バンドワゴン効果とは
バンドワゴン効果とは、ある行動や考え方が多くの人々に支持されることで、その行動や考え方に同調する人が増える現象を指す。これは、特定の選択肢が人気であることが、その選択肢の価値を高めると感じる心理から生じる。例えば、「〇〇という商品が売れている」と聞くと、その商品が良いものであると判断し、購入する人が増える。多数派の意見や行動に影響されることで、個人の選択が変わることがあるのだ。
アメリカの経済学者ハーヴェイ・ライベンシュタインが提唱した概念が由来となっている。「バンドワゴン」とは、パレードの先頭を行く楽隊車を意味し、多くの人々がその楽隊車に続く様子からこの名がつけられた。「バンドワゴンに乗る」とは、時流に乗る、多勢に与する、勝ち馬に乗るという意味であり、心理学に限らず、政治や経済、社会学でも使われる言葉である。
バンドワゴン効果は、マーケティングや政治の分野で特に顕著に見られる。選挙において、支持率の高い候補者に投票する人が増える現象や、人気商品の売り上げがさらに伸びる現象がその例である。また、SNSの普及により、情報が瞬時に広がる現代では、この効果が一層強まっている。
このような現象は、個人の意思決定に影響を与えるだけでなく、社会全体の動向にも大きな影響を及ぼす。情報が溢れる現代において、「バンドワゴン効果」というものがあることを理解し、多数派の意見に振り回されないよう適切に対処することが重要である。
対義語は「アンダードッグ効果」
バンドワゴン効果の対義語として知られる「アンダードッグ効果」は、少数派や劣勢にある者を応援する心理現象を指す。弱者や不利な立場にある者が奮闘する姿に共感し、支持を集める現象である。例えば、スポーツの試合で負けているチームを応援するファンが増えることがその一例だ。逆境に立ち向かう姿勢や努力を評価する人々の心理から生まれるとされる。
アンダードッグ効果は、バンドワゴン効果とは異なり、多数派の意見や行動に流されるのではなく、少数派や挑戦者の支持を生み出す。両者は対照的な心理現象であり、それぞれが異なる状況で発揮される。
しかし、どちらの効果も感情に強く影響されるため、冷静な判断が難しくなることが共通している。バンドワゴン効果では、多数派の意見に流され、本来の自分の意見や選択を見失う可能性がある。一方、アンダードッグ効果では、感情的に弱者を応援するあまり、実際の状況や事実を見誤ることがある。
両者はマーケティングや政治戦略に利用されることも多く、意図的に操作されるリスクがあるため、情報の真偽を見極める力が重要だ。
合わせて押さえておきたい集団心理用語
バンドワゴン効果やアンダードッグ効果と同じカテゴリの集団心理用語には、以下のようなものがある。
- スノッブ効果:他人が持っていないものを持つことで優越感を得る心理現象。例えば、高級ブランド品を購入することで、他人との差別化を図る行動がこれに該当する
- ヴェブレン効果:価格が高いほどその商品に価値を感じる心理現象。高価な商品を購入することで、社会的地位や富を誇示する行動がこれに当たる
- 同調圧力:集団内での一致を求める圧力により、個人が自分の意見を抑えて多数派に従う現象
- 集団極性化:集団での議論を通じて、個々の意見がより極端な方向に進む現象
- 社会的証明:他人の行動を基に自分の行動を決定する心理
これらの用語は、バンドワゴン効果やアンダードッグ効果と同様に、個人の意思決定や行動に大きな影響を与える。冷静で客観的な判断をするためには、これらの心理現象を押さえておくことが重要である。
バンドワゴン効果の身近な具体例

バンドワゴン効果は、日常生活のさまざまな場面で見られる心理現象である。以下がその具体的な例だ。
- 「泣ける大賞」や「全国の書店員が絶賛」と書かれた帯のついた小説を見かけると、その本が良いものであると感じて購入する
- 知らない土地でも行列のできているキッチンカーを見ると、自分もその料理を試してみたいと感じる
- SNSで多くの「いいね」やフォロワー数を持つインフルエンサーが紹介する商品やサービスに興味を持ち、フォローする
- 選挙活動において、新聞やテレビで優勢と報じられた候補者や政党に票が集まりやすくなる
- 広告やキャッチコピーで、多くの人が支持していることを強調することで、消費者の購買意欲を高める
このように、バンドワゴン効果は選挙活動やマーケティング戦略でも利用され、個人の意思決定に大きな影響を与えるため、その存在を理解し、冷静な判断を心がけることが重要である。
多数派の行動に引きずられてしまう心理
バンドワゴン効果のように、多数派の行動に引きずられてしまう心理は、社会的証明や同調圧力と深く関係している。人は社会的な存在であり、他者との関係や集団の中での位置づけを重視する傾向がある。そのため、多数派の行動や意見に従うことで、安心感や一体感を得ようとするのだ。この心理は、特に不確実な状況や情報が不足している場合に強くはたらく。
また、情報の非対称性が原因となる場合がある。個々の情報収集能力には限界があり、多数派の行動を参考にすることで、効率的に意思決定を行えると考えるためだ。多数派の行動を信頼することで、自分の判断が正しいと確信するのである。さらに、多くの人が支持している意見や行動が正しいと感じる「社会的証明の原理」もはたらく。特に不確実な状況では、多数派の行動を基準にすることで、自分の行動が適切であると感じられる。
以上のように、バンドワゴン効果は人間の基本的な心理に根ざしており、多数派の仲間に入ることで安心感や効率性を求める傾向がある。しかし、この効果には注意が必要で、必ずしも多数派の意見が正しいとは限らないため、独自の判断力を持つことが適切な状況判断や意思決定をくだすために求められる。
マーケティングで用いられることも多い

