ギフテッドとは?
ギフテッドとは、同じ年代の子どもと比較して、勉強やスポーツ、芸術などの特定のジャンルにおいて卓越した能力やセンスを生まれつき持っている人のこと。高い知能レベルや運動における高い能力、豊かな創造性、抜群の集中力、傑出した記憶力といった才能が際立って現れ、周囲からは「天才」や「秀才」などと称されていることが多い。
これらの高い能力は神様から贈られたものという意味で、ギフテッド(Gifted)と呼ばれている。しかし、日本では正式な定義はなく、文部科学省では「特異な才能のある児童」と表記している。
さまざまな特徴・特性があるが、その一つが知的能力の高さだ。知能指数(IQ)は130以上とされ、一般的なIQの基準値とされる90〜100よりも明らかに高い。この基準に従えば人口の約2%に当たるが、ギフテッドはIQのみでは判断されないため、アメリカでは公立学校で学ぶ子どものうち6%がギフテッドと言われている。
先天性の特徴や特性のため、後から身につけるものではなく、遺伝的な要因が大きい。そのため、親族の中に複数のギフテッドが存在する可能性もある。ただし、まわりの環境によって、持って生まれた才能やセンスを発揮できないこともある。
ギフテッドの特徴
神からの贈り物と言われるゆえんにもなっているが、ギフテッドが有している才能やスキルとして代表的なものとして以下のような特徴がある。
- 高い集中力
- 豊かな創造性
- 習得の早さ
- 優れた理解力
- 抜群の問題解決力
- 強い好奇心
- 傑出した芸術センス、など
もちろんすべてを持っているのではなく、それぞれで持ち合わせている才能・センスは異なる。このほか、強い探究心、高い言語レベル、速い情報処理速度、非典型的な思考プロセスといった能力を持ち合わせているケースもある。
その一方で、感受性が高く、繊細で過度激動(敏感)などの特徴・特性もある。また、体と心がアンバランスに発達したり、音やニオイに対して敏感なため強いストレスを抱えていたり、知的レベルが高いため学校の授業がつまらなく感じるなど、特有の生きづらさを抱えていることもある。
ギフテッドの年齢別の傾向
赤ちゃんのときから目を見張るような能力やセンスを見せる子どもがいる反面、保育園や学校といった集団生活の中で特徴や特性が際立ってくるなど、個人によって現れる時期は異なる。
そのため「ギフテッドかもしれない」と保護者が感じる時期もまちまちだ。そこで、どの時期にどのような兆候が見られるか、詳しく解説する。
乳児期の傾向
乳児期の傾向としては、他の子どもよりも早い時期に能力や才能が現れることがある。発達心理学的には「早期の能力の出現」とも言われる。
例えば、音に敏感に反応したり、聞こえてくる音をまねたりする。また、通常よりも早く歩き始めたり、単語をつなげて文章のようにして話すケースもある。
幼児期の傾向
言葉の発達が早いというのは目に見える特徴の一つで、いつの間にか言葉をたくさん覚えていることもある。読み聞かせていた絵本の文章を暗記して、口にしていたという報告もある。集中力が極めて高い事例では、本や図鑑に夢中になったり、パズルに何度も挑戦するといったこともある。
その一方、単純な遊びは飽きやすく、他の子どもとうまく遊べずに周囲から浮いている様子が見られることも。そのためギフテッドではなく、「発達障害かも知れない」と不安を抱く保護者もいる。
児童期から少年期の傾向
まわりに同じ年代の子どもが多くなると、他の子どもとの違いを明確に感じることになる。独創的な絵を描いたり、理解力がずば抜けていたり、記憶力が卓越している、高い集中力で何かに長く取り組んでいる、他の子どもとは遊ばない、といった特有の特徴が目立つようになってくる。保護者が気づくよりも前に、幼稚園や保育園、学校の教員に指摘されるケースも多い。
学校での授業がスタートすると、知能レベルの高さが成績に反映されるほか、グループの中でリーダーシップを発揮したり、理論的に自分の考えをまとめるなどの特徴が際立ってくる。難易度の高い問題ほど楽しんで解いたり、難しい漢字をすらすら覚えたりするのも特有の性質だ。
発達障害との共通点・相違点
ギフテッドに現れる特徴・特性と、発達障害に現れる特徴・特性は似ており、判断がつきにくいとされる。そのため心配になり、発達障害を疑う保護者も多い。
