フードドライブとは?貧困や食品ロス問題に貢献できる食料の寄贈活動

フードドライブとは

フードドライブとは、家庭で余らせた食料を集めて支援を必要としている福祉団体や子ども食堂などに寄贈する活動である。

総務省によると、日本の食品ロスは年間約600万トンにのぼるというデータがあり、国民一人あたり毎日ご飯1杯分(約130g)が毎日廃棄されていることになる。そして、その中の半分は家庭から出たものとされているのだ。

品質は問題ないものの賞味期限が近くなった品やお中元やお歳暮などの贈答品、子どもの成長で不要となった乳幼児食などさまざまな理由で破棄する可能性のあるものを寄贈することで、家庭での食品ロスを防げる。

またフードドライブは、社会環境の変化に応じた長期的視点で孤独・孤立対策に取り組むための具体的施策をとりまとめた「孤独・孤立対策の重点計画」でも取り上げられており、環境問題だけでなく社会課題の打開策としても注目されている活動なのだ。

フードバンクやフードパントリーとの違い

フードドライブとは

フードドライブと類似の活動として「フードバンク」と「フードパントリー」があるが、三者には役割の違いがある。

先ほど述べたように、フードドライブとは家庭で消費しきれない食料を団体や福祉施設などに寄贈する活動である。集めることが目的で、町内会や職場などで集める小規模なものからイベントとして行う大規模なものまでさまざまだ。

フードバンクは、家庭や企業などから寄贈されたものを支援が必要な団体や施設、家庭に寄贈する活動や団体のことを指す。寄贈された食料の短期保管も担当し、おもにNPOにより運営されている。

フードパントリーは、集められた商品を家庭へ直接配る活動である。子ども食堂や支援施設といった支援が必要な人との関わりの場を提供する団体により行われている。

つまり三者はつながっており、まずフードドライブにより家庭から食料が寄贈され、フードバンクで管理され、フードパントリーを通して食べ物を必要とする人に行き渡る仕組みとなっている。

フードドライブのやり方

フードドライブのやり方

ここでは、実際に行う際の手順や、回収できる食料とできない食料を紹介する。フードドライブは、まず以下の流れで準備・実施される。

フードドライブの手順

事前準備

① 計画の立案
まずは実施場所や日時、提供先の選定、そして告知方法を検討することから始める。

② 食料提供先との調整
提供先が決まったら、回収できるものと回収できないものを提供先と相談し決定する。

③ イベントの告知
計画が固まったら、広く告知を行う。多くの人に届くように、ホームページ、SNS、またはポスターやチラシを使用する。

④ 会場の準備
フードドライブの実施が可能な会場を選定する。

イベントの実施

① 受付と確認
食料が持ち込まれた際に、回収できるものに合致しているか確認する。基準を満たさない場合は返却される。

② 寄贈されたもの分類と一時保管
受け取った食料を仕分けし、引き渡しまで安全に保管する。

③ フードバンクへ引き渡し
直接持ち込むか、または郵送する形で寄贈する。

④ イベント終了

取扱い品目

回収可能な食品

・未開封かつパッケージが破れていないもの
・常温保存が可能な食料(缶詰、インスタント食品、レトルト、お菓子など)
・日本語で表記された商品
・賞味期限が30日以上残っているもの

回収不可能な食品

・生鮮食品(肉、魚介類、野菜など)
・冷蔵・冷凍保存が必要なもの
・手作り品
・賞味期限の記載がないもの(砂糖や塩を除く)
・酒類(料理酒は除く)

フードドライブを実施する企業・団体の事例

ここでは、フードドライブの理解を深めるために実施する企業や団体の事例を紹介する。

ファミリーマート

大手コンビニエンスストアチェーンのファミリーマートでは、地域社会における食品ロスの削減と食の支援を目的に2021年4月からフードドライブを行っている。店舗に寄贈された食料を地域のNPOや社会福祉団体を通じて支援が必要な人々に届けるという活動だ。2024年には全国47都道府県で3,700店舗以上で実施され、累計200トンを超える食料が寄贈されている。寄贈の際に手続きは不要で、食料を店舗内の回収ボックスに入れるだけという、誰でも気軽に参加できる仕組みにしていることもあり、国内最大級のフードドライブネットワークとなっている。

Jリーグ(日本プロサッカーリーグ)

