リバブルシティとは?住みやすい都市に求められる条件や世界の事例を紹介

リバブルシティとは

リバブルシティとは、人々が快適に生活できる環境を提供する都市のことであり、日本語では「住みやすい都市」と訳される。開発や政策によって人々の生活の質を上げることで「住みやすい」と思われる都市づくりを目指している。

リバブルシティが注目されている理由として、都市人口の増加が挙げられるといわれている。国連の報告によると、世界の都市に住む人は2018年時点で全体の55%であるのに対し、2050年には68%となると推定されているからだ。

リバブルシティでいう「住みやすさ」は、主観的要因と客観的要因の2つから測られる。主観的要因は、個人の感情や価値観によって判断されるものだ。たとえば、地域コミュニティとのつながりやその土地への愛着など、数値化が難しいものを指す。そして、年齢や収入、ライフスタイルによっても主観的要因は異なる。

一方、客観的要因には気候や教育・医療機関のアクセスの良さ、公共交通機関の充実度などがあり、数値として測定できる。そのため、都市がリバブルシティであるかどうかは、一般的に客観的要因を用いて評価される。

住みやすさを作り出す6つの要因

リバブルシティとは

ここでは、客観的要因になりうるものを具体的に紹介し、どういった要素が住みやすさに影響するかを説明する。

住まいの安全性

まず、住みやすさの最低限の条件となるのが安全性だ。たとえば、「犯罪率の低さ」「政治の安定」が評価する際の項目として挙げられる。多くの先進国の都市では、24時間体制の警備サービスや防犯カメラにより、安全性が確保されていることも多い。

一方、政治が不安定で犯罪率も高い地域では、安心して日常生活を送りづらい。そのため、安全性を求めて不安定な地域から先進国に移住する人もいる。このように、安全性は住みやすさに直結するのだ。

気候

次に、気候も住みやすさを評価する要素として挙げられる。気候の好みは人によって異なるものの、極度の暑さや寒さがなく四季の変化が穏やかな地域は、住みやすいという評価を得られる場合が多い。

また、降雨量や湿度の影響も大きい。豪雨や乾燥は、自然災害のリスクが高まるため、住みにくさの要因になる。ただし、適度な雨であれば、農業や水資源の確保に貢献するため、必要となる。

つまり、自然災害のリスクが低く、年間を通じて安定した気候を持つ地域は、住みやすいと評価されやすい。

環境の良さ

気候だけでなく、環境の良さも大切である。たとえば、きれいな空気や水・騒音の少なさ・公園の有無などの周りの環境が住みやすさを左右させる要因になる。

現在、一部の国においては大気汚染が深刻な課題となっている。自動車や工場、発電所から排出されるガスが、人の健康に悪い影響を及ぼすと懸念されているのだ。

そのため、リバブルシティを目指すために、地域によっては自転車の積極的な利用やCO2の排出量が少ないグリーンエネルギーの活用といった取り組みが進められている。

インフラの充実度

インフラの充実度

一般的にインフラと呼ばれる、道路・公共交通機関・電力・水道も、住みやすさを評価する重要な要因となっている。

インフラが充実している例として、シンガポールが挙げられる。シンガポールでは、国民の大半が公営住宅である高層マンションに住んでおり、高速インターネットや安定した電力供給が受けられる。

また、電車・バス・タクシーが充実しており、国中を簡単に移動できるため、シンガポールで働く人の半数以上が公共交通機関で通勤しているといわれている。このように、安定したインフラが備わっていることが、住み心地の良さに直結している。

医療と教育へのアクセス

最後に、充実した医療サービスと質の高い教育の存在も、住みやすさを判断する上で大切なポイントである。

先進国では、公立・私立の病院や専門のクリニック、救急医療などさまざまな医療サービスを利用できる。また、教育面においては義務教育から高等教育まで受けられるのが一般的だ。

一方、発展途上国の一部では、医療や教育へのアクセスが限られている。オックスフォード大学出版局の資料によると、地域によっては1日に800人の女性が出産時に命を落としていたり、世界で6,700万人の子どもたちが学校に通えていなかったりする。地域に頼れる医療機関や教育機関が存在すれば、住みやすさに変化があるだろう。

リバブルシティとSDGsの関連性

リバブルシティの概念は、SDGs(持続可能な開発目標)の「11. 住み続けられるまちづくりを」と関連している。

目標11は、安全で快適に暮らせるまちづくりの実現を目指しており、中でも目標11-3では、「だれも取り残さない持続可能なまちづくり」を掲げている。取り組みの内容には、住宅の確保や大気の質や廃棄物管理の改善も含まれており、リバブルシティを評価する要因と重なる部分があるのだ。

