人生を豊かにする「パラレルキャリア」とは?注目される背景や企業の導入事例をご紹介

パラレルキャリアとは

パラレルキャリアとは、本業を持ちながらも第2、第3のキャリアを築くことを指す。本業以外の活動は収入の有無にかかわらず、自己実現や社会貢献を目的とした活動が含まれる点が特徴である。

例えば、会社員がYouTube動画を作成・配信することや、ボランティア団体で活動することが該当する。「パラレル」とは「並行」という意味を持ち、本業と並行して複数の人生の基盤を持つことがその本質である。

パラレルキャリアは、人生をより豊かにするための手段として、多くの人に支持されている。趣味・ボランティア活動・起業準備など、多岐にわたる活動が含まれ、各自のライフステージや価値観に応じた多様なキャリアの形がある。

副業との違い

パラレルキャリアと副業は、似ているようで実は異なる概念である。最大の違いは、その目的にある。

パラレルキャリアは、自己成長やスキルアップ、社会貢献などを目指し、収入の有無に関わらず行われる活動を含む。一方、副業は収入を得ることを主な目的とし、本業と並行して別の職務に取り組むことを指す。

パラレルキャリアは単なる副業ではなく、自己成長や新たな挑戦を通じて人生を豊かにする「新たな働き方」として捉えられている。

注目される背景

パラレルキャリアが注目される背景には、ワークスタイルの多様化と企業環境の変化が挙げられる。日本ではかつて終身雇用制度が一般的であったが、近年では企業の倒産やリストラ、転職の増加などにより、働き方が大きく変わってきている。このような中で、自らのスキルを高めて市場価値を向上させたいと考える人々が増えているのだ。

さらに、新型コロナウイルスの影響によりリモートワークが普及し、働き方に柔軟性が求められるようになった。この結果、副業やパラレルキャリアを通じて収入源を多様化させることが重要視されるようになっている。

また、企業寿命の短命化もパラレルキャリアが注目される一因である。企業が長期的に存続する保証がなくなり、安定した収入源を確保するために新しい働き方が模索されている。このように、収入確保の手段として、また自己実現や社会貢献を目指すための新しいキャリアモデルとして広く認知されるようになったのだ。

パラレルキャリアの3タイプと具体例

パラレルキャリアの3タイプと具体例

パラレルキャリアには、異なる目的やスタイルに応じて3つのタイプが存在する。以下では、それぞれのタイプについて具体的な例を交えて解説する。

ベーススキルアップ型

ベーススキルアップ型は、本業で培ったスキルを活かしつつ、さらに業種や職種の幅を広げたい人に向いている。

このタイプの例としては、企業に所属するWebエンジニアが、プライベートで開発したシステムを個人で販売するケースが挙げられる。また、アパレルの販売員がパーソナルスタイリストとして個人のコーディネートをサポートする活動もベーススキルアップ型に該当する。

自己実現追求型

自己実現追求型は、個人が持つ夢や目標を追求するために、本業とは異なる分野で活動するスタイルである。ボランティアや趣味など、自分の価値観や目指す方向性を探求することが主な目的である。

例えば、会社員が週末に地域のボランティア活動に参加したり、趣味としての写真教室を開いたりすることが自己実現追求型の一例である。収入を目的とせず、自分のやりたいことに挑戦することがこのタイプの特徴である。

新たなキャリア開発型

新たなキャリア開発型は、現在のスキルを活用しつつ、新しいことに挑戦して別のキャリアを築くタイプである。本業ではできないことに副業としてチャレンジし、新たなキャリアパスを模索することが目標となる。

具体例としては、事務職の人がスクールに通ってWebデザインを学び、個人でサイト制作を受託するケースがある。また、起業を目指して他企業の新規事業立ち上げプロジェクトを手伝うことも、このタイプに該当する。多様な経験を積み重ね、新たな可能性を切り拓けることが特徴だ。

パラレルキャリアを選ぶメリット

パラレルキャリアを取り入れることには多くのメリットがある。以下に、具体的なメリットについて詳しく説明する。

転職せずに多様な経験を積める

同じ職場に留まりながらも、異なる分野や業界での活動を通じて新しいスキルや知識を習得することが可能である。例えば、企業の営業職が休日にボランティア活動を行うことで、リーダーシップやコミュニケーション能力を高められる。

また、異なる環境での経験は視野を広げ、本業での問題解決や新しいアイデアの創出にも役立つ。キャリアの幅を広げると同時に、自己の成長につながるのである。

本業以外の収入源を確保できる

安定した収入が得られる本業を続けながら、追加の収入を得ることも可能だ。例えば、平日は会社員として働き、週末にはフリーランスのデザイナーとして活動することが考えられる。

複数の収入源を持つことで、ライフスタイルの変化に合わせた働き方ができる。また、勤め先の倒産リスクにも備えられ、経済的な安心感を得られる。

人脈や視野を広げられる

本業では出会うことのない多様な人々と交流する機会が増えるため、ビジネスチャンスや情報の幅が広がる。副業として参加したプロジェクトで得た人脈が、本業で役立つこともあるかもしれない。

