをかけ、森から恩恵を持続的に享受することを目的としてFSCが発足した。

FSC認証の仕組み

適切に管理された森林で生産された木材と、それらを材料とする製品を確実に消費者まで届けるためには、加工や流通などサプライチェーン全体での管理が必要だ。

FSCが定める条件を満たした森林の生産物が、FSC認証の木材として出荷された後、加工・流通などの過程で認証を受けていない林産物と混ざってしまう可能性が否定できない。

したがって、FSC認証は、生産・加工・流通など製品に関わる全ての事業者が認証を受ける仕組みとなっており、FM認証とCoC認証の2つが用意されている。企業は、FM認証とCoC認証のいずれか、もしくは両方を取得することができる。

FM認証とは

FM認証の「FM」はForest Managementの略で、FM認証は適切に管理された森林に対して付与される。

適切に管理された森林を判断する基準となるのは、FSCが定める「10の原則と70の基準」である。この基準の下には、各国の状況に合わせてさらに細かい指標が設定されている。

FSC森林管理の10原則には、法律の順守、労働者の権利、先住民の権利、地域社会と連携、環境価値と環境への影響、管理計画などの観点が含まれる。これらの基準を全て満たしている場合に認証が与えられるが、有効期限は5年で、更新の際に改めて審査を受ける。

なお、審査・認証を行うのは、FSCの組織のひとつであるASI(Accreditation Services International)が認定した第三者認証機関である。FSCは審査基準を策定し審査方法を決定するが、FSCから独立した認定機関が審査・認定を行うことにより公平性・信頼性が保たれている。

CoC認証とは

CoC認証の「CoC」は「Chain of Custody」の略で、CoC認証はFM認証林の生産物を適切に使用し、確実に識別管理して加工・流通を行なっている事業者に対して付与される。

CoC認証の対象となるのは、伐採・加工・製造・流通・業者・小売などを担い、FSC認証製品の所有権をもつすべての組織である。ただし、小売業者がFSC認証製品を一般の最終消費者にむけて販売しているだけの場合、認証取得は必要ない。

CoC規格は、森林から最終消費者に至るまで、FSC認証原材料や製品の証明をするための要求事項を定め、責任者の任命やマニュアルの整備、社員教育などを求めている。なお、CoC認証の有効期限も5年間なので、更新するためには審査を受けなければならない。

FSC認証を受けた製品としてトレーサビリティを確保するために、CoC認証もFM認証と同様に重要なのだ。

FSC認証マーク

出典:FSC応援project

FSC認証マークを表示することができるのは、FM認証を受けた森林の生産物と、CoC認証を受けた事業者がFSC認証を受けた生産物を加工して作る製品や広告などである。

製品用のFSC認証マークには、右上に登録商標®マークを伴うFSCロゴのほか、原材料に対応したラベルタイトルとテキスト、リサイクルに関するメビウスループマークが表示されている。

ラベルタイトルは次の3種類で、それぞれラベルテキストが決まっている。

ラベルタイトルラベルテキスト原材料
100%適切に管理された森林資源を使用していますFSC認証林からの原材料100%を含む製品
MIX(ミックス)責任ある木質資源を使用していますFSC認証林からの原材料、FSC管理木材、適格なリサイクル木質繊維の組み合わせを含む製品
RECYCLED(リサイクル)リサイクル材料を使用していますリサイクル木質繊維のみを含む製品

さらに、ライセンスコードの記載も必須であり、この番号によって認証に関する情報を検索できトレーサビリティが確保されている。

企業がFSC認証を取得する意味

企業の社会的責任とCSRの徹底が求められ、ESG投資が大きく伸びている今日、環境に配慮した事業活動を対外的にアピールしていく意味は大きい。

FSC認証マークによって、購入しようとする商品が森林を破壊することなく生産されたと消費者が確認できるのは、消費者にとっても、地球環境にとってもメリットとなる。

企業の立場としては、消費者や地球環境の利益に貢献し、環境保全の取り組みが国際的な基準で認められることで、消費者や取引先、投資家などに広く認知してもらうことができる。

FSC認証を取得するためには管理・生産体制の整備や申請の労力が必要だが、企業の長期的な成長のためには、FSC認証の価値はそれを補って余りあるものだろう。

FSC認証とSDGs

FSCは、持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)が定める17の目標のうちの14つのゴール、そして169項目のターゲットのうち40個に対して貢献している。

具体的には、貧困・飢餓・健康・福祉・教育・男女平等・安全な水・クリーンなエネルギー・労働環境・責任ある生産活動と消費活動・気候変動・海の豊かさ・平和と公平・パートナーシップの分野である。

特に目標15の「陸の豊かさも守ろう(Life on Land)」ターゲット15.2「持続可能な森林経営における進捗」では、「自主的な森林認証を取得している森林の面積増加」が指標とされている。

これは、まさにFSCの取り組みであり、第三者森林認証制度がSDGsの達成に有効であることが国際的にも認められている。

FSC認証の信頼性

FSC認証の発行数は、木材認証制度の中では世界最多であり、森林の保全と持続可能な管理に大きく貢献している。

FSCを運営し森林保全の指針作りを担うのは、社会・環境・経済分野の800名を超える会員と、WWFなどのグローバルな環境NGOである。

指針や規格作りなどの意思決定はすべて公開され、誰でも意見を述べることができるなど、民主的な運営となっている。また、FSC認定の審査は独立した第三者によって行われるほか、地域の利害関係者からの意見が必ず反映される。

さらに、FSC認定は森林認証制度の中でも最高水準を維持しており、世界中で同じ原則と基準が適用されるのに加え、評価の規格には国内専門家によって地域性が反映されている。

このように、FSC認証はその透明性・公平性・専門性により、世界中で支持を得ている制度なのである。

まとめ

1994年の発足以来、FSCは世界中で認知されるようになり、その影響は社会や環境に大きく及んでいる。

2024年3月現在、世界でFM認証を受けた森林は1億5900万ヘクタール、CoC認証は6万1000件を超えた。国内では、FM認証林は北海道から九州まで34件、認証面積約42万haであり、CoC認証は2196件にのぼる。FSC認証の商品は、割り箸などの木製品をはじめ、菓子や飲料のパッケージをはじめとする紙製品などに浸透してきている。

今後、FSC認証の有無が消費者の商品選択や投資家の動向を左右する可能性も否定できない。企業は、社会貢献の手段の一つとして、FSC認証に注目していくべきであろう。

参考資料
FSC®認証とは?|FSC応援Project
森を守るマーク 森林認証制度FSC🄬について|WWFジャパン
Homepage Japan|Forest Stewardship Council
32.食糧農業機関(FAO)-グローバル森林資源アセスメント2020年版|国際農研
Global Forest Resource Assessment 2020

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