BPAフリーとは?健康リスクやBPAフリー製品、BPAに対する海外の動向を解説

BPAフリーとは

「BPAフリー」とは、ビスフェノールA(BPA)を含まない製品を指す言葉である。BPAはプラスチック製品の原料として広く使われてきた化学物質であるが、近年健康への影響が懸念されている。BPAは女性ホルモンのエストロゲンに似た作用を持ち、内分泌系に悪影響を与える可能性があるとされているのだ。このため、欧米を中心にBPAを避ける動きが進んでおり、BPAフリーの製品が増えている。

特に、飲料容器や食品容器、子供用の製品などで「BPAフリー」の表示が増えてきている。BPAを含まない製品は、人体への健康リスクを軽減するために開発されるもので、BPAフリー製品が増えていることは多くの消費者が安全な選択を求めていることの証ともいえる。BPAフリーのマークが付いた製品を選ぶことで、環境ホルモンの影響を抑え、より安全な生活を送れると考えられているのだ。

BPAの特徴

BPAフリーとは

BPAは、耐久性があり、透明で化学的に安定しているため、飲料用ボトルや保存容器、食品缶の内部コーティングなど、さまざまな製品に利用されている。

BPAは通常の使用では化学的に安定しているが、プラスチックから微量が放出されることがある。以前はレシートや駐車券などの感熱紙の発色剤としても使われていたが、現在は使用を禁止されることも増えてきた。

私たち人間は主に食事を通じてBPAを体内に取り込むが、空気中や水中に含まれるBPAを吸い込んだりすることもある。BPAが人間の健康にどの程度影響を与えるかは、科学者の間で議論されており、まだ決定的な結論には至っていない。これらのことから、BPAを使用する際には注意が必要とされている。

注目される背景

BPAフリーが注目される背景には、科学的な研究結果や健康への配慮が大きく影響していると言える。米疾病管理センターの調査では、6歳以上の92.6%の人からBPAが検出されたという。近年の研究でBPAが健康に悪影響を及ぼす可能性があることが明らかになり、特に妊婦や乳幼児への影響が懸念されている。このため、BPAフリー製品が注目されるようになった。

1997年ごろから、げっ歯類がBPAに触れると成長や生存率に悪影響があることが報告されているが、実験動物で害があるからといって人間に有害とは断定できない。しかし、その後の研究で人間への影響も報告されるようになった。

各国の政府や消費者団体が規制を強化し、メーカーもBPAを使用しない製品の開発を進めている。例えば、食品保存容器や哺乳瓶、水筒などがBPAフリー製品として販売されている。また、消費者自身も健康意識の高まりから、BPAフリー製品を選ぶ傾向が高まっている。

BPAがもたらす健康リスク

BPAがもたらす健康リスク

BPAは体内のホルモンに影響を与えることがあり、「内分泌撹乱物質」として分類されている。また、生殖に悪影響を与える可能性があるため、ヨーロッパでは「生殖毒性(カテゴリー1B)」としても分類されている。一度に多量を摂取してもすぐに危険が及ぶ訳ではないものの、長期間にわたって摂取すると動物実験でいろいろな悪影響が報告されている。

例えば、BPAは若い男性の精子数減少や、女性の生理不順を引き起こす可能性があるとされている。また、思春期早発や子宮内膜症、不妊症といった生殖器の異常も懸念されている。さらに、注意散漫や多動症、発達障害、うつ病など神経系の異常、さらには子供の喘息やアトピー性皮膚炎の増加といった免疫系の異常も報告されている。

また、肥満や糖尿病、心血管疾患のリスク増加もBPAの影響とされているが、これらの因果関係はまだ完全には解明されていない。海外の研究でも、小動物の胎児や子どもにはその毒性が認められているが、成人に対する明確な影響はまだ確定していない。

いずれにせよ、BPAは主にプラスチック製品の原料として使用されている物質であって、そもそも私たち人間が口にすることを想定して作られている訳ではない。したがって、その摂取を極力避けることが望ましいとされている。

BPAが私たちの体内に入る主な経路

BPAが私たちの体内に入り込む経路は多岐にわたる。例えば、缶詰の内側のコーティングに含まれるBPAが食品に浸透し、それを摂取することで体内に入る。また、プラスチック製の容器に入れた飲み物や食べ物を加熱すると、BPAが溶け出しやすくなる。

さらに、日常生活の中でBPAを含む製品を手で触れることで、皮膚からも少量のBPAが吸収されることがある。例えば、レシートの紙やプラスチック製品に触れることで、BPAが体内に入る可能性がある。私たちは無自覚のうちにBPAを摂取していることが多いのだ。

「BPAフリー」は本当に安全か?