ただし、似ている特徴や特性がある反面、真逆の特徴や特性も持ち合わせているため、それぞれを把握することで判断がつきやすくなる。一例を紹介しよう。
■似ている特徴・特性
| ギフテッド | 発達障害 | |
|---|---|---|
| 豊かな語彙力 | 同じ年齢の子どもより、豊富な語彙を使って話す。 | 高度な言葉で話すが、理解していないケースもある。 |
| 高い集中力 | 関心を持っているもの、または興味を抱いていることにおいて、高い集中力で臨むことができる。 | 関心を持っているもの、または興味を抱いていることにおいて、高い集中力で臨むことができる。ただし、その範囲は広くない。 |
| 優れた記憶力 | さまざまなトピックについて記憶している。 | 得意あるいは好きな特定のテーマだけを記憶している。 |
■似ていない特徴・特性
| ギフテッド | 発達障害 | |
|---|---|---|
| 友達や仲間との接し方 | 友達や仲間の中で中心的な立場になりやすい。 | 友達の作り方がわからない。友達になっても、どう接していいかわからない。 |
| チームスポーツ | チームスポーツが好き。 | チームスポーツは苦手。やりたがらない。 |
| 他者への理解 | 相手の立場に立って物事を見たり、相手の気持ちを理解することができる。 | 相手の立場に立って物事を見たり、相手の気持ちを理解することができない。 |
| ルーティンワーク | 単純な作業は飽きてしまう。 | 同じことを繰り返し行うことが得意。 |
上記はあくまでも一例で、一人ひとりに得意・不得意があるように、すべてのギフテッドおよび発達障害児に当てはまるものではない。また、発達障害の特性がギフテッドに影響を及ぼす場合もある。
もちろん、個人で評価および判断するのではなく、専門家の評価を受けることが重要だ。ただし、ギフテッドの診断基準が日本では確立されていない点も心得ておきたい。
タイプ「2E型」とは?
ギフテッドには、2つのタイプがある。「英才型」は、どの分野でも高いレベルの能力やセンスを示すいわゆる天才型の子どもだ。
もう一つの「2E型」は、特別が2つという「twice-exceptional(二重の特別)」からきている。ギフテッドならではの特徴・特性と、発達障害の特徴・特性の両方を持っており、得意なものは抜群に得意だが、不得意なものは徹底的に不得意だ。
しかも、不得意あるいは苦手なものはやろうとしない傾向がある。「発達に凸凹がある」と言われ、マイナス面の強い印象に隠れて、ギフテッド特有の傑出した才能やセンスに気づかれないまま過ごしていることもある。
サヴァン症候群との相違点は?
人並み以上の卓越した才能を有している点で、ギフテッドとサヴァン症候群は混同されることが多い。しかし、サヴァン症候群の場合は、精神障害または知能障害があることが前提になっている。それに対して、障害の有無がギフテッドの場合は前提となっていない点で異なる。
例えば、ずば抜けた記憶力あるいは集中力、計算スキルを持っているが、それ以外の勉強は不得意というのもサヴァン症候群特有の特徴だ。
ギフテッドの育て方

ギフテッドの人は傑出した才能・センスを有している一方、生きにくさも感じているとされる。そのため、自身の子どもが「ギフテッドかもしれない」と感じたり、まわりにギフテッドの子どもがいるといった場合、ギフテッドならではの特徴や特性を理解して接するようにしたい。代表的な5つのポイントを紹介する。
得意なことをできるだけ伸ばす
他の子どもから明らかに突出した才能やスキル、センスは人生を生きていく上で武器となるため、存分に発揮できるように環境を整えることが重要だ。年齢に見合った教育にこだわらず、興味を抱いたものや関心の強さに合わせて機会を提供することで、驚異的な成長を遂げる可能性がある。
好奇心を広げる
得意なことや関心を抱くものを見つけるには、あらゆるジャンルのものに触れることも必要だ。芸術的な才能を持っていたとしても、芸術に触れる機会がなければ、才能が発揮されないままになってしまう。
そのため芸術や音楽、スポーツ、演劇、科学など、あらゆるジャンルに触れる機会を数多く設け、何に興味を示すのか見極めることも重要だ。
苦手なジャンルはサポートを徹底する
