森林環境税から再エネ賦課金まで。暮らしで支払う6つの環境のお金

税金はもちろん、ゴミを処分する際の手数料や負担金、さらには再生可能エネルギーの普及を支える賦課金など、私たちは日々の暮らしの中で、知らず知らずのうちに環境保全のためのお金を支払っている。本記事では、そんな私たちの生活と地球環境が深く結びついている証ともいえる「環境のお金」に焦点を当て、その仕組みと背景をひもといていく。

私たちが日常で支払っている“環境のお金”とは?

連日の酷暑やゲリラ雷雨の発生など、地球温暖化を実感する機会が増えているのではないだろうか。節電やゴミの分別など、私たちは日々の暮らしの中で地球環境のためにできることを実践しているが、実は“知らないうちに”貢献していることもある。

それが暮らしの中で支払っている「環境のお金」だ。

私たちの生活がどのように地球環境の保全に寄与しているのか。まずは、この「環境のお金」から見ていきたい。

森林環境税

森林環境税は、2015年に採択された「パリ協定」に基づく温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止を目的として創設された。

2024年度から本格的に施行されており、税収は「森林環境譲与税」として都道府県・市町村に譲与される仕組みとなっている。その使い道は、各自治体が独自に決定する。

徴収方法

住民税は主に「所得割」と「均等割」の2つから構成されており、森林環境税はこの均等割に上乗せする形で、1人あたり年額1,000円が徴収される。(*1)

使い道

市町村では「森林整備及びその促進に関する費用」、都道府県では「森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用」に充てられる。また、使徒の公表が都道府県・市町村に義務付けられている。

2024年度は約629億円が都道府県・市町村に譲与され、森林整備や、森林に関わる人材の育成・確保、木材利用や普及啓発関連の費用などに活用されている。(*2)

課題・今後

使い道の一例として、佐賀県伊万里市では、私有林の森林整備(切捨間伐)を2023年度に実施した。森林所有者の高齢化などにより、管理が行き届かない荒廃森林が増えていることへの対策だ。

このように具体的な使途を公表している自治体がある一方で、決定していない自治体も多く、対応の遅れが指摘されている。

地球温暖化対策税

地球温暖化対策税(正式名称:地球温暖化対策のための税)は、地球温暖化対策を強化する目的で2012年10月に創設された。環境負荷(CO₂排出量)が大きい石油・石炭・天然ガスといった化石燃料の使用に対して課される税であり、2003年に導入された石油石炭税を補完する“上乗せ税”の形をとっている。

徴収方法

石油(灯油)やガソリンなどを購入する際に、石油石炭税に上乗せする形で徴収されている。税率はCO₂排出量に対応するよう定められており、化石燃料ごとのCO₂排出原単位をもとに、単位量あたりで設定されているのが特徴だ。

創設時の試算では、平均的な家庭で月100円、年間1,200円程度が徴収されるとしている。また、税収は平年度(2016年度以降)約2,623億円に達すると見込まれている。(*3)

使い道

徴収された税金は、環境保全に関する施策に充てられている。
具体的には、リチウムイオン電池などの低炭素技術集約型産業の国内立地推進や、中小企業などによる省エネ設備導入の支援などが挙げられる。

課題・今後

地球温暖化対策税の目的は、課税によってCO₂排出量を抑制し、その税収を再生可能エネルギーや省エネ対策の強化に活用することにある。

創設当初は、太陽光発電設備の導入促進や、省エネ家電・ハイブリッド車・電気自動車への買い替えなどが進むと期待された。

しかし、10年以上が経過した現在、それらの取り組みがどの程度進展しているのかについては、不透明だとの指摘もある。

自動車税環境性能割

自動車税環境性能割は、車に課される税金を環境性能に応じて減税・免税する制度のこと。2019年10月に自動車取得税が廃止されたのに伴い、新たに導入された。

都道府県に納める地方税であり、軽自動車の場合は「軽自動車税環境性能割」と呼ばれる。燃費が良く、排出ガスが少ないなど、環境性能が高い車ほど税率が低くなる仕組みだ。

徴収方法

新車・中古車を問わず、購入や譲渡などで新規または移転登録を行う際に課税される。

2025年4月以降の税率は、2030年度燃費基準の達成率に応じて段階的に設定されている。燃費性能が高いほど税率は低くなり、一定の基準を満たす車両は非課税、その他はおおむね1〜3%程度の範囲で課税される。(*4)

