ギグワーカーとは?注目が高まる背景や社会へのメリット、保障の動きについて解説

ギグワーカーとは

ギグワーカーとは、短期間の仕事やプロジェクト単位で働く労働者を指す。元々は音楽業界で使われていた「ギグ(gig)」という言葉に由来し、ミュージシャンが一回限りの演奏を行うことを意味していた。現在では、主にオンラインで単発の仕事を請け負う働き手を総称するが、オフラインで仕事を受けるギグワーカーも存在する。

ギグワーカーの特徴は、特定の企業に長期間雇用されるのではなく、必要に応じて仕事を受ける点にある。柔軟な働き方が可能となり、自分のスケジュールに合わせて仕事を選ぶことも可能だ。一方で、安定した収入や福利厚生が得られにくいというデメリットも存在する。

近年、インターネットやスマートフォンの普及により、ギグワークの機会が増加している。特に欧米や中国を中心に、企業案件を個人に仲介するプラットフォームも増えており、ギグワーカー人口は増えつつある。例えば、配車サービスやフードデリバリー、オンラインのタスクマッチングプラットフォームなどがその代表例である。これらのサービスを通じて、個人が簡単に仕事を見つけ、短期間で収入を得られるようになった。ギグワーカーは、現代の多様な働き方の一つとして注目されており、今後もその需要は増加すると考えられる。

フリーランスとの違い

ギグワーカーとフリーランスは、どちらも独立して仕事を請け負う点で共通している。しかし、両者は働き方や仕事の性質において違いがある。

ギグワーカーは短期間のプロジェクトや単発の仕事を中心に活動する。配車サービスやフードデリバリーなどのプラットフォームを通じて仕事を見つけることが一般的だ。一方、フリーランスは長期的な契約や継続的なプロジェクトを担当することが多い。自身のネットワークや専門知識を活かして仕事を獲得することもあり、デザインやコンサルティングなどの専門的な分野で活動できることも特徴である。

また、ギグワーカーは柔軟な働き方が可能で、自分のスケジュールに合わせて仕事を選べるが、収入が不安定になりやすいというデメリットもある。フリーランスも同様に柔軟な働き方が可能であるが、長期的な契約を結ぶことで、より安定した収入を得られる場合が多い。

臨時労働者との違い

臨時労働者や日雇い労働者は、ギグワーカーと同様に短期間の仕事を請け負う。しかし、働き方や仕事の探し方、活動する分野において異なる点が多い。

ギグワーカーは主にインターネットやスマートフォンのアプリを通じ、オンライン上で仕事を見つける。自分のスケジュールに合わせて仕事を選べる柔軟性があり、多様な分野で活動することも多い。例えば配車サービスやフードデリバリー、プログラミング、動画編集などが含まれる。

一方、臨時労働者はオフラインの労働市場や派遣会社を通じて仕事を探すことが多い。また、指定された日時や場所で働くことも特徴的で、建設現場やイベントスタッフ、工場のライン作業など、特定の物理的な場所での労働が中心だ。さらに、ギグワーカーは個人事業主としての側面が強く、自分で税金や保険を管理する必要があるが、臨時労働者は雇用主がこれらを管理する場合が多い。

注目が高まる背景

近年、ギグワーカーとして働く人口も増加しており、社会的関心も高まっている。その背景には、以下のような要因がある。まず、「働き方の多様化」が挙げられる。従来のフルタイム雇用に縛られず、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に働けるギグワークは、多くの人々にとって魅力的である。特に、育児や介護、学業などと両立しやすい点が評価されている。

次に、「企業側のニーズ」も大きな要因である。企業は、必要な時に必要なスキルを持つ人材を迅速に確保できるギグワーカーを活用することで、コスト削減や業務の効率化を図れる。特に、プロジェクトベースの業務や季節的な需要がある業界では、ギグワーカーの存在が欠かせないものとなっている。

さらに、社会的な要因も無視できない。インターネットやスマートフォンの普及により、ギグワークのプラットフォームが急速に発展し、誰でも簡単に仕事を見つけられる環境が整っている。また、経済の不確実性が増す中で、複数の収入源を持つことがリスク分散の手段として注目されている。

これらの要因が相まって、ギグワーカーへの注目が高まっている。特に、若年層や都市部の住民を中心に、ギグワークを選択する人々が増加している。今後も、技術の進化や社会の変化に伴い、ギグワークの需要はさらに拡大すると考えられる。

ギグワーク市場の動向

ギグワーク市場は近年急速に拡大している。特に新型コロナウイルスの影響で、リモートワークや非接触型の働き方が普及したことが大きな要因だ。日本経済研究センターの調査によれば、2020年の国内ギグワーカーは約1,670万人に達しており、契約件数は前年比で約2割増加した。この増加は特に都市部で顕著であり、地方からの業務委託が都市部のギグワーカーによって受注されるケースも増えている。(※1)