バンドワゴン効果はマーケティングにおいて頻繁に利用される手法であるが、消費者としてはこの心理現象に流されないよう注意が必要である。
広告やプロモーション
広告やプロモーションで「人気No.1」「今、売れています」といったフレーズが使用されることは多い。実際の販売データや利用者数を示す手法も、多くの人が選んでいるという事実を強調する。この結果、その商品が人気であり、多くの人に支持されていると感じるため、消費者は購入意欲が高まる。
しかし、これに惑わされず自分の価値観やニーズに基づいて判断することが本来は望ましい。「累計販売数100万個突破」や「ランキング1位」といった情報に引きずられず、自分にとって本当に必要なものかどうかを見極めることが賢い購買のためには大切だ。
口コミやレビュー
SNSや口コミサイトでの高評価やレビューも、バンドワゴン効果を引き起こす要因となる。多くの「いいね」やポジティブなコメントが集まることで、他の消費者もその商品に興味を持ちやすくなる。しかし、これに過度に依存すると自分の本当のニーズを見失う可能性がある。SNSやレビューサイトでの評価は参考になるが、最終的には自分自身の判断が重要である。
バンドワゴン効果を利用したマーケティング手法に対して、消費者としては意図的に操作されないよう、自らの意思を見誤らないようにしたい。自分の判断力を信じ、冷静に選択することで、賢い消費行動を心がけられる。
バンドワゴン効果の社会的な問題点
バンドワゴン効果には、個々の判断力が低下するだけでなく、いくつかの社会的な問題点が存在する。例えば、多数派の意見が強調されることで、少数派の意見や異なる視点が無視される。これにより、多様な意見や情報が十分に考慮されず、偏った判断を誘発してしまう可能性も考えられる。
また、集団思考のリスクも見逃せない。バンドワゴン効果により、多数派の意見が無条件に支持されると、集団全体が同じ方向に進むことが多くなる。これにより、創造性や革新性が損なわれ、問題解決能力が低下することがある。特に、企業や組織においては、多様な意見を取り入れることが重要であり、バンドワゴン効果がそれを阻害することが懸念される。さらに、多数派の意見が絶対的なものとされることで、異なる意見や価値観が排除されてしまい、社会全体の多様性が損なわれ、偏った価値観が支配的になるリスクがある。
このように、バンドワゴン効果には多くの問題点が存在する。健全な社会や組織の発展には、個々の判断力を維持し、多様な意見を尊重することが不可欠だが、バンドワゴン効果がこれを阻害してしまう。
上手く活用すればサステナブルな社会を目指せる?

バンドワゴン効果は、個人の適切な判断や健全なコミュニティ形成の障壁となることもあるが、持続可能な社会を目指すための有力なツールにもなり得る。例えば、ジェンダー平等を訴えるキャンペーンによって、多くの人々が賛同を獲得することで、社会全体の意識が変わり、職場や学校でのジェンダー平等の実現、女性のリーダーシップや意思決定への参加が促進される。
このように、バンドワゴン効果を上手く活用することで、サステナブルな社会に向けた有効な一手を打つことも可能になる。
まとめ
バンドワゴン効果は、今後もさまざまな分野でその影響力を発揮し続けるだろう。特に、デジタル化が進む現代社会では、SNSやオンラインメディアを通じて情報が瞬時に広がり、多数派の意見や行動がより一層強調されることが予想される。
このような心理効果があることを理解し、自分自身の判断力を低下させないように心がけることも重要だ。しかし、バンドワゴン効果を上手く活用することで、持続可能な社会の実現に向けた取り組みを加速させられる可能性も秘めている。多数派に同調する集団の動きは、社会にとって良くも悪くも影響するのだ。
いずれにしても、バンドワゴン効果を利用する際には、冷静な判断と多角的な視点を持つことが重要であると強調したい。
参考記事
バンドワゴン効果|一般社団法人 日本経営心理士協会
野球も選挙も短期決戦は怖い 「バンドワゴン効果」と「アンダードッグ効果」、どう働くか|産経ニュース
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