
概要
INTRODUCTION
この回で伝えたいこと。
数時間で役目を終えるお祝いの花。形が揃わないだけで市場に並ばない花。
日本では年間10億本もの花が行き場を失い、まだ美しいまま捨てられている。
こうした現状に向き合い、ロスフラワーを回収してドライ加工や装花、 販売・教育など多様な取り組みを実践してきたのが、
株式会社RIN代表であるフラワーサイクリスト®︎・河島春佳さん。
渋谷のように人が行き交うまちだからこそ、花の循環が新たな文化になる可能性がある。
今回は河島さんのこれまでの実践と、広がりつつある花の循環の今とこれからを探る。
ゲスト
GUEST
対話の扉を開き、新しい世界を描き出す。

河島 春佳
株式会社RIN代表取締役 フラワーサイクリスト®︎
長野県生まれ。2017年、生花店で廃棄される花の多さにショックを受け、フラワーサイクリスト®︎としての活動を開始。2019年にロスフラワー®︎を用いた装飾を行う(株)RINを設立。現在、スクールの卒業生200名以上と共に「花のロスを減らし花のある生活を文化にする」ために活動している。
テーマ
THEME
この回を読み解く言葉。

フラワーロスとは?花きの廃棄を減らすためのさまざまな取り組みを紹介
フラワーロス(ロスフラワー)とは、生産された花が消費者にわたる前に廃棄されてしまうことだ。新型コロナの流行により、卒業式や入学式などさまざまなイベントが中止や縮小となり、需要が減少したことで問題視されるようになった。また、花だけでなく生産や流通時に使われる肥料、水、燃料などの資源が無駄になることも問題となっている。
用語集
RELATED TERMS
番組中に登場するキーワード解説。
注目
HIGHLIGHTS
心に刻む、その一言。

大量に捨てられていく花を前に、「なんとか活用できないか」と感じたことが活動の原点。
ロスフラワーの活用は、まだまだ可能性があります。もっと広げていける、その余地を感じています。