得意なジャンルには秀でた才能を見せる一方、苦手なことは苦手なままのことが多いのも特有の特徴。やりたがらないことも多いので、その場合は保護者としてサポートを徹底することも必要だ。
苦手なことがあるために気後れしてしまい、社会的な生活を自ら制限する可能性もある。そうならないためにも、苦手や不得意なことは親や周囲の人がサポートを徹底したい。
安心できる場所を作る
能力が高いゆえに、まわりの人から理解されずになじめないばかりか、否定されてしまうこともある。このような場合、理解者が限られてしまい、ストレスを抱えるだけではなく心を閉ざしてしまうこともある。ギフテッドの子どもが不登校になる例が多いのもそのためだ。
そのため、ストレスを抱えずに安心して過ごせる場所が必要だ。家庭はもちろん、同じような特性を持つ仲間を作ってあげるといったことも検討したい。
特性や能力に応じて学習環境を整備する
優れた才能を有している反面、繊細かつ複雑な面もあり、情緒的に不安な部分もある。そのため、必要に応じて支援やサポートをする必要があるが、特に学習環境については一般的な学校の授業ではつまらなく感じる可能性が高く、持ち合わせている才能を存分に発揮できないことも多い。
保護者としては、持ち合わせている特性や能力、センスに合った学習環境を整え、能力を伸ばす学びを継続的に与えていくことで成長を下支えしていくようにしたい。
日本での対応
日本では、学習指導要領の中で「特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する指導」として、ギフテッドのように特異な才能を持つ子どもに対する教育指導について触れている。
その中で、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する教育に関する議論は十分に行われていないものの、学校では「個別最適な学び」と「協働的な学び」を通じて相乗効果を生み出す教育が重要としている。具体的にはICTを有効活用し、好奇心を高める発展的な学習を充実させること、STEAM教育などプロジェクト型の学び、大学や民間団体などの学校外での学びが有効としている。
また文部科学省では、理科や数学などの能力を強化する高等学校をスーパーサイエンスハイスクール(SSH)として指定しており、先進的な理数系教育を実施している。高校の理数系に限定されるが、ギフテッドが学べる学習環境が整っているとも言える。
一方、民間の団体でもギフテッド向けの学習環境づくりが進められている。代表的なのが「NPO法人日本教育再興連盟(ROJE)」だ。文部科学省ならびにこども家庭庁から委託を受けた事業を含めたギフテッドプロジェクト「sprinG(スプリング)」を2022年度に始動。子ども同士がつながるメタバース空間を提供したり、学生スタッフ「メンター」による個別支援、保護者用のオンラインコミュニティなども展開している。
また「NPO法人 翔和学園」では、2E型の特性に応じた「ギフテッド2E教育」を実施している。「学習活動タイム」「身体運動」「プロジェクトタイプ」などのカリキュラムを中心に、突出した才能やセンスを社会的成功につなげられるようアプローチしている。
そのほか、オンラインの教育ツールを利用して高度な問題に挑戦したり、コミュニティを活用して同じような才能やセンス、特性を持つ子どもや保護者と交流している例もある。情報交換をするだけではなく、安らぎの場となっていることも多い。
まとめ
ギフテッドは、人並外れた優れた才能やセンスを発揮して天才的と称賛されることが注目されがちだが、その能力やスキルの高さから生きづらさを感じているとも言われる。不登校などになって能力が発揮できないだけではなく、社会生活から逸脱してしまう例も少なくない。
自分の子どもはもちろん、近くにギフテッドと思われるような子どもがいる場合は、その特徴や特性を理解することを優先したい。適切な学習環境を用意し、能力を存分に発揮できるよう支援していくのはもちろんだが、楽しんで取り組めることに主眼を置くことも重要だろう。
参考記事
ギフテッドとは何か?詳しく解説|日本心理検査センタ
児童生徒の発達の支援|文部科学省
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