グルーミングとは?手口や起きやすい場所、子どもを守る方法を解説

※この記事には、一部の読者にとって不快または不安を引き起こす可能性のある内容が含まれています。

グルーミングとは・意味

グルーミングとは、性的な接触・行為を目的に大人が子どもに近づくこと。性犯罪につながる準備行為とも言われる。「身づくろい」や動物の「毛づくろい」という意味でよく知られているが、「エサを与える」「仕込む」などの意味もあり、チャイルドグルーミングや性的グルーミングとも呼ばれる。

マインドコントロールの一種とも指摘され、「自分に対して優しい大人が悪いことをするわけがない」という子どもの思い込みを利用し、親しくなって信頼を得ることで、性的な接触・行為に対して同意を得ようとする。このような性的な搾取、性的な利用を目的に行われることもある一方、罪悪感や羞恥心を利用して関係性をコントロールすることが目的となる例もある。

加害者には「子どもに対して優しい人」という印象があるケースが多く、周囲もグルーミングに気づきにくいため、被害者が複数に及ぶなど問題が大きくなる事例もある。なお、女児だけではなく、低学年の男児がターゲットにされることもある。

グルーミングの接点となる典型的なパターン

グルーミングの加害者は、「知り合い」と「知らない人」の2つに大きく分けられる。また、被害者と加害者の接点には典型的なパターンがある。代表的な3つのパターンについて解説する。

普段のコミュニケーションの中で距離を縮めていく

グルーミングの加害者として多いのは、習い事の先生や部活動の指導者、塾の講師のほか、家族の知人や教員、保育士、施設職員といった報告もある。いわゆる顔見知りで、「理解者」や「導いてくれる人」として保護者からの信頼をすでに得ていることも多い。

「特別に個人レッスンをしよう」などと二人きりになりやすい状況を作り出し、ごく普通のコミュニケーションの中で「みんなしていること」などの文言でマインドコントロールをしようとする。

SNSやオンラインゲームなどで近づく

近年は、小中学生でもスマートフォンを所有する割合が高まっている。モバイル社会研究所が2024年1月29日に発表した調査によると、スマートフォンの所持率は、小学6年生で65%、中学3年生では82%となっている。それに伴い、SNSやオンラインゲームなどの利用率も高まっており、SNS利用率は小学生高学年が64%、中学生は88%にのぼる。(※1)

こうした中、SNSやオンラインゲームを利用して行われるのがオンライングルーミングだ。日常的な会話やゲームを通じて信頼感を得ていき、実際に会うことを提案したり、性的な写真を要求したり、徐々にエスカレートしていく。なお、SNSで犯罪被害に遭う18歳未満の子どもは、報告されているだけで年間約2000人。そのうち4割程度が児童ポルノに関連する被害だ。

公園などで声をかけて接近していく

グルーミングの古典的な手口と言われるのが、公園などで子どもに声をかけて接近していくこと。一緒に遊ぶだけではなく、悩みなどの相談に乗っていきながら信頼感を得ていく。最初は親切心や友好的な気持ちで近づいているように見えるため、子ども側も安心してしまい、その後自宅などで性的被害に遭った事例もある。

グルーミングの手口

グルーミングはさまざまなシチュエーションや手法で行われるが、手口には共通点も見られる。ここでは、グルーミングの加害者が用いている代表的な5つの方法について解説していく。

グルーミングしやすい子どもを選ぶ

例えば、公園で一人で過ごしていたり、行く場所がなくたたずんでいるような子どもは、加害者にとって声をかけやすい。相談する友達がいなかったり、保護者との関係がうまくいっていないように見えるため、被害を誰にも報告しないと判断されてしまうからだ。

特に保護者からの愛情が足りていない孤立感のある子どもは、大人から認められることに慣れていないため、「可愛がられたい」「認められたい」「評価されたい」という欲求が強い傾向がある。この場合、子どもの味方のふりをしたり、巧みな言葉を投げかけられると、簡単に手なずけられてしまう。

グルーミングしやすい場所やシーンを利用する

子どもが多く集まる場所は、グルーミング加害者のターゲットになりやすい。SNSもその一つだ。悩みを抱えている子どもにDMなどで近づき、相談に乗るふりをして信頼させていくのはオンライングルーミングの典型的な手口とされる。オンラインでは匿名性が高いため、女性のふりをしたり、同年代のふりをして近づくケースもある。女児の裸の写真を送り、「私も見せたのだから」と言って裸の写真を要求するケースも多い。