BPAのリスクが明らかになるにつれ、多くの製品が「BPAフリー」として市場に登場してきた。しかし、「BPAフリー」だからといって完全に安全であるとは限らない。

BPAの代替物質として使用されるBPS(ビスフェノールS)やBHPF(フレオレン-9-ビスフェノール)についても、その安全性には疑問が残っている。例えば、米シンシナティ大学医学部のホン・シェン・ワン准教授らによる研究では「BPSがBPAと同様の健康問題を引き起こす可能性がある」と指摘されている。また、イギリスの科学雑誌「New Scientist」に掲載された日中共同研究によると、BHPFがエストロゲン作用を阻害することが認められている。

これらの代替物質が必ずしも安全であるとは言えない現状を踏まえ、厚生労働省は「ポジティブリスト制度」を採用した。2020年6月から、許可された材質のみが使用されることが保証されたのだ。

さらに、BPAフリー製品が安全であるとしても、すでに環境に放出されているBPA添加プラスチックの問題は依然として残っている。海洋に流れ込んでマイクロプラスチックとなり、それを小魚や貝が摂取することで、私たちの食卓にまで影響が及ぶ可能性がある。

したがって、BPAフリー製品を選ぶだけでなく、プラスチックの使用そのものを見直すことが重要だ。プラスチックごみを減らす努力もまた、「BAPフリー」の一環と言えるだろう。

BPAフリー製品の事例

引用:Roll’eat

BPAは、日常生活で使用するさまざまなアイテムから私たちの体内に入り込む。ここでは、数多くのBPAフリー製品の中から、代表的な3つのブランドを紹介する。

b.box(ビーボックス)

「b.box」は、2007年にオーストラリアで誕生したベビーアイテムを扱うブランドである。主に水筒やコップ、離乳食容器などを取り扱っており、そのすべてがBPAフリー製品だ。子どもとその保護者にとって使いやすい機能性とおしゃれなデザインが特徴である。

b.boxの製品は、実際の育児経験から生まれたアイデアを基にしているため、実用性とデザイン性を兼ね備えている。特にシッピーカップやトラベルビブなどが人気で、今ではオーストラリアだけでなく世界40ヶ国以上で愛用されている。BPAフリーの安全な食事アイテムを求める方におすすめのブランドだ。

■公式サイト:b.box

LARQ(ラーク)

「LARQ」は、自己浄化システムを搭載した画期的な水筒である。キャップ内に配置されたUV-C LED技術を使用し、60秒で生物汚染物質の99.9999%を除去できる。また、2時間ごとに自動でボトルを洗浄する機能も備えており、常に清潔な状態を保てる。水筒を洗うのが面倒な人にとっては、手間が省ける点も大変魅力的だ。

さらに、ステンレススチール製で二重断熱構造を採用しており、24時間冷たい水や温かい飲み物を保てる。また、LARQボトルはBPAフリーであり、健康への配慮もされている。デザインも洗練されており、日常使いから旅行まで幅広く利用できるアイテムだ。

■公式サイト:LARQ

Boc’n Roll(ボックン・ロール)

「Boc’n Roll」は、バルセロナのスタートアップ「Roll’eat Barcelona」が手がける、再利用可能なサンドイッチ・ラップだ。洗って繰り返し使えるため、使い捨ての包装材に代わるエコなアイテムとして注目されている。ポリエステル生地と熱可そ性ポリウレタンから作られ、BPAフリーで安全性も考慮されている。

