スワッティングとは?代表的な手口や事例、対策方法を解説

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スワッティングとは?代表的な手口や事例、対策方法も解説!

スワッティングとは?

スワッティング(Swatting)とは、アメリカを中心に発生している悪質ないたずらのこと。対象者を犯人に仕立てたり、殺人や籠城、爆発などが発生したという虚偽の通報をして、対象者の自宅などに、警察の特殊部隊(SWAT、スワット)や爆発処理班などを緊急出動させる。スワッティングの実行者は「スワッター」と呼ばれる。

主にオンラインゲームコミュニティ内で行われ、ゲーム配信などの実況配信者(ストリーマー)がターゲットになる。負けた腹いせやゲーム中でのやりとりに腹を立てたことなどが主な理由だ。ライブ配信中に、ストリーマーの自宅にSWATが突入した事例が数多くある。

「スワッティング」という言葉は、2000年代の初めごろから使われるようになり、2008年に米連邦捜査局(FBI)が使用したことで広く周知されるようになった。

なお近年は、オンラインゲームコミュニティ内だけでなく、さまざまなシーンで行われる。スワッティングの対象者も、著名人や政治家、企業などといったように幅広くなっている。

スワッティングの手口

スワッターは、緊急通報番号(日本では110番、アメリカでは911番)に電話をかけ、SWATが出動するようなウソの緊急事態を通報する。具体的には「ピストルの音がした」「誰かが人質を取って立てこもっている」「家の中から自殺すると叫ぶ声が聞こえた」などだ。

スワッターは、自分の身元が割れないように、電話の発信元がわからないように通報する。テキスト電話や無料通話アプリ、聴覚障害者向けの通報サービス、回線の不正利用などを使用することが多い。

対象者の自宅を調べるためには、インターネット上のIPアドレスやジオロケーションデータなどを入手する。時にはサイバー攻撃やハッキング、ドクシング(doxing)といった違法的な手段を用いて、ターゲットの住所を特定している。

スワッティングによる被害

スワッティングによる第一の被害者は、ターゲットとなった人物だ。突然、武装した特殊部隊が自宅に押し入って来るため、大きな衝撃を受ける。しかも、自分では身に覚えのない事情で、時には銃口を向けられたまま特殊部隊が迫ってくる。その光景は恐怖を与え、トラウマにもなりかねない。

「爆弾が仕掛けられている」というウソの通報が行われたケースでは、周辺地域の学校や企業が集団で避難した事例もある。スワッターの想定以上に騒動が拡大することもあり、単なるいたずらでは済まされない事態となる。

最悪な事態としては、現場に駆けつけたSWATに対象者が射殺されたり、反対にSWATメンバーが射殺された事例もある。

スワッティングの問題点

スワッティングの問題点とは?

本来、スワッティングはいたずらや嫌がらせが目的で、ターゲットとなるのはゲーム配信者だった。そのうち、セレブやジャーナリスト、政治家、ライブ配信者などを攻撃するために用いられたり、企業や医療法人、学校などに対する嫌がらせとしても用いられている。つまり、誰でも被害に遭う可能性があるということだ。

また近年は、大手企業の経営者や取締役、政府の要人などに対するスワッティング行為が増加。ランサムウェアを用いて脅迫などを行うグループの一部では、身代金を獲得するためにスワッティングを行っている場合もある。

その一方、特殊部隊がスワッティングによって緊急出動したために、本来必要だった現場に到着するのが遅れることもある。緊急事態に対応するのが警察の義務だが、緊急通報があった際に「スワッティングではないか?」と疑うことにより出動が遅れる可能性もある。また、出動にかかる費用には税金が使われているため、税金の無駄遣いにもなる。

また、ゲーム配信中にスワッティングされた様子をまとめ動画にして公開された例もあり、悪質性が高まっていることも問題点だ。さらに、ウソの脅迫電話を代行する者も登場しており、自動音声で通報を行い、報酬は暗号通貨で受け取る手法が用いられている。

スワッティングの事例

実際に、アメリカで起きた代表的なスワッティングの事例を紹介する。

ゲーム配信者クートラの事例

2014年にコロラド州で起きた事例。スワッティングの対象となったのが、ゲーム配信者のクートラだ。有名なゲーム配信集団のメンバーで、オンラインゲームコミュニティー内でよく知られた存在だった。

人気のシューティングゲーム「カウンター・ストライク」というオンライゲームを友人としている最中に、SWATが部屋に突入しクートラを拘束。通報がいたずらだとわかり釈放されたクートラだが、その一部始終が配信されたこともあり、スワッティングの恐怖が広く拡散された事例となった。

スワッティング常習者バリスの事例

2017年にカンザス州で起きた事件では、無関係の人物アンドリュー・フィンチ氏が、自宅で警官に射殺されたことで大きな衝撃を与えた。

発端となったのは、オンラインゲームで同じチームに所属する二人。掛け金を巡って口論となり、一人がウソの住所を伝えて挑発し、もう一人がリアルスワッターにスワッティングを依頼した。その被害に遭ったのがアンドリュー・フィンチ氏だ。