また、ギグワークの普及は、インターネットやスマートフォンの普及と密接に関連している。クラウドソーシングのプラットフォームを通じて、誰でも簡単に仕事を見つけられる環境が整っていることもあり、ギグワーカーの数は増加の一途をたどっている。さらに、ギグワークは企業側にもメリットが多い。必要な時に必要なスキルを持つ人材を迅速に確保でき、コスト削減や業務の効率化が図れることから、特にITやデザイン、ライティングなどの分野での需要が高まっている。

技術の進化や社会の変化に伴い、ギグワークの需要はさらに拡大すると考えられており、ギグワーク市場は今後も成長が期待される。

※1 コロナ禍でも拡大続くギグワーク市場|公益社団法人日本経済研究センター

ギグワーカーの種類

ギグワーカーの種類

一言にギグワーカーと言っても、その種類はさまざまだ。ここでは、ギグワーカーの代表的な種類を以下の5つのカテゴリに分けて紹介する。

代行業

代行業は、他人の代わりに特定の業務を行う仕事である。例えば、買い物代行や家事代行などの比較的簡単な作業から、専門的なスキルを要するペットシッターなど幅広く存在する。これらの仕事は、依頼者のニーズに応じて柔軟に対応できる点が特徴で、特に高齢者や忙しいビジネスパーソンにとって、代行業は便利なサービスである。

運送業

配車サービスのドライバーやフードデリバリーの配達員など、物品や人を目的地まで運ぶ運送業もギグワークの代表的な職種だ。これらの仕事は、スマートフォンのアプリを通じて簡単に仕事を見つけることができることに加えて、特にフードデリバリーは都市部での需要も高いため、一定の収入を確保しやすいことから人気の仕事となっている。

単純作業

単純作業は、特別なスキルや資格を必要としない仕事である。例えば、イベントスタッフや清掃員、倉庫でのピッキング作業などが含まれる。体力を要する場合もあるが、短期間で完了することが多く、学生や主婦、副業を探している人々にとって、手軽に始められる仕事として人気がある。

スキルを必要とする業種

例えば、ウェブデザインやプログラミング、翻訳などスキルが必要なギグワークは、特定の技術や知識を持つ人々からの関心が高い。専門的なスキルを活かすことで、高い報酬を得やすいことに加えて、オンラインプラットフォームを通じて世界中のクライアントと繋がれる点も魅力である。

専門知識を必要とする業種

専門知識が必要なギグワークは、コンサルティングや法律相談、医療関連のアドバイスなど特定の分野で高度な知識や経験を持つ人々が利用している。これらの仕事は、高度な専門知識を活かしてクライアントに価値を提供することが求められるため、信頼性と実績が重要であり責任も課されるが、高い報酬が期待できる。

ギグワーカーのメリット

ギグワークは、働く側だけでなく、ギグワーカーを雇う企業側にもメリットがある。さらに、ギグワーカーが増えることで社会的なメリットもあると言われており、SDGs目標の達成にも貢献すると考えられている。

働く側のメリット

ギグワーカーとして働くことには多くのメリットがある。まず、柔軟な働き方が可能である点が挙げられる。自分のスケジュールに合わせて仕事を選べるため、育児や学業、他の仕事との両立がしやすい。また、多様な仕事に挑戦できるため、スキルの幅を広げることも可能だ。特に、短期間で多くの経験を積める点は、キャリアの成長につながる。

さらに、複数の仕事を掛け持ちすることで、収入源を増やし、経済的なリスクを分散できる。特に、経済の不確実性が高まる中で、安定した収入を得るための手段として注目されている。最後に、ギグワークは自己管理能力を高める機会でもある。仕事の選択やスケジュール管理、報酬の交渉など、自分自身ですべてをコントロールする必要があるため、労力がかかる一方で自己成長にもつながる。

企業側のメリット

ギグワーカーを活用することには、企業側にも多くのメリットがある。まず、必要な時に必要なスキルを持つ人材を迅速に確保できる点が挙げられる。これにより、突発的なプロジェクトの進行などもスムーズになり、業務の効率化が図れる。また、ギグワーカーは短期間の契約が多いため、長期的な雇用コストを削減できる。特に、繁忙期や特定のプロジェクトにおいては、柔軟に人員を増減できる点が大きな利点である。

さらに、ギグワーカーを活用することで、多様な視点やアイデアを取り入れられる。外部の専門家や異なる業界の経験を持つ人材をプロジェクトに参加してもらうことで、革新的な解決策が生まれる可能性も高まるだろう。また、ギグワーカーは自分のスキルや経験を活かして働くため、高いモチベーションを持って業務に取り組むことが多い。