使い道

税収は地方自治体の一般財源となっており、使い道は特定されていない。一般的には道路の整備・維持管理などの公共サービスに充てられるほか、教育・福祉、防災関連など、自動車以外の分野に活用されることもある。

課題・今後

使途の決定は自治体に委ねられており、環境負荷に応じて徴収しているにも関わらず、環境保全目的に使われていないのではないかという疑問の声も上がっている。

ゴミ指定袋制度

ゴミを出す際に指定の袋を購入して使用することで、ゴミ処理費用を負担する仕組み。この費用負担は手数料として扱われ、税金とは区別される。「できるだけゴミを出したくない」「ゴミの量を減らしたい」といった意識づけの効果も期待できる制度だ。

2000年前後から多くの自治体で導入が進み、環境省が実施した2020年度のアンケートによると、全国の82.6%の自治体が指定ゴミ袋制度を採用している。(*5)

近年では、バイオマスプラスチック製など、環境負荷を抑えた素材のゴミ袋を指定する自治体も増えている。

徴収方法

手数料の負担方法は自治体によって異なるが、最も一般的なのは指定ゴミ袋の購入による負担である。袋の大きさは5~45リットルなど複数のサイズが用意され、価格は1枚あたり10~50円程度が目安となっている。

使い道

可燃ゴミは焼却処理、不燃ゴミは埋立処分などが行われており、これらの処理にかかる費用に、指定袋の購入によって得られた手数料が充てられている。

課題・今後

ゴミ処理手数料の設定は全国で統一されておらず、市町村ごとに独自に制度を設計している。そのため、袋を指定しているにもかかわらず処理手数料を徴収しない「単純指定袋制度」を採用する自治体も存在する。こうした制度の違いから、居住地によって負担額が異なり、不公平感を抱く住民がいるという課題も指摘されている。

リサイクル料金

リサイクル料金とは、廃棄物を再利用・再資源化するための費用のこと。特定の製品などを廃棄・再資源化する際に、消費者がその一部を負担する仕組みだ。制度の内容や料金は自治体や製品によって異なるが、代表的なものとしては「家電」「自動車」「プラスチック(容器包装)」の3分野が挙げられる。

・家電やパソコン

「家電リサイクル法」(2001年施行)により、エアコン、テレビ、冷蔵庫など特定の製品を廃棄する際にリサイクル料金を支払う。料金は品目・メーカー・サイズによって異なり、収集運搬費が別途かかる場合もある。消費者は処分時に「家電リサイクル券」を受け取る仕組みとなっている。

・自動車

「自動車リサイクル法」(2005年施行)に基づき、新車購入時にリサイクル料金を支払う。支払われた料金は、「自動車リサイクル促進センター」が管理するリサイクル料金管理システムに一時的にプールされる。

中古車として売買する際には、支払いを証明するリサイクル券が次の所有者に引き渡される。

・容器や包装

「容器包装リサイクル法」(1997年施行)により、容器や包装を使用して商品を販売する事業者にはリサイクル費用の支払いが義務づけられている。

この制度は、消費者(使う人)・事業者(作る人)・自治体(集める所)の三者が連携して成り立っており、事業者はリサイクル料金を上乗せした価格で商品を販売している。つまり、最終的には消費者が購入時に費用を負担していることになる。

徴収方法

リサイクル料金の納付タイミングは品目によって異なる。家電やパソコンは廃棄時、自動車は購入時に支払う。ペットボトルなどの飲料は、商品価格にリサイクル費用が含まれている。

使い道

家電の場合は、料金は回収・運搬・解体などの工程に充てられる。自動車の場合は、解体業者などに分配され、エアバッグの回収・処理やシュレッダーダスト(車の残骸)のリサイクルなどに活用されている。

課題・今後

リサイクル料金の支払いを避けるため、山林や空き地などへの不法投棄が後を絶たない。また、不適切な処理を行う回収業者への依頼や、海外への不正輸出といった問題も発生している。

