難民問題とは
難民問題とは、政治的、人種、気候危機による居住環境の悪化によって、自国から追放された人々に関する国際的な問題のこと。また、戦争や紛争などを原因とする難民も数多く発生している。
紛争の長期化などによって、支援が行き詰まるケースも多く、国家間や国際組織などが手を組み解決すべき喫緊の課題として認識されている。
難民になるケース
「難民」と聞いて真っ先に思いつくのは、戦争によって迫害を受け、自国で命の危険に晒されているため、他国に逃げてきた人のことだろう。実際、戦争や迫害、暴力によって難民認定されている難民は多い。しかし、戦争だけが難民の発生原因になるわけではない。
例えば、同性愛者が迫害される国に住んでいる人は、自分のセクシャリティがバレたら暴行される可能性がある。その場合、故郷から逃げて難民として他国に助けを求める場合もある。
また、自然災害によって自国が安全な状況では無くなってしまったため、他国に逃げ、難民認定されるケースもある。近年増加している気候変動などの自然災害で住む場所を失った人々のことは、環境難民と呼ぶこともある。
このように、難民になるケースは様々だ。多いのは、「戦争、暴力、迫害、災害、貧困」などによって自国にいられなくなったケースだろう。
国際連合の「難民の地位に関する条約」では、難民を「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団への所属、または政治的意見を理由に迫害を受ける恐れがあり、母国に帰ることができない人」と定義している。
数字データで見る難民問題

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、2022年時点で紛争や迫害により故郷を追われた人は1億840万人にのぼり、1年で1,910万人増加している。この増加数は、これまでで最大だ。そしてこのうち3530万人が難民とされている。
難民が最も多い国三カ国は、シリア、ウクライナ、アフガニスタンで、全体の半数以上の数を占めている。難民発生の主たる原因は戦争や紛争だ。受け入れ先としては、トルコが最大で360万人の難民を受け入れ、イランの340万人が二位、続いて、コロンビア、ドイツ、パキスタンと続く。
途上国が80%以上の難民を受け入れている一方、日本を含む先進国では受け入れ体制に課題が残っている。
日本の難民受け入れの現状
日本は難民認定のハードルが非常に高く、毎年わずかな難民しか受け入れていない。法務省によると、2023年に難民に認定されたのはわずか303人で、不認定数は7627人だった。難民認定率は3.8%だ。
同年、アメリカ、イギリスでは6万人以上難民を受け入れており、難民認定率は約60%。ドイツでは4万6千人で難民認定率は約20%だ。
日本は、難民の受け入れ数も、難民認定率も、国際的に見て極めて低い数値であることがわかる。
日本で難民受け入れが少ない理由
日本で難民受け入れが進まない理由としては、難民と認定する審査基準がとても厳格で、手続きも長期化することが多いこと、また、難民支援の体制が整っていないことなどが挙げられる。
また、人権や人道支援という概念が国民全体に受け入れられていないことも一因だ。国際的には、経済大国の責務として、人道支援をすべき、人権に配慮して難民を受け入れるべき、という非難の声が強まっている。
しかし、現状日本では、難民を含む、移民を受け入れることに対して拒否感を抱く人も少なくない。こういった意識の根底には、外国人に対する偏見や、人権意識の希薄さ、排外主義的な考えが横たわっていると指摘されている。
日本人が難民になるケース
日本は難民を受け入れる側だという意識があるが、日本人が難民になるケースもある。
2023年、日本人女性のカップルが、カナダで難民認定を受けた。難民だと認められたのは、日本の30代と50代の女性同士のカップルで、共に日本生まれ、日本育ちの二人だ。
彼女たちは、職場や家庭内において同性愛者であることで差別を受け続けたため、2021年にカナダに移住した。そして、日本で受けた様々な同性愛差別の状況や、日本の法整備が遅れており同性間で結婚できないことなどを記した200ページを超える資料を作成し、カナダ政府に提出した。
結果、カナダ政府は、彼女たちが、「女性であり、同性愛者であること」で、国内で迫害されたこと、また、日本では法整備がなされておらず差別から逃れられないことを理由に、彼女たちを難民だと認定したのだ。
難民として認定されている日本人は彼女たちだけではない。UNHCRの調査では、他国で難民認定される日本人は毎年数十人程度発生している。
まとめ
日本人も難民になる可能性がある。ということは、難民問題とは、難民をどのくらい、どういった基準で受け入れるべきか、という問題だけではない、ということだ。
日本は難民の受け入れが極端に少ない国だと言われている。そのため、難民の受け入れ基準について問題はないのか再考し、他国の成功事例を参考にしつつ、自国の状況に合わせた柔軟な政策を検討すべきだろう。
同時に、日本が一部の人にとっては住み難く、人権が守られず、他国に避難しなければならない事態が今現在も発生している、ということにも目を向ける必要がある。日本から毎年数十人の難民が発生するという事実は、難民問題は戦争をしている外国の問題ではなく、日本人が当事者になって考えるべき問題だということを示唆している。
難民問題解決に向けて、個人としてできることはたくさんある。UNHCRなどの国際機関や、NGO、NPOを通じて難民支援への寄付をしたり、ボランティアをしたり、難民に関する知識を深めたりすることも大切だろう。
参考記事
日本人女性カップル、カナダ政府が難民認定 「日本国内で迫害」|朝日新聞デジタル
UNHCR
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