ジニ係数とは?世帯間の所得格差が過去最高水準ってほんと?

ジニ係数とは?

ジニ係数とは、国や地域間、世帯間の経済的な格差を図る指標のこと。ここでいう経済的な格差とは、所得や資産の不平等を指す。イタリアの統計学者によって開発され、現在では国際的な指標として用いられている。

ジニ係数は、0から1の間で示される。0は完全に格差がない状態、つまり、同じ所得や資産を持っている状態を指す。ある国にふたりしか人が住んでおらず、ふたりとも年収700万だった場合、ジニ係数は0となる。

一方、1は完全に不平等な状態を指し、一人が全ての所得を持ち、他の人は所得がない状態を指す。ふたりしか住んでいない国で、ひとりが年収1000万、もうひとりが年収ゼロだった場合、ジニ係数は1となる。つまり、0に近ければ近いほど所得の格差がなく、1に近ければ近いほど所得格差がある、ということだ。

そのため、貧富の差を少なくするには、ジニ係数を0に近づけていく必要がある。

ジニ係数って誰が計算するの?

ジニ係数を計算するためには、それぞれの世帯が得ている収入を知る必要がある。そのため、実際の計算は、国、または国に委託された組織、あるいはOECDなどの国際組織が行なっている。

ジニ係数の確認方法

日本、およびその他の国のジニ係数の推移は、政府機関や国際期間のデータを通じて確認することができる。

●OECD
世界各国のジニ係数が確認できる。

●World Bank Group
世界銀行のサイトでも各国のジニ係数を確認できる。

●厚生労働省
厚生労働省のホームページでは定期的にジニ係数についてのデータを公開している。

●総務省統計局
総務省統計局も、定期的にジニ係数を公開している。

これらのサイトを確認することで、国家間の所得格差の違いや、格差の推移などを確認することができる。

日本と諸外国のジニ係数

日本と諸外国のジニ係数

ヨーロッパ諸国、スウェーデン、デンマーク、ポーランド、ハンガリーなどの福祉国家はジニ係数が低く、世帯間の所得格差が少ないことで知られている。

一方、アメリカは、アメリカンドリームなどと言われ、一攫千金を掴むことができると思われているが、貧しい人と富める人の格差が大きく、ジニ係数は高めだ。

2021年のOECDのデータによると43カ国中、最も高いジニ係数を叩き出したのは南アフリカで、アメリカは8位、日本のジニ係数は、13位と先進国の中ではかなり高い位置にランキングしている。

このことから、日本は、ジニ係数が比較的高く、所得格差が大きい国であることがわかる。

日本のジニ係数の推移

日本のジニ係数は、戦後、高度経済成長期には比較的低い数値だった。しかし、1990年代以降、所得格差は右肩上がりで、2021年の調査では、所得格差が過去最高水準になったことが報告された。

原因は様々考えられるが、その一因として、非正規雇用の増加、非正規と正規雇用の所得格差の放置、高齢化社会、大企業に有利な税制度などが挙げられるだろう。

なぜ日本のジニ係数は高いのか

日本のジニ係数が高くなる背景には、いくつかの要因がある。

1世界に誇る長寿国。高齢者は資産はあっても、所得が少ないケースが多い

日本は、世界に誇る長寿国だ。それゆえ、高齢者の割合が急激に増えている。高齢者はリタイアし、所得が低い傾向にある。年金制度の不完全さなどに起因する高齢者の貧困は問題になっており、これが、ジニ係数を押し上げるひとつの要因になっている。

2非正規雇用の拡大。正規と非正規の賃金格差が大きい

戦後、日本は非正規雇用を合法化・拡大していった。日本の非正規雇用者は、正規雇用者と賃金格差が大きい。また、非正規雇用者は不安定な収入しか得られない。そのため、正規と非正規の間での格差が生まれている。これはワーキングプアとも呼ばれ、特に、若年層や女性に非正規雇用が集中しており、これが、世帯ごとの所得不平等の一因となっている。

3地方と都市との経済格差。田舎は所得が低くなりがち

日本ではここ10年でパワーカップル(夫婦それぞれが年収700万円以上得ている世帯)の割合が2倍に拡大している。拡大しているといっても、日本は女性と男性との賃金格差が大きい国であるゆえ、女性で700万円以上稼げるひとは稀であり、パワーカップルは全体の1%しか存在していない。この1%のパワーカップルのほとんどは関東や関西の都市に住んでいる。都市部で一部の夫婦が高収入を得る一方、田舎の賃金は上がっていない。こういった都市と田舎の格差が、世帯間の経済格差拡大のひとつの要因だと言えるだろう。

4男女の賃金格差。女性しかいない世帯は収入が低くなる

正社員男性の平均賃金を100とした場合、正社員女性は75しか賃金が得られていない、という性別による格差が存在している。また、女性の半数以上が非正規雇用で働いている。さらには、シングルマザーのふたりにひとりは貧困ライン以下の収入しか得られていない、という実態がある。このため、男性がいる世帯といない世帯とでは、世帯間に大きな所得の差ができがちだ。

日本のジニ係数を改善するために

日本のジニ係数を改善するためには

次に、世帯間の所得格差を減少させるためにできることを確認しておこう。

1非正規雇用の待遇改善。正規と非正規の賃金格差を改善する

非正規雇用で働いている人が正規雇用になれるための仕組みを作ることは大切だろう。また、同一労働同一賃金の原則をしっかりと守り、正規と非正規の賃金格差を減少させる対策も必要だ。日本で暮らしていると、非正規なのだから正規と賃金が違って当たり前、と考えがちだ。しかし、日本は世界的に見ても正規と非正規の賃金格差・待遇格差が大きい国として知られている。正規・非正規の待遇格差を、世界標準に近づけていく政策も必要だろう。

2所得の再分配政策を実施する。累進課税制度を強化する

高所得者や大企業から税をとり、低所得者に再分配する政策が必要だろう。課税金額が高くなればなるほど税金が高くなる累進課税制度を強化する等、できる対策は無限にある。

3リスキリングの支援。中年からでも新たな職につけるようにする

近年、学び直し(リスキリング)の重要性が盛んに言われるようになってきた。現在、低所得しか得られていない人が一定期間学ぶことで、所得を上げられるような仕組みも必要だろう。教育を強化することは、長い目で見れば、所得格差を減らすことにつながるはずだ。

4性別による賃金格差を是正する。まずは性別による賃金格差を調査する

性別による賃金格差を是正する必要もある。例えば、メルカリなどの企業では、社内で性別による賃金の格差があることを調査し、賃金格差是正の対策をとっている。国の働きかけも重要だが、企業レベルでできることもあるだろう。

さいごに。格差社会を食い止めるために

人は、同じような教育レベル、所得レベルの人と付き合いがちだ。それゆえ、日常生活で格差を実感することは少ないかもしれない。しかし、ジニ係数を確認すると、日本は世帯間の所得格差が大きい国であることがわかる。

格差社会の拡大をこれ以上進行させないためには、格差を生み出す要因に注目し、是正する政策を支持する必要があるだろう。

参考サイト
令和2年版 厚生労働省白書—令和時代の社会保障と働き方を考える|厚生労働省
所得再分配によるジニ係数改善の推移|厚生労働省 
世界のジニ係数|GLOBAL NOTE
パワーカップル世帯の動向|ニッセイ基礎研究所 

関連記事

まだ表示できる投稿がありません。

新着記事