フードマイレージとは
フードマイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標のことである。単位はt・km(トン・キロメートル)で表され、実際に計算すると以下のようになる。
【20トンの食料を300km輸送する場合】
「食料の輸送量(トン)× 輸送距離(キロメートル)」=「t・km(トン・キロメートル)」
20 t × 300 km = 6000 t・km
食品の輸送には飛行機や鉄道、トラックなどさまざまな手段があるが、運行する上では燃料を使用し大気中に地球温暖化の原因となる温室効果ガス(CO2)を排出する。運搬時に使用する大量の梱包材も環境へ負荷をかける。そのため、フードマイレージは食料が生産地から家庭に届くまでの環境負荷を分かりやすく示したものとなっている。
さらに、フードマイレージは品目別、輸入相手国別といった観点から分析することで、自国の食料輸入の構造や特徴を明らかにできる側面も持つ。輸送距離という要素を含むことにより、海外からの長距離輸送を経た大量の輸入食料に支えられているという現状を視覚的に把握できるため、食糧輸送による環境負荷の大きさを知ることができる。
フードマイレージの留意点

フードマイレージには留意しておかなければならない点がある。
輸送手段により環境負荷が異なる
一つ目は、輸送手段によって環境負荷が異なることだ。国土交通省のレポートにおけるトン・キロ輸送量あたりのCO2排出量を見ると、営業用貨物自動車と比べて、鉄道は約7分の1、船は約4分の1である。しかし、フードマイレージの計算において、その点は考慮できない。
食料については迅速に輸送したり少量を高い頻度で運んだりすることから店での品ぞろえが良くなり消費者の利便性は上がるため、環境負荷の高いトラックで輸送されがちである。そのため、輸送におけるCO2排出量の削減を図るには貨物自動車から鉄道や船舶への転換を促進する必要があるといわれている。
輸送時の環境負荷のみに注目している
二つ目は、フードマイレージは輸送時の環境負荷のみにフォーカスしている点だ。食料は生産・加工・輸送・消費・廃棄のすべての過程においてCO2を排出しているにもかかわらず、フードマイレージは過程の1〜2割程度しか占めない輸送部分のみに注目している。そのため、フードマイレージの数値が低い(輸送距離が短い)食料であったとしても、化学肥料や農薬を多用したり、ハウスで生産したものであれば、すべての過程を通してみた時に遠くから輸入されてきたものよりCO2の量は多くなる場合があるのだ。
日本のフードマイレージの現状
農林水産省の輸入食料に関するフードマイレージを比較した以下のデータによると、2001年における日本の食料輸入総量は約 5,800万tで、フードマイレージを計算すると約9,000億t・kmとなっている。ほかの代表的な国と比較すると、日本の数値は韓国とアメリカの約3倍、 イギリス・ドイツの約2倍、フランスの約9倍となっており、日本の輸入量の多さが読み取れる。

日本のフードマイレージが大きい原因
いくつかの原因が掛け合わさることで、日本のフードマイレージは大きくなっている。
食料自給率の低さ
一番大きな理由として知られるのが食料自給率の低さである。日本の食料自給率は、2019年時点で約38%と半分以下である。つまり、半分以上を輸入に頼っているうえ、島国であり他国からの輸送距離が長いことも重なり、数値が高くなっている。
食の欧米化
西洋から小麦や肉類などさまざまな食料を輸入することで、日本人の食が欧米化したことも理由の一つだ。最近は主食としてコメだけでなくパンも人気を集めており、パンの材料の小麦は輸出に頼っていることから、フードマイレージの数値が大きくなっている。
フードマイレージの認知度の低さ
フードマイレージ自体が知られていないことも原因にある。エコバッグやエコボトルの利用者が増加するなど環境問題に対する意識の高まりはある一方で、輸送距離が環境問題につながっていると知っている人は多くないため、削減するための行動をとれていない。
国土交通省が実施した意識調査によると、輸送手段によりCO2排出量が異なることを知っていた人は全体の半数以下であった。地球温暖化全般に対する意識が高まる一方で、輸送手段によるCO2排出量の違いは広く認知されているわけではない状況だ。そのため、環境負荷の小さい輸送手段を利用している商品には「エコレールマーク」と呼ばれる表示をしている企業もある。
輸送距離の長さ
農林水産省によると、日本の輸入食料の平均輸送距離は1万5,000kmとされており、これがフードマイレージを増加させる原因となっている。たとえば、ヨーロッパでは国が陸続きとなっており近くの国からの輸入も多いため、フードマイレージは少ない。アメリカもメキシコやカナダといった距離の近い国からの輸入が多いのだ。一方、日本は島国であるうえ、欧米から輸入している食品も多いことから必然的に輸送距離が長くなってしまう。
フードマイレージを削減するためにできること