サンドイッチやフルーツを包んで持ち運びしやすく、食べ終わった後は簡単に拭き取れる。カラフルなデザインが多く、楽しいランチタイムを彩るデザイン性の高いアイテムだ。環境意識の高い企業や教育機関でも採用され、ランチゴミ削減に貢献している。Boc’n Rollは、エコと楽しさを兼ね備えたランチアイテムとして人気である。

■公式サイト:Roll’eat

BPAに対する海外の動向

BPAは健康リスクが懸念される化学物質として、各国で規制や調査が進められている。日本では食品衛生法により、ポリカーボネート製器具および容器・包装からのBPAの溶出基準が設定されており、その安全性が重視されている。欧米をはじめ、世界各国でもBPAに関する研究や規制が加速している。

欧州の動向

欧州では、BPAの安全性について多くの取り組みが行われている。2003年に欧州委員会はBPAのリスク評価報告書を作成し、2008年に改訂版が発表された。これにより、BPAが生殖や発がん性に問題を起こさないとされたが、安全性への懸念は続いている。

欧州食品安全機関(EFSA)は2006年にBPAの耐容一日摂取量(TDI)を設定し、定期的に新たな科学的研究を評価している。2012年には再評価を開始し、2013年には消費者がBPAにどの程度さらされているかの意見を公募した結果、食事が主な原因であることが判明している。

さらに、REACH規制により、BPAの使用は厳しく管理されている。2011年には欧州委員会がポリカーボネート製乳児用ほ乳瓶へのBPA使用を禁止する指令を採択し、消費者の健康を守るための対策が強化された。現在、フランスではBPAを含む食品用包装材や調理器具の製造・輸入・販売を禁止している。

米国の動向

米国でもBPAの安全性について多くの研究と規制が進められている。環境保護庁(EPA)は2010年にBPAの環境影響調査アクションプランを公表し、水生生物や野生生物へのリスクを検討している。米国環境健康科学研究所(NIEHS)の国家毒性プログラム(NTP)は、2008年に胎児や乳児、子供の前立腺・脳・行動に対する影響に「いくらかの懸念がある」と報告した。

米国食品医薬品局(FDA)は2008年にBPAのリスク評価案を発表し、その後も継続的に評価を行っている。FDAは「食品包装材に使用されるBPAは非常に低いレベルであれば安全である」とし、追加の試験を進めている。

また、2011年にはポリカーボネート製乳児用ほ乳瓶へのBPA使用を禁止し、2013年にはエポキシ樹脂のコーティング材としての使用規定を削除した。カリフォルニア州では、BPAを含む商品に警告表示を義務付けている。

WHOの動向

世界保健機関(WHO)と国際連合食糧農業機関(FAO)は2009年に、BPAに関する評価の現状と行動計画を発表した。2010年には合同専門家会議を開催し、BPAの毒性や健康影響を再検討している。会議では、BPAの主要な排出源は食品包装容器から移行した食品であると結論付けられた。また、摂取したBPAは短時間で尿から排出されるため、人体には蓄積しないことが示されている。

一部の研究では低濃度のBPAと健康影響の関連が報告されているが、専門家会議ではBPAの暴露と健康影響との関連性を示す十分な証拠はない。そのため、公衆衛生上の対応を開始するには時期尚早であるとされている。FAOは、今後の研究で不確実性を減らすことが重要であるとしている。

まとめ

BPAは、今後も科学的な研究が進められることによって、その健康への影響が明確になると期待される。健康リスクが囁かれ、消費者の間でBPAフリー製品への関心が高まっているが、代替物質の安全性についても注意が必要だ。政府や企業は、消費者の健康を守るために新しい規制や製品開発に取り組んでいくと予想される。

個人としても、BPAフリー製品の選択や使い捨てプラスチックの使用を減らすことで、健康リスクを最小限に抑える努力が求められる。科学の進歩により、将来的にはもっと安心して利用できる素材が登場するかもしれない。

参考記事
ビスフェノールAについてのQ&A|厚生労働省
食品安全情報(化学物質)No. 2/ 2022(2022. 01. 19)別添|国立医薬品食品衛生研究所
欧米で回避されるBPA、代替物質も有害?|ナショナルジオグラフィック
BPA-free water bottles may contain another harmful chemical|New Scientist
海外の動向|ビスフェノールA安全性研究会

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