グルーミングしやすい立場を手に入れる

部活動の指導者や習い事のインストラクター、教師、施設の職員などが、グルーミングの加害者となるケースもある。社会的地位が高い人のことは、子どもだけではなく大人でも信じてしまう傾向があるが、そうした心情を活用して、グルーミングを行う。グルーミングに対して違和感を感じたとしても、「私にとって悪いことを先生が言うはずがない」と被害者は思い込んでしまうのだ。

子どもに依存させるよう仕向ける

子どもが加害者に対して尊敬の念を抱いていたり、特別な存在と感じている場合、加害者への依存度が高まる傾向がある。このような場合は、被害者という意識にならないばかりか、「大人になるため」「強くなるため」という言葉を素直に信じてしまう。例えば、度を超えた言動に対して疑念に思っても、「恥ずかしいとか、嫌だと感じる自分の方が悪い」と受け入れてしまう可能性があるのだ。

スキンシップへの嫌悪感を低下させる

グルーミングの手口として、ボディタッチや肩揉み、マッサージなどのスキンシップなどを繰り返すことで性的行為に対する嫌悪感を徐々に低下させる手法がある。こうしたふれあいが頻繁に行われると、「当たり前」「普通のこと」という意識が芽生えてしまう。

また、わいせつな画像や映像を見せることで、そうした行為が普通であるように思わせていくこともある。やがて嫌悪感が低下していくことで、性的行為に発展しやすくなってしまう。

グルーミングに関わる犯罪

日本の現在の法律では、グルーミング行為自体は犯罪にはならない。しかし、行為の内容によっては法律に抵触するケースがある。グルーミングに関わる犯罪として、代表的な5つを紹介する。

面会要求等の罪

刑法182条では、16歳未満の子どもにわいせつ目的で会うことを求めたり、わいせつな画像や映像を撮って送信することを要求した場合などは、面会要求等の罪が成立する。有罪の場合には、1年以下の拘禁刑か50万円以下の罰金となる。

不同意性交等罪・不同意わいせつ罪

2023年7月13日に改正刑法が施行され、16歳未満の子どもに対する性行為やわいせつ行為は全て不同意性交等罪・不同意わいせつ罪にあたることになった。ただし被害者が13歳以上16歳未満の場合は、行為者の年齢が5歳以上、年齢が上である場合に犯罪が成立する。

青少年保護育成条例違反

18歳未満との性行為は淫らな行為となり、各都道府県の青少年保護育成条例違反の罪となる可能性が高い。青少年は判断能力が未熟なため、同意していたか否かに関係なく処罰される。違反した場合、30万円程度の罰金刑となる事例が多いが、逮捕に至るケースもある。

児童ポルノ禁止法違反

未成年の性的画像・映像の製造や所持、第三者への提供は児童ポルノ製造の罪が成立する。また、新たに成立した性的姿勢等撮影罪や、都道府県の迷惑防止条例違反の罪などが成立する可能性もある。

児童福祉法違反

18歳未満の子どもに淫行をするよう仕向けた場合は、児童福祉法違反(児童淫行罪)として罰せられる。淫行とは、性行為またはそれに準ずる性行為類似行為を指す。罰則は10年以下の懲役、または300万円以下の罰金で、もしくはその両方が科せられる可能性もある。

また、性犯罪は刑事事件としてはもちろん、民事訴訟を起こすことも可能だ。被害者は、加害者に対して慰謝料などの損害賠償請求ができる。

グルーミングの問題点

グルーミングの問題点は?

本来は子どもを守り、健全な成長を願う立場の大人が、自身の性的欲求を満たすために子どもを利用することは社会的にも大きな問題と言える。

また、子どもたち自身が被害に遭っていることに気づかないため、周囲も被害に気づきにくいといった問題がある。これは、グルーミングの被害者になりやすい子どもたちは、性に対する知識が不足しており、性に関する善悪の価値観が確立していないためだ。「それは普通のこと」など、加害者側が価値観を植え付けることが容易なため、被害を受けていること自体を認識できないケースが多々あるとされる。

こうした状況にもかかわらず、現時点ではグルーミング自体が犯罪行為として処罰の対象になっていないことから、今後も被害者が出やすい状況にあることにも注意したい。

グルーミングの被害者に残る影響

大半の場合、グルーミングの被害者は、大人の要求に応える形で被害に遭ってしまう。たとえ違和感を感じていても、罪悪感や恥ずかしさから「自分が悪い」と思い込んでしまい、自責の念にとらわれていることが多い。