私たちの日常生活において少し意識を変えればフードマイレージの削減につながる。
地産地消の食品を選ぶ
まずは、地産地消の食品を選ぶことだ。地産地消とは、地域で生産された食材をその地域で消費することを指す。そうすることで輸送距離が減るため、環境負荷の軽減につながる。さらには地域経済の活性化にも効果がある。
流通経済大学のレポートでは、石川県で行われた和食の献立を用いた環境負荷のケーススタディの結果が以下の通り示されている。
●ケース1: 加賀野菜や能登豚など、地元産の石川県産食材を用いた和食献立
→フードマイレージやCO2排出量が最も低い。
●ケース2: 石川県産食材の代わりに金沢市の市場で多く流通する国産食材を使用
→ケース1に比べ、フードマイレージおよびCO2排出量が約14倍。
●ケース3: 食料自給率の低い品目に輸入食材を使用
→ケース1に比べ フードマイレージが約250倍、CO2排出量は約44倍。
このように、地産地消の食品を選ぶとフードマイレージが大きく削減できると証明されている。
輸入食品に頼らず国産食品を選ぶ
地産地消に加えて、国産食材を選ぶことも大切だ。国内の生産者や国内の加工企業より販売された商品を購入することで、企業や生産者を支援することになり、国内の食品業界を盛り上げることにつながる。さらに、国産食品の購入増加の動きが強まり、国産に需要があるとデータに反映されることで、輸入品を少しずつ減らせるようになるのだ。
旬の食材を取り入れる
旬の食材を取り入れることもフードマイレージ削減に貢献するきっかけとなる。特に地元で大量に生産されている旬の食材を取り入れると、生産・輸送・保存にかかるエネルギーが不要であるため、結果的にフードマイレージの削減につながる。さらに、旬の食材はその時期に最も美味しく栄養価も高いため、食生活を豊かにしてくれるメリットもある。
家庭菜園を始める
自宅の庭やベランダで食材を育てる家庭菜園を始めることで、フードマイレージに直接貢献できる。自分で栽培した野菜や果物は直接食卓に届けられるため、輸送コストが一切かからないからだ。また、収穫後すぐに食べられるため、新鮮で栄養価も抜群で安心して食べられるという利点もある。
まとめ
フードマイレージは、食材輸送に対する環境負荷を測るうえで重要な指標である一方、輸送時の距離に着目する点などは留意する必要がある。しかし、日本のフードマイレージは世界と比べて高いため今後の地球環境を考えていくうえではいずれにせよ削減していかなければならない。
フードマイレージは私達の日常生活の小さな選択の積み重ねによって大幅に削減できる可能性がある。まずは、地産地消や国産の食材を選ぶという小さなステップから始めてみてはいかがだろうか。
■参考記事
「フード・マイレージ」について|農林水産省
4 物流の効率化による二酸化炭素排出削減に向けた課題|国土交通省
フード・マイレージの現代的意味|流通経済大学
「フードマイレージ」を知っていますか? |美濃加茂市
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