リバブルシティを評価する指標:GLOBAL LIVEABILITY INDEX RANKINGS

世界の都市の住みやすさを、さまざまな企業が客観的な要因の観点からランク付けする「GLOBAL LIVEABILITY INDEX RANKINGS」にて、リバブルシティは注目されている。

このランキングの対象は、世界173都市。英国の政治経済誌エコノミストの調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」によって毎年発表されている。エコノミストグループの報告によると、2024年のランキングではオーストリアのウィーンが3年連続で1位を獲得した。

2024年の報告によると、湾岸協力会議(GCC)に所属する中東の6か国の教育と医療のアクセスが良くなったことで、住みやすさの水準が大幅に向上した。一方、シリアやアルジェリアなどの紛争が止まない国の都市は、住みにくい都市の上位にランクインした。また、先進国の一部の都市については、高インフレによる抗議活動が頻発していることなどから、評価が下がった都市も多かった。

このように、社会情勢の影響や生活状況の変化などによって住みやすさが変わり、ランキングは毎年変動している。

リバブルシティの事例

リバブルシティの事例

ここからは、前章で紹介したGLOBAL LIVEABILITY INDEX RANKINGSにて上位となった都市の具体的な取り組みを紹介し、リバブルシティへの理解を深めていく。

ウィーン(オーストリア)

まずは、2024年のランキングで3年連続1位となり、5つの客観的要因のうち4つで満点を獲得したウィーンを紹介する。ウィーンは、充実したインフラと環境への配慮を両立している都市である。

インフラ面では、1日1ユーロで利用できる地下鉄・路面電車・バスなどの公共交通機関があり、夜間にもバスが運行されている。また、水の供給も管理されており、街のあちこちにアルプスの新鮮な湧き水を飲めるスポットがある。

また、街にはゴミが見当たらないほど、環境への配慮にも力を入れている。ウィーンでは、いたるところにゴミ箱があったり、野外イベントの後には専門の業者が素早く会場を掃除したりと環境への意識が高いのだ。

このように、清潔なインフラが整備され、環境への配慮を行っていることが、住みやすさに大きく貢献している。

コペンハーゲン(デンマーク)

コペンハーゲンは、2024年のランキングにてウィーンに次いで3年連続で2位となった都市である。コペンハーゲンは、環境に配慮した持続可能な都市として、世界的に高い評価を受けている。

環境対策として大きいのが、「世界一の自転車都市」を目指していることだ。コペンハーゲンでは、市民の意見を取り入れながら、自転車に乗りたくなるような街づくりを進めた結果、現在では市民の半数が自転車で通勤や通学をしている。自転車は環境に優しいだけでなく、家計や健康にも良いと評価されている。

また、都市の開発計画においても持続可能性を考慮し、それに見合った建築物を立てていることで、都市づくりと環境配慮のバランスを取っている。

このように、市民の意見を取り入れた都市づくりが住みやすさを向上させている。

メルボルン(オーストラリア)

最後に、2024年のランキングで4位となったメルボルンを紹介する。メルボルンは、都会でありながらも自然を感じられる都市である。

まず、メルボルンはオーストラリアの中でシドニーに次いで人口が多く、ショッピング施設や観光スポットから質の高い教育施設や医療サービスなど、都市としてさまざまな体験ができる。

そんな都会のメルボルンでは、道路には街路樹が植えられており、夏場には暑さを和らげる日陰の役割を果たしている。また、細い路地にはオープンテラスのカフェを並べて外の空気に触れながら食事ができるようにしたり、公園整備に力を入れて市民の憩いの場を作ったりするなど、自然を身近に感じられる工夫をしている。

このように、都会としての利便性がありながらも自然が隣にあることが、住みやすさにつながっているのだろう。

まとめ

リバブルシティは、「住みやすい」と住民が思えるような環境を提供する都市である。地球温暖化やSDGsが世界的に注目される中、今後の都市づくりは経済効果ばかりを優先するわけにはいかなくなる。今後の都市づくりには、”持続可能性”が重要になっていく。環境への配慮はもちろんのこと、これから地域に住む人の居心地を考えたインフラや教育、医療体制などを整えていく必要があるだろう。

参考文献
Transforming Cities for a Liveable Future for All|UN-HABITAT
What Makes A City Livable & Happy?|Massive Earth Foundation
Chapter-5-Liveable-cities.|Oxford University Press
11.住み続けられるまちづくりを | 日本ユニセフ協会
68% of the world population projected to live in urban areas by 2050, says UN | United Nations
EIU Global Liveability Index 2024: Vienna retains its position as the world’s most liveable city for third consecutive year|Economist group
World’s top 10 most liveable cities & what makes them special|THE ECONOMIC TIMES
Why Vienna is the most liveable city in the world|Vienna Tourist Board
Why Melbourne|Live in Melbourne

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