社会的なメリット

ギグワーカーは、持続可能な開発目標(SDGs)のいくつかに深く関連している。まず、SDGs目標8「働きがいも経済成長も」では、誰もが働きがいのある仕事を得ることが重要視されている。ギグワークは柔軟な働き方を提供し、多様な人々に働く機会を提供する点で貢献している。

また、SDGs目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」では、技術革新が求められており、ギグワークのプラットフォームはその一例である。さらに、SDGs目標10「人や国の不平等をなくそう」では、経済的な機会の平等が強調されている。ギグワークは、地域や背景に関わらず、誰でも参加できる働き方を提供することで、不平等の解消に寄与しているのだ。

SDGs目標11「住み続けられるまちづくりを」では、都市部での多様な働き方が推進されており、ギグワークはその一環として機能している。最後に、SDGs目標16「平和と公正をすべての人に」では、透明性と公正な労働環境が求められており、ギグワークのプラットフォームはこれを実現するための手段となっている。

ギグワーカーが増えることで、経済的な機会が広がり、社会全体の活力が向上する。また、多様な働き方が普及することで、より包摂的で持続可能な社会の実現にもつながる可能性を秘めている。

ギグワーカーが直面する課題

ギグワーカーが直面する課題

ギグワーカーが直面する課題は多岐にわたる。以下では、4つの課題について言及する。

収入が不安定

ギグワークは短期間の仕事が多く、安定した収入を得ることが難しい。特に、仕事の依頼が途絶えると収入がゼロになるリスクがある。また、ギグワーカーは労働者としての権利や福利厚生が保障されていないことが多い。例えば、健康保険や年金、失業保険などの社会保障が適用されない場合が多く、自己負担でこれらを管理する必要がある。

労働環境を整えづらい

ギグワーカーは自宅やカフェなどで働くことが多く、職場の安全性や労働条件が確保されていないことがある。また、インターネットを介して仕事を行うため、顧客とのトラブルや不適切な対応を受けるリスクも存在する。精神的なストレスが増加する可能性もあるだろう。

スキルの需給ギャップ

ギグワーカーは多様なスキルを持つことが求められるが、需要と供給が一致しない場合、仕事を見つけるのが難しくなる。特に、特定のスキルが過剰供給されると、報酬が低下するリスクがある。

社会的な孤立を感じやすい

ギグワーカーは一人で仕事をすることが多く、同僚との交流が少ないため、孤立感を感じることがある。メンタルヘルスの問題が生じる可能性も高くなる。

このように、ギグワーカーが直面する課題は多岐にわたり、これらの問題に対する対策が求められている。

ギグワーカーを保障する動き

ギグワーカーを保障する動きは、世界各国で広がっている。特にアメリカやイギリスでは、ギグワーカーを企業の従業員と同様に労働者として扱い、最低賃金や労働時間の規制を適用する法整備が進んでいる。例えば、カリフォルニア州では2020年にライドシェアの運転手を従業員と認定する法律が施行され、最低賃金や労働時間の規制が適用されるようになった。イギリスでも、ウーバーの運転手が労働者として認められ、労働法の保護を受けられるようになっている。

一方、日本でもギグワーカーの保護についての議論が進められている。2024年11月には、フリーランス新法が施行され、フリーランスやギグワーカーの契約条件を保護するための規定が設けられる。この法律では、報酬の支払い遅延や不当な買いたたきの禁止、契約条件の明確化などが定められている。また、東京都労働委員会は、料理配達の運営会社に対し、配達員の労働組合と団体交渉に応じるよう命じるなど、ギグワーカーの労働者性を認める動きも見られる。

このように、ギグワーカーを保護するための法整備や政策が各国で進められている。日本でも、ギグワーカーの権利を保障し、労働環境の改善がさらに進むことが求められており、ギグワーカーが安心して働ける環境が整い、経済的な安定が図られることが期待される。

まとめ

ギグワーカーは今後、技術の進化や社会の変化に伴い、ますます広がると考えられる。特に、インターネットやスマートフォンの普及が進む中で、ギグワークのプラットフォームはさらに多様化し、利用者も増加するだろう。これにより、ギグワーカーはより多くの仕事の機会を得られる一方で、労働環境や権利の保護が重要な課題となる。

ギグワーカーの柔軟な働き方が多くの人々にとって魅力的である一方で、安定した収入や社会保障の確保が必要とされている。法整備や政策の充実を通じて、ギグワーカーが安心して働ける環境が整うことが重要だ。ギグワークが持続可能な働き方として定着することで、社会全体の活力向上にもつながるだろう。

参考記事
フリーランス・ギグワーカーの労働者性に係る現状と課題|厚生労働省
複数の事業所で勤務する者、フリーランス、ギグワーカーなど、多様な働き方を踏まえた被用者保険の在り方について|厚生労働省
フリーランス・ギグワーカーの社会保険の適用の在り方について|厚生労働省
フリーランス・ギグワーカーの労働者性・保護に関する各国の動向|内閣府ホームページ

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