その後、スワッティングを行ったスワッティング常習者のタイラー・バリスが逮捕され、禁固20年の判決が下った。なお、スワッティングを依頼したプレイヤーは、共謀罪と司法妨害の罪に問われた。

プロゲーマーBugha選手の事例

2019年に起きた事例。被害に遭ったのは、人気ゲーム「フォートナイト」の世界大会「Fortnite World Cup」で優勝した経歴を持つプロゲーマーのBugha選手だ。

ゲーム実況ストリーミングサービスで配信をしていたところ、警察の特殊部隊が銃を構えて自宅に押しかけた。Bugha選手になりすました何者かから「父親を銃で殺した。母親を人質にして立てこもっている」という通報があったという。

自宅に到着した特殊部隊に父親が対応したため、特殊部隊はすぐにスワッティングと判断。大きな騒動には発展しなかった。

複数のスワッティングを行ったケリー被告の事例

2020年に複数のスワッティングを行ったとして逮捕されたのが、サイバーセキュリティを勉強する大学生のケリー被告だ。著名なゲーマーやジャーナリスト、政府関係者をターゲットに組織的にスワッティングを行っていた。

2018年には大学をターゲットにスワッティング攻撃したが、理由は「授業に出なくてもいいようにするため」だった。教会にスワッティングを行った際には、夕方の祈りの時間にSWATが教会に突入し、一時騒然となった。

また著名なゲーマーをターゲットにスワッティングを行った際は、対象者と母親が取り押さえられる事態となった。母親はこの後、脳卒中になったとされる。

著名人が被害に遭った事例

スワッティングでは著名人が被害に遭うことも多い。

有名なのは、2013年に俳優のアシュトン・カッチャーが被害に遭った事例だ。12歳の少年が「銃を振り回している人がいる」などのウソを通報。アシュトンの自宅に警察が緊急出動した。この少年は、歌手のジャスティン・ビーバーの自宅にもスワッティングを行っている。

このほか、俳優のトム・クルーズやクリント・イーストウッド、歌手のブリトニー・スピアーズやビヨンセ、マイリー・サイラス、リアーナ、ヒップホップ歌手のショーン・コムズなどもスワッティングによる騒動に巻き込まれている。

スワッティングへの対策

これまで見てきたように、スワッティングが頻繁に起きるアメリカでは、対策が講じられるようになっている。

例えば、カリフォルニア州ではスワッティングを行った者には、最大1万ドルの費用を負担させる法律が施行されている。シアトル警察では「スワッティング緩和諮問委員会」を設置し、予防策の徹底を実施した。また「スワッティング登録簿」を作成し、スワッティングを受ける可能性があると自己申告すると名前と住所が記載される。リストに記載されている人物に対して緊急出動を要請する通報があった場合、出動する前に調査が実施される仕組みだ。

ちなみに日本の場合は、スワッティングは消防法第44条に抵触する可能性がある。消防法第44条では、虚偽の消防・救急の通報を行った者は30万円以下の罰金または拘留されることになっている。

スワッティング対策の効果

スワッティング対策はさまざまに行われているが、被害報告は増加傾向にある。FBIでは2023年に国内で約600件のスワッティングを突き止めたという発表もしている。

2024年11月にはアメリカ大統領選挙が行われるため、政治家や選挙関係者がスワッティングの被害者となった事例も数多く報告されている。

スワッティングに遭わないために

スワッティングに遭わないために

日本では表立ってスワッティングによる被害は報告されていないが、今後同様の事例が日本でも起こる可能性もある。

スワッティングは、主にパソコンのIPアドレスを用いて住所の特定を行う。そのため、自分の位置情報や個人情報が視聴者にわからないように、ストリーマーは細心の注意を払うことが重要だ。例えば、VPNを使用してIPアドレスを隠すことなどで、位置特定ができなくなる。

もちろん、インターネット上で個人情報が明らかにならないように、安易に身元を公開したり、個人を特定できるような投稿はしないように気をつけたい。

まとめ

スワッティングとは、主にアメリカで行われているいたずらや嫌がらせのこと。何者かがウソの緊急通報をして、ターゲットの自宅に警察の特殊部隊SWATなどを向かわせる。

単なるいたずら目的で行われることが多かったが、近年は悪質性が増しており被害は拡大。対象者が射殺される事件も発生している。また企業の事業活動や選挙活動などの妨害のほか、身代金目的の脅迫にも用いられるようになった。

日本では目立ったスワッティングは報告されていないが、なりすましでピザを発注するなどのいたずらも見られる。

スワッティングを含め、いたずら目的でそのような行為は行わないことを肝に銘じておきたい。その一方、被害に遭わないように、インターネットを使用する際は個人情報の取り扱いにこれまで以上に注意を払うようにしたい。

参考記事
最悪のイタズラ「スワッティング」 北米で社会問題に 日本でも?|withnews
ヘイリー氏、1日に「スワッティング」被害 先月30日も|Reuters
スワッティングとは? | スワッティングに対する自衛方法|Cloudflare

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