ロスフラワーを草木染めやたい肥として活用できたりしないんですかね?花の命を、
別のかたちでも循環させられたらいいですよね。

お花の文化を広めることで廃棄をなくす、という発想がすごく素敵だなと思いました。
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言葉の行間に、心をたどる。
まもなく公開。
小原
本日もよろしくお願いいたします!
望月・福田
よろしくお願いいたします!
小原
早速メールをご紹介します。
《ラジオネーム“つぐママ”さん》
子どもの上履き、まだ履けるのにサイズアウトで捨てるのがもったいない。靴はお下がりがあるけど、上履きのサーキュラーエコノミーってないんでしょうか?
これ、わかるなぁ。
望月
身近ですね。うちも子どもがいて、年に一、二回サイズアップします。まだ使えるのにな、っていうのは確かにある。
福田
靴はもらったりあげたりありますよね。でも上履きって、心理的にもちょっと難しいかも…って思っちゃいますね。使用されている素材も布だけではないみたいなので、リサイクルが難しいものではありそうですね。
小原
そうなんですよね。底は合成ゴム、上は布やビニール素材なので、切って分ければ資源化できそうな気もするんですけど…
望月
誰が切るのか問題が出てきそう。あとは、リサイクルとなると経済合理性の問題もありますね。
小原
たしかに。大量生産だから、バージンで作る方が安い、ってなっちゃうとリサイクルが広まりにくい。
望月
まずは貸出用として、リユースから始めるのも一つのような気もします。
福田
“教育”としてはすごく良さそうですよね。子どもたちがリサイクルなどに興味をもつ第一歩にはなるのではないでしょうか。
小原
教育としてもよさそうですよね。メールありがとうございました。引き続き“これ資源にならないの?”っていう疑問、お待ちしてます!
▶お問い合わせ先:wakusei@shiburadi.com もしくは、Xで#渋谷のサーキュラーエコノミー企画室
フラワーロスをなくすには?廃棄される現状を知る(10:41~)
小原
今月のゴミッションは…『捨てられる花をもう一度咲かせるために何ができる?』です。
日本の花き産業の生産規模は約1.1兆円とされる一方、年間約1,500億円分、国内生産量の約30〜40%にあたる花が廃棄されている。
廃棄されるのは枯れた花だけではなく、形や大きさが揃わないといった理由で市場に出回らない規格外の花も多い。加えて、結婚式やイベントのスタンド花など、短時間で役目を終える花も少なくない。
さらに花の多くは温室栽培で生産され、化石燃料や水を多く使用する産業でもある。日本の切り花自給率は約72%と比較的高いが、花の流通に伴う環境負荷は国内外で課題とされている。
農林水産省もフラワーロスを花き産業の重要課題と位置づけ、生産から販売までの各段階でロス削減の必要性を訴えている。
小原
そこで今夜お迎えするゲストは、株式会社RIN代表取締役、フラワーサイクリスト®︎の河島春佳さんです。よろしくお願いします!
河島 よろしくお願いします。
小原
まず“フラワーサイクリスト”とはどのようなお仕事なのでしょうか?
河島
私たちは、廃棄されてしまうお花を購入し空間装飾などに活用しています。回収元は、生産者さんの規格外の花、市場の売れ残り、小売店で傷がついて店頭に出せない花、そして結婚式やイベントで使い終わった花などです。美しいのに捨てられてしまう花を回収して、ドライフラワーなどに加工しています。
小原
フラワーサイクリストという肩書は河島さんが考えられたものなんですか?
河島
はい。私たちが作った名前です。普通のフローリストとは違って、“花の命を長く楽しむ花屋”という意味で、わかりやすく表現しました。
小原
そうなんですね。始めたきっかけは?
河島
花屋でアルバイトをしていた2017年頃、クリスマス用に売られていたバラが翌日には正月商材に切り替わって、300本、400本と“きれいなまま”捨てられていたんです。「これをなんとかできないかな」と思ったのがきっかけです。
小原
クリスマスは花の廃棄が多い時期なんですか?
河島
とても多いです。フードロスでいう恵方巻みたいな構造があります。
花を循環させる:日常の文化と、渋谷の可能性(16:16~)
小原
河島さんは2018年にパリへ留学もされていますよね?
河島
はい。一番のカルチャーショックは、マルシェで食材を買う人が“必ず花も買って帰る”こと。食卓に花があるのが当たり前なんです。しかも花が不揃いで自由。日本なら規格外と言われる花も普通に売られていて、“ロスフラワーという言葉がいらない社会”って素敵だなと思いました。
小原
日本だと花って“非日常”だから、価格も高くなりがちですよね。
河島
そうですね。ギフト需要が多いので、廃棄コストも含めて価格設定される側面があります。日常的に買う人が増えると、価格帯も多様になって、手に取りやすくなり、ロスフラワーを減らすことにもつながると思っています。
小原
回収した花はどのようにアップサイクルされているのですか?
河島
一番アイコニックな取り組みとしては、回収した花をドライフラワーに加工し、店舗装飾に活用しています。そのほかにも廃棄を減らす取り組みとして、花の産直プラットフォームの運営や、タワーマンションの空きスペースを活用した、ロスになってしまう花の販売なども行っています。また、フラワーサイクリストのスクールも運営しており、これまでに約200名の方が卒業しています。
福田
花の文化を広げるために、今後の展開として構想していることはありますか?
河島
最近は“フラワー・ゼロウェイスト”を目指していて、お香にしたり、お花を粉砕して紙にしたり、化粧品メーカーさんと香水×花でポプリのような商品を作ったり。ゆくゆくは精油など、オリジナル商品も開発したいです。茎も葉も、最後まで捨てない出口を増やしたい。
小原
“花の命を延ばす”から“廃棄しない循環を作る”へ、ステージが変わってきているのですね。
望月
まだまだ市場としても伸びそうですか?
河島
伸ばせると確信しています。日本で年間廃棄される花は10億本と言われていますが、私たちが扱えているのは10万本程度。まだ本当に小さい。でも共感してくださる企業さんが増えているので、広げるしかないと思っています。
福田
世界の事例だと、香料にする取り組みもあれば、花を“人のつながり”に使う事例もあるんですよね。例えば高齢者向けのフラワーワークショップとか。環境面だけじゃなく、関係性を生む資源として花が使われているのが面白いなと思いました。
都市で花を回すには。渋谷から考える次の循環(35:29~)
望月
かなりサーキュラーエコノミーに近づいてきている印象がありますよね。ただ正直なところ、すべてを製品として市場に流通させるのは、やっぱり現実的には難しい側面もあるのかなと思っています。
小原 量としても、相当な数になりますもんね。
望月
たとえば、装飾やドライフラワーとして価値を出せる部分は市場に出して、その後は染料にしたり、堆肥にしたりして、生産者に戻していく。そういう仕組みができれば、循環を回しながら、ビジネスとしても無理なく雪だるま式に大きくしていけるんじゃないかなと。
小原
花の命が永遠につながっていく循環のサイクルができたらいいですよね。
河島
正直なところ、環境面を意識した取り組みって、採算が合わなくなってしまうことも少なくないんですよね。花き産業の中にサーキュラーエコノミーの仕組みを組み込んでいくことは、やっぱり簡単なことではなくて、日々課題だなと感じています。
だからこそ、生産の段階で使われるエネルギーも含めて、どうすれば環境への負荷を減らしながら続けていけるのか、という視点で考えていきたいなと思っています。
小原
河島さんは渋谷区の観光フェローも務められていますよね。渋谷をどんな街にしていきたいですか?
河島
そうですね、花や植物があふれるまちにしていきたいなと思っています。渋谷ってすごく都会的な街ではあるんですけど、だからこそ、街路樹に花を植えたりとか、ちょっとした景観の中に花があるだけで、街の印象ってすごく変わると思うんです。
小原
本当に、全国にフラワーサイクリストの方がこれからどんどん増えていくことで、花の循環がもっと身近なものとして、生活に根ざしたものとして広がっていけばいいなと感じました。河島さんをはじめ、全国で活動されているフラワーサイクリストの皆さんを、心から応援しています。ぜひこれからも頑張ってください。
今夜は本当に、どうもありがとうございました。
河島・望月・福田 ありがとうございました!
連載
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小原信治が紡ぐ、もうひとつの物語。

種蒔く旅人Ⅱ
~2040、未来の君へ~
文・写真 青葉薫
夕陽が海に沈む三浦半島・秋谷。15年前に都会を離れ、この海辺のまちで「食べるものを育てる」暮らしを手に入れた。
朝は産み落とされたばかりの鶏卵を炊き立ての白米にかけ、夜は目の前の海で採れた魚と自分たちで育てた野菜で晩酌を楽しむ。心はいつも凪いでいる。
だが今、気候危機という現実が、この美しい日常に影を落とす。2040年、娘が大人になる頃の世界はどうなっているのか。
この海辺のまちで生まれた我が子に何を残せるのか。未来への「希望の種」を探す新たな旅が始まる。旅するように暮らす、この町で。




































花の世界では“見た目”がとても重視されるので、本当にたくさんの花が規格外として市場に並ばないんですよね。それに、イベントのたびに飾られるあの花たちって、実際にはそのあとどうなっているのでしょうか。