再エネ賦課金

再エネ賦課金(正式名称:再生可能エネルギー発電促進賦課金)は、再生可能エネルギーの普及を目的とした「固定価格買取制度(FIT)」を運用するために支払う費用である。

再生可能エネルギー発電設備で生み出された電力は、電力会社が一定期間・一定価格で買い取ることが義務付けられており、その買取費用を社会全体で負担する仕組みとなっている。

徴収方法

電気の使用量に応じて、電気料金に上乗せされる形で消費者が電力会社に支払う。

徴収された再エネ賦課金は、電力会社から電力広域的運営推進機関(OCCTO)に送金され、そこから再エネ発電事業者に分配される。

使い道

主に、市場価格よりも高い価格で再生可能エネルギーを買い取った場合の差額補填に充てられている。また、固定価格買取制度(FIT)の運用や管理にかかる費用にも使用されている。

課題・今後

日本の再エネ発電量は、2011年度の1,131億kWhから2022年度には2,189億kWhへと、約2倍に増加した。(*6)

再エネ発電量を拡大するという当初の目的は達成しつつあるが、発電量が増えるほど賦課金総額も増える構造になっており、電気料金高騰の一因となっている。

制度が始まった2012年の賦課金単価は、1kWhあたり0.22円だったが、2025年度は3.98円まで上昇しており、約18倍に達している。(*7)

環境保全を目的としていながら、自然を破壊して太陽光発電設備が設置されるなど、矛盾した環境破壊が生じていることも問題視されている。再生可能エネルギーの拡大は重要である一方で、その導入方法や立地選定には慎重な判断が求められている。

まとめ

日本で「省エネ」や「エコ生活」といった概念が広がり始めたのは1980年代。今では、これらは私たちの生活における当たり前の意識の一つとなっている。

地球温暖化の進行やエネルギー資源の枯渇などの環境問題は、もはや企業や行政だけではなく、消費者である私たち一人ひとりが日常の中で向き合わなければならない段階にある。

暮らしの中で支払っている“環境のお金”を改めて見直すと、私たちの生活がすでに地球環境保全と深く関わり、その改善や解決に少しずつ貢献していることが見えてくる。

この事実を知ることで、地球と私たちの暮らしのつながりをより身近に感じ、「もっと地球にやさしい選択をしてみよう」と思えたきっかけになるのではないだろうか。

Edited by c.lin

注解・参考サイト

注解
*1 総務省「森林環境税及び森林環境譲与税について」を参照。
*2 総務省「令和6年度 森林環境譲与税 譲与額(都道府県別)」を参照。
*3 環境省「地球温暖化対策のための税の導入」を参照。
*4 東京都主税局「自動車税環境性能割」(2025年4月時点)によると、取得する車の環境性能に応じて、税率が免税から最大3%程度まで段階設定されている。具体的な燃費基準の達成率・税率区分は、車種や取得時期によって異なる。
*5 環境省「地方公共団体におけるバイオプラスチック等製 ごみ袋導入のガイドライン」を参照。
*6 経済産業省「再生可能エネルギーの導入状況」を参照。
*7 東京電力ホールディングス株式会社「電気料金・制度」「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」を参照。

参考サイト
自動車税環境性能割とは|一般社団法人日本中古自動車販売協会連合会
自動車税・軽自動車税環境性能割|総務省
家電リサイクル法のそれぞれの役割|経済産業省
家電リサイクル法の概要|環境省
自動車リサイクル関連|環境省
家電リサイクル券とは|一般財団法人家電製品協会
容器包装リサイクル法とは|環境省
容器包装リサイクル法(容リ法)とは|公益財団法人日本容器包装リサイクル協会

About the Writer
倉岡

倉岡 広之明

雑誌記者として活動した後、フリーライターとして独立。さまざまなジャンルの記事を執筆しているが、北海道で生まれ育ったこともあり、自然環境や気候変動、SDGs、エネルギー問題への関心が深い。現在は、住宅やまちづくり、社会問題、教育、近代史など、多岐にわたるテーマを手がけている。
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