Jリーグでは、試合の当日に試合会場にてフードドライブを実施することがある。例えば、2022年2月に横浜で行われた「FUJIFILM SUPER CUP」では、295kgもの食料が寄贈され、6つのフードバンク団体へ寄贈された。この取り組みは、Jリーグと地域の福祉団体やフードバンクが連携することで実現している。同時に、フードドライブ活動をすることで、サポーターやファンが社会貢献に参加する機会も与えているのだ。

現状のフードドライブが抱える課題 

食品ロスの削減や貧困世帯のサポートになりうるフードドライブだが、いくつか課題も存在する。

運搬における業務負担や人材確保

イベントを実施した団体が寄贈された食料をフードバンクまで直接届けるか宅急便などで送付する。そのため、物流体制の整備や梱包や発送作業、発送コストの負担などを団体が負わなければならず、業務の大きさが課題となっている。

さらに、人材の確保も課題である。ボランティアとして参加しているスタッフが多いもののその数は不足している。ボランティアがいなければイベント運営をできない場合もあるため、どのように人員を確保していくか解決策が求められている。

提供先とのニーズの不一致

寄贈品は各家庭から持ち込まれたものを合わせた形であるため、種類は多いがそれぞれの量は少なくなる。そのため、団体が寄贈品と支援先の施設や家庭のニーズを照らし合わせるものの、ニーズに合わないものを寄贈してしまうケースもある。家庭からの寄贈時に内容を確認し、問題なければ受け取るといった対策も提案されている。

健康被害リスク

寄贈された食べ物を口にすることで食中毒などの健康被害が生まれるリスクはゼロではない。また、そのような事故が発生した場合に、誰が責任を取るべきなのかが法律に記載されていないことも課題である。そのため、健康被害が起こるリスクを恐れて寄贈ができない人もいるのだ。海外では、故意でなければ寄贈者は責任を取らなくてよいということを法律で定めている国もあり、日本においても法レベルでの仕組みづくりが求められている。

フードドライブが解決する社会問題とSDGs

フードドライブが解決する社会問題とSDGs

最後に、フードドライブが解決する社会問題とSDGsの関係性を述べていく。17つあるSDGsのゴールのうち「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」「12.つくる責任 つかう責任」「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の5つが関係している。その中でも特に関連が深いのが以下の3つだ。

Goal1.貧困をなくそう

フードドライブは、日本が抱える相対的貧困の問題に対して解決の糸口となりうる。OECD(経済協力開発機構)によると、2021年の相対的貧困率(国や地域における年間所得の中央値の一定割合に満たない世帯の割合)は15.7%で、約7人に1人の子どもが貧困世帯で暮らしており、ほかの主要先進国と比べても日本の値は高かった。

支援を必要とする世帯や施設、団体に送る食料を集めることは、貧困に苦しむ人々をサポートする一つの方法となる。そして、これはSDGsの「1.貧困をなくそう」「2.飢餓をゼロに」「3.すべての人に健康と福祉を」の3つの目標に直結する活動なのだ。

Goal12.つくる責任 つかう責任

活動のメリットとして、一番取り上げられているのが食品ロス問題である。農林水産省のデータによると、日本では、事業者から約279万トン、家庭から約244万トン、合計523万トンもの食品ロスが生まれている。これは、世界全体の食料支援量の480万トンを上回っているのだ。本来ロスとなってしまう食料を必要とする方々に提供することで、SDGsの「12.つくる責任 つかう責任」を果たすための一つの材料となる。

Goal17.パートナーシップで目標を達成しよう

フードドライブは、実施団体がいるだけでは活動できず、行政や企業、地域の福祉団体、そして寄贈してくれる家庭などの存在が大切となっている。しかし、日本ではまだ活動自体があまり広まっていないことから、活動を活発化させるうえでの法やルールの整備が求められているのだ。たとえば全国フードバンク推進協議会では、関係省庁へ政策提言するなど、行政と連携して取り組みを進めている。このように連携して活動を進めていくことで「17.パートナーシップで目標を達成しよう」の達成につながる。

まとめ

フードドライブは、食品ロスや貧困問題の解決策の一つとされる取り組みである。家庭で余った商品を寄贈するという一人ひとりの小さな行動が、社会全体の大きな変化につながるのだ。運営面や法整備といった観点では見直しが求められる部分も多いが、今後さらに活動は広がっていくと予想される。フードドライブは各自治体や福祉団体、企業などによりさまざまな地域で実施されているため、まずは家庭で余る品を集めて気軽に参加してみるのも良いだろう。

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