また、異業種の人々との交流を通じ、異なる視点や考え方を身につけられる。自分の視野が広がり、柔軟な発想や創造力が養われるため、キャリアの成長にも大いに寄与するだろう。

モチベーションが維持できる

同じ職場で同じ仕事を続けていると、マンネリ化しがちである。しかし、自分の好きなことや挑戦したかったことを実行することで、良い刺激となり、日々のモチベーションが向上する。また、副業で特技が役立つ場面や、ボランティア活動で感謝される経験を通じて、生きがいを感じられるかもしれない。

仕事に対する意欲も高まり、本業でもより高いパフォーマンスを発揮することにもつながる。この点は、企業側のメリットとも合致し、パラレルキャリアを推進する企業も増えている。

パラレルキャリアのデメリット

パラレルキャリアのデメリット

パラレルキャリアには多くのメリットがある一方で、デメリットも存在する。ここでは、パラレルキャリアを選ぶ際に考慮すべき主なデメリットについて解説する。

オーバーワークにつながる

本業と並行して複数の活動を行うことで、時間の管理が難しくなり、オーバーワークにつながる可能性がある。忙しい日々の中で疲労が蓄積し、心身の健康に悪影響を及ぼすリスクも否めない。例えば、本業の繁忙期に副業や他の活動も重なると、十分な休息が取れず、ストレスが増加する。

このような状況を避けるためには、計画的に時間を管理し、無理のないスケジュールを立てることが重要である。また、心身を休ませる「余白」を意識的に設けることも大切だ。

勤め先によっては就業規則違反になる

近年、副業を解禁する企業が増えているが、まだ多くの企業では副業が禁止されている。dodaが2023年8月に実施した調査によると、副業を「原則禁止」としている企業は47.5%で、認めている企業は全体の27.5%程度にとどまっている。報酬が発生しない活動であっても、副業と見なされることがあり、就業規則違反となる可能性もある。

そのため、パラレルキャリアを始める前に、上司や人事部門に相談し、確認を取ることが賢明だ。また、同業他社での副業は禁止されている場合が多いので、注意が必要である。

明確な目的がないと中途半端になってしまう

目的が曖昧なままでは、結果が出ず、中途半端な状態で終わってしまう可能性がある。「なんとなく副業を始めたが、思うように成果が上がらず、モチベーションが下がった」といった状況に陥ってしまうことも少なくない。

これを防ぐためには、パラレルキャリアを通じて何を達成したいのか、具体的な目標を設定することが重要だ。また、目的に向かって継続的に努力する姿勢も求められる。キャリアを広げた先の自分を想像し、将来的な目標やゴールを思い描くことが大切だ。

パラレルキャリアを導入している企業の事例

パラレルキャリアを導入している企業の中には、従業員のスキルアップやモチベーション向上を目指し、積極的に取り組んでいる企業がある。以下に、パラレルキャリアを導入している代表的な企業の事例を紹介する。

オイシックス・ラ・大地株式会社

代表がすでに兼業していたことから、会社として兼業・副業を認めることが優秀な人材確保や従業員のモチベーションアップ、成長につながると考え、パラレルキャリアの導入に踏み切った。

オイシックスでは、パラレルキャリアが「当たり前」の位置づけであり、従業員が本業とバランスを取りながら活動できるように支援している。本業への影響を最小限に抑えながらも、自己成長を促進する体制が整っている。

ロート製薬株式会社

2016年に、就業時間外に収入を伴う仕事を認める「社外チャレンジワーク」と、就業時間の一部を利用して他部署での仕事を経験する「社内ダブルジョブ」という制度を導入した。「自立した人」の育成を企業の役割とし、ベンチャー精神や行動力を持つ人材を育てることを目的としている。

制度を導入したその年に「社外チャレンジワーク」に60名以上の応募があり、薬剤師の有資格者がドラッグストアで店員として働くほか、地ビールの製造・販売会社を設立した従業員もいた。

まとめ

働き方の多様化が進む中で、個人のキャリア選択肢が増え、自己実現やスキルアップの機会も多様化している。企業側も、従業員のモチベーション向上や人材育成の一環として、パラレルキャリアを積極的にサポートする動きが見られる。

本業以外の活動経験を積むことで、個人の人生を豊かにし、自己実現の追求につながる。単なる働き方の一つではなく、自分らしい生き方を実現するための多様なキャリアモデルが社会に浸透し、個人が自らの価値を最大限に発揮できる未来を期待したい。

参考記事
副業をしている会社員の割合は?副業の実態調査【最新版】|Doda
兼業だからこそ発揮できる価値がある。執行役員・西井敏恭さんに聞く“兼業”の価値|ORDig
ロート製薬の「副業解禁」が示す本当の意味|東洋経済ONLINE

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