これが、睡眠不足や不安感、恐怖感につながる。また自己肯定感が下がり、攻撃性が増したり、感情の起伏が激しくなるなど、精神面で影響が出てしまうことも考えられる。また性的な虐待により、被害者がトラウマを抱えるケースもある。被害を誰にも話せないことから、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の発症につながるリスクも高いとされる。

グルーミングの被害から子どもを守るためにできること

グルーミングは大人の巧妙な手口によって、子どもが被害に遭ってしまう。成長檀家にある子どもが自衛するだけでは、被害から完全に守ることは難しい。そのため、グルーミングの被害から子どもを守るためには、保護者や周囲の大人が以下のようなことを心掛けることも大切になる。

子どもとのコミュニケーションをこまめにとる

グルーミングは、子どもの孤立感や閉塞感に巧みに入り込んで行われるケースが多い。そのため、言いたいことを言えるような親子の間柄を作っておくことで、深刻な被害に遭う確立を下げることができる。

重要なのは、普段から親子間でコミュニケーションを取っておくことだ。特に、子どもを認める、評価する、信じることで、子は親の愛情を感じることができる。このように親子間で信頼関係を日ごろから築いておくことで、被害を未然に防止することとにもつながる。

グルーミングについて教育する

交通事故に遭わないように子どもに交通ルールを教えたり、事故の危険性を伝えるのと同様に、グルーミングについて教育しておくことも重要だ。例えば、見知らぬ大人や身近な人から、不自然なほど親密な態度をとられた場合に拒否することや、そのような場面に遭遇した場合は親に報告することなどを日ごろから伝えておきたい。

またSNSへの依存度を過度に高めないように、SNSやスマートフォンの利用における決まり事を設けておくこと。SNSで知り合った人に自身の写真を送ったり、実際に会ったりしないなど、具体的に何をしたらいけないかも決めておくようにしたい。

グルーミングの被害に遭うような状況を作らない

グルーミングは明らかな不審者ではなく、身近で信頼できる知人が加害者になることも多い。そのため、グルーミングの被害に遭うような状況を作らないように、保護者がコントロールすることも重要だ。

また、子どもと保護者以外の大人が1対1で一緒にいる場合には、注意したり、情報交換をするなどの関係性を地域内で築いておくことも、子どもを被害から守る方法の一つとなる。さらに、SNSを利用する場合には、子どものアカウントを親が管理したり、フィルタリングサービスを活用することで、被害に遭う危険性を小さくできる。

相談窓口を利用する

グルーミングに関する専門的な相談窓口は設けられていないが、以下のような窓口でグルーミングに関する相談を受け付けている。

法務省「子どもの人権110番」
警察庁「ぴったり相談窓口」

他にも、都道府県の警察署や法律事務所などでもグルーミングに関して相談を受け付けているケースがある。グルーミングと見られる行為を確認したら、早めに相談し対応策を検討しておきたい。

まとめ

親身になって相談に乗るふりをして子どもに近づこうとするグルーミングは、被害者自身や周囲の大人が気づくまでに時間がかかることが多い。そのため被害が大きくなり、あとの人生にも大きな影を落としてしまう可能性も高い。

グルーミングは巧妙な手口で行われるため、子どもが被害に遭わないように保護者が知識を持っておくことも大切だ。スマホやSNSの使い方にルールを定めたり、保護者の管理が必要なケースもある。

日々、仕事に家事に育児に、世の父母たちは目まぐるしい毎日を過ごしているだろうが、改めて子どもとの接し方を見直し、コミュニケーションをとる時間を日常の中に少しでも組み込むことができるように工夫したい。そうすることで、子どもの異変や悩みを察知し、後々まで残り得る深い傷から子どもを守ることにもつながる。

※1「小中学生のスマホ所有率上昇 調査開始から初めて小学校高学年で4割を超す|モバイル社会研究所」

参考記事
未成年者との性行為において成立する犯罪|新銀座法律事務所
性犯罪の規定が2023年(令和5年)7月13日から変わります|法務省
SNSでの「グルーミング」に注意 女児を装い「私はこれだけ見せたのに」と性的画像を要求|東京すくすく
子どもの性被害につながるグルーミングとは 罪悪感や羞恥心につけ込み支配 SNSで深刻化|東京すくすく

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