特集|多様性社会における新たな教育のかたち

PERSPECTIVE

この特集が生まれた理由。


「多様性」という言葉を、見かけない日はなくなった。
かつてよりは自由で、誰にとっても優しい社会に向かっているはずなのに、私たちの心はどこか落ち着かない。
属性で誰かを区別し、良かれと思った配慮が、かえって壁を高くする。
「らしさ」を守るための言葉が、ときに新たな分断を招く。
私たちが手にしているのは、本当に望んでいた豊かさなのだろうか。
いま必要なのは、制度を整えること以上に、他者とのあいだに流れる「対話」を信じ直すことではないだろうか。
その変化の種は、未来を担う子どもたちの学びの場にこそある。
正解を教え込むことや、型にはまった「配慮」を覚えさせることではなく、
相手の痛みを想像し、言葉にならない違和感を無視せず、互いの境界線を静かに認め合うこと。
そう伝えるために、私たち大人は何を学び、何を脱ぎ捨てればいいのか。
この特集では、教育という営みを通じて、多様化社会を「生きる実感」へと変えるためのヒントを探りたい。

ARTICLES

テーマで読み解く、社会の動き。

インクルーシブ教育

インクルーシブ教育とは?日本の現状と課題を実践例を交えて解説

インクルーシブ教育(包容する教育)とは、障害の有無や個々の特性にかかわらず、すべての子どもたちが同じ環境で学びあい、共生社会の実現を目指す教育だ。共生社会とは、誰もが互いの人格と個性を尊重し支えあい、多様な在り方を認めあえる全員参加型の社会である。

オルタナティブスクールとは

オルタナティブスクールとは?教育法の種類や特徴、注意すべき点について解説

オルタナティブスクールとは、日本の公教育とは違うもう一つの(alternative、オルタナティブ)学校を指す。大きな特徴は、ヨーロッパやアメリカの哲学的および教育学的思想を基盤とする教育を提供していること。子ども一人ひとりの自主性を尊重し、主体的に学習に取り組めるような教育体制を築いており、教育の多様化を象徴する学校とされる。

フィールドラーニングとは

フィールドラーニングとは?「生きる力」を育む学習スタイルについて、実践事例と共に解説

フィールドラーニングとは、山形大学が2016年に提唱した独自の学術用語で、教室外のフィールドで実施する教養教育の体験型学習のこと。その目的は、活動を通じて自己・人間・社会・自然について思索理解を深め、得られた成果を表現することだ。

ばら教室KANIの授業風景

ばら教室KANI、不就学ゼロを目指す外国籍児童生徒支援の現場から vol.7 【岐阜県可児市】

「不就学」という言葉を聞いたことがあるだろうか。不就学とは、学校に籍を置かず就学していない状態を指し、学校に籍があるにもかかわらず通学していない「不登校」とは区別される。日本に居住する6歳から15歳の日本国籍の子どもの保護者には、小・中学校の合計9年間、教育を受けさせる義務が課されている。一方、外国籍の子どもには義務教育の適用はなく、希望すれば無償で学校教育を受けることができるが、あくまで「希望制」となっている。

不登校30万人時代。変わる日本の教育で、子どもが選ぶ多様な学びのカタチ

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学校に通えない、通わない子どもたちが増え続けている。不登校は誰にでも起こりうることだが、我が子や孫など身近な存在が不登校になれば不安が尽きない。大切なのは、子ども一人ひとりが安心して過ごせる場所で、自分らしく学び成長していけること。この記事では、不登校の現状や支援の選択肢を紹介しながら、大人の寄り添い方を考える。

「違い」を学びに変える。ヘラルボニーが描く、アート×インクルーシブ教育のカタチ

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「異彩を、放て。」をミッションに掲げるヘラルボニーが、教育分野への新たな挑戦を始めた。知的障害のある作家たちの作品と子どもたちが出会うとき、従来の「正解」重視の美術教育に静かな変化が生まれる。この夏、岩手県盛岡市で開催される親子30組限定のサマースクールを通じて、アートがもたらすインクルーシブ教育の可能性を探る。

森で育む子どもたち。全国に拡大を続ける「森のようちえん」の教育効果

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社会的ニーズや価値観の変化を背景に全国に広がっている森のようちえん。森や海、里山などの自然を舞台に、自由な遊びを通じて、子どもたちが非認知能力を伸ばせることからも注目されている。森のようちえんを取り巻く制度や社会的背景は、近年大きく変化している。科学的に裏付けられたその教育効果と、普及を支える制度について紹介する。

「学びたい」を諦めない。テクノロジーが変える教育格差

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「もし100年前の教師が現代にやってきたとしても、何ら問題なく授業をおこなえるだろう」。社会学者であるラリー・キューバンは、自身の著書で上記のような趣旨の指摘をしている。この思想は、教育が通信・医療・交通・工業などの領域に比べ、技術革新の影響を受けにくいことを象徴的に表現している。

”なぜ?”から始まる学び。けやの森学園の子どもたちが五感で感じた「水の循環」

”なぜ?”から始まる学び。けやの森学園の子どもたちが五感で感じた「水の循環」

“なぜ?”という子どもの問いから、学びは始まる。埼玉県狭山市のけやの森学園が実践するのは、知識を教えるのではなく、自然の中で感じ、考え、表現する教育だ。体験を通して感性を育むこの方針は、サステナブルな未来を生きる力を育てるヒントを与えてくれる。

地球が教室になる時代へ。新しい学びのかたち「旅育」の国際事例

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教室の枠を超え、世界を教材にする「旅育」が注目されている。知識詰め込み型の教育が行き詰まる中、異文化との出会いや予期せぬトラブルへの対応を経験し、子どもたちは生きる力を手に入れる。ニュージーランド、シンガポールなどの国際事例から、持続可能な社会を築く新しい学びの形を考察する。