シーライオニングとは?悪意ある質問の意図と対処法を解説

シーライオニングとは?

シーライオニングとは、インターネット上での議論において、相手を意図的に疲れさせ、議論から追い出すことを目的とした行為である。具体的には、相手の発言に対して、根拠のない質問を執拗に繰り返したり、議論の本質から逸脱した話題を持ち出したりすることで、建設的な議論を妨害する。

シーライオニングの目的は、議論を深めることではなく、相手を困らせたり、議論を終わらせたりすることだ。

そのため、誠意のない質問を繰り返したり、明らかな事実や一般的な常識に対してさえ、根拠を要求したりする。また、本題から逸脱した質問を繰り返すことで、議論の方向性を意図的に変えたり、相手の発言に対して侮辱的な言葉を用いたりするといった感情的な攻撃も特徴の一つだ。

シーライオニングの語源と由来

シーライオニングという言葉は、ウェブコミック『Wondermark』に登場するアザラシが、執拗に質問を繰り返すキャラクターに由来する。この漫画では、アシカ(シーライオン)が、ある人物に対して執拗に質問を繰り返し、議論をこじらせる様子が描かれている。このアシカのしつこい質問攻めが、まるでインターネット上で特定の意見をもつ人に絡みつく嫌がらせ行為に似ていることから「シーライオニング」という言葉が生まれ、インターネットスラングとして定着した。

この言葉が生まれた背景には、インターネット上での議論や意見交換の場において、特定の意見に対して根拠のない否定や攻撃を繰り返す行為が増加していた状況がある。シーライオニングは、このような悪質な行為を皮肉る言葉として、広く使われるようになった。

シーライオニングの具体的なパターン

シーライオニングの具体的なパターン

シーライオニングのパターンはさまざまだが、代表的パターンとして以下のものがあげられる。

  • 論点のすり替え
    相手の発言から、意図的に関係のない話題に転換し、議論の本筋から逸らそうとする。議論の流れを複雑にする。
  • 門戸を閉ざす
    相手の意見を最初から否定し、議論の余地を与えない。門戸を閉ざし、侵入を許さないように、相手の意見を完全にシャットアウトする。
  • 無限ループ
    同じ質問を何度も繰り返し、相手を混乱させ、消耗させようとしたり、議論を停滞させたりする。
  • 専門用語の乱用
    相手に理解できない専門用語を多用し、議論を複雑化させ、相手を威圧する。これにより相手を混乱させ、議論から遠ざけようとする。

これらの手法は、いずれも相手を疲れさせ、議論から追い出すことを目的としている。相手を操り、議論を自分の思い通りにコントロールしようとするのだ。

シーライオニングの問題点

シーライオニングは、インターネット上のコミュニティにおいて、深刻な問題を引き起こす可能性がある。

まず、建設的な議論が阻害される点である。シーライオニングによって、議論は深まるどころか泥沼化し、コミュニティ全体の雰囲気が悪化する。本来、意見交換により理解を深め、新たな知見を得る場であるはずのコミュニティが、攻撃的で不毛な場へと変わってしまう。

次に、参加者の意見表明を萎縮させる点もあげられる。シーライオニングの被害者は、自分の意見を述べることをためらい、議論から遠ざかるようになる。結果として、多様な意見が交わされるはずの場が、特定の意見しか容認しない閉鎖的な空気となってしまう。

最後に、情報伝達の妨げとなる可能性も高い。シーライオニングによって、正しい情報が伝わりにくくなり、誤った情報が拡散されるリスクが高まる。これは、コミュニティだけでなく、社会全体にとっても大きな損失となる。

このように、シーライオニングは、インターネット上のコミュニケーションを歪め、健全な情報交換を妨げる、深刻な問題であるといえる。

シーライオニングと類似の用語

シーライオニングは、他のインターネット上の似たような行為と混同されがちである。シーライオニングとよく比較される「マンスプレイニング」と「トーンポリシング」との違いについて、詳しく解説する。

マンスプレイニングとの違い

マンスプレイニングとは、主に男性が女性に対して、または自分よりも立場が下の人に対して、相手を無知と決めつけて上から目線で説明したり、意見を押しつけたりする行為である。一方、シーライオニングは、性別や立場を問わず、相手を意図的に困らせることを目的とした行為であり、マンスプレイニングよりも対象の範囲が広い。

マンスプレイニングが、特定の性別や関係性に焦点を当てた、いわば「差別的な説明」であるのに対し、シーライオニングは、あらゆる議論の場において、相手を攻撃し、議論を妨害することを目的とする。どちらも相手を不快にさせるという点では共通するが、その動機や対象範囲は異なる。

トーンポリシングとの違い

トーンポリシングは、相手の言動の仕方や表現方法に過度にこだわることで、議論の本質から逸脱させる行為である。例えば、「もっと丁寧な言葉遣いをしろ」や「感情的になるな」といったように、議論の内容ではなく、その伝え方にばかり注目して相手を攻撃する。

シーライオニングは、トーンポリシングの一つの手法として用いられることがある。トーンポリシングが、相手の表現方法に焦点を当てるのに対し、シーライオニングは、執拗に質問を繰り返すことで、議論そのものを妨害することを目的とする。シーライオニングもトーンポリシングも、相手の意見に耳を傾けず、不快な思いをさせる点で問題がある。

なぜ人はシーライオニングをするのか?

なぜ人はシーライオニングをするのか?

シーライオニングを行う人間の心理は、多岐にわたる。

まず、承認欲求が強いことがあげられる。自分の意見が絶対的に正しいと信じ込み、それを認めさせたいという強い願望をもつ。議論を通じて相手を打ち負かし、自分の意見が正しいことを証明することで、自己肯定感を満たそうとするのである。

次に、議論そのものに快楽を見出す場合もある。相手を困らせたり、議論を混乱させたりすることで、一種の優越感や興奮を味わう。インターネットの匿名性を利用し、現実世界ではできないような攻撃的な行動をとることで、ストレスを発散している可能性も考えられる。

さらに、自分の意見に対する反論を許容できないという頑固な態度も、シーライオニングを引き起こす要因の一つである。異なる意見をもつ相手に対して、寛容さを欠き、攻撃的な態度をとってしまう。

このように、シーライオニングを行う人間の心理は、承認欲求、優越感、ストレス発散、頑固さといったさまざまな要因が複雑に絡み合っている。

シーライオニングに遭遇したときの対処

シーライオニングに遭遇した際は、冷静に対処することが重要である。以下に対処法を解説する。

まず第一に、感情的にならないことだ。シーライオニングは、相手を意図的に挑発し、感情的な反応を引き出そうとするものである。感情的に反応してしまうと、相手はさらに攻撃的な態度をエスカレートさせる可能性がある。冷静さを保ち、客観的な視点で状況を捉えることが大切だ。

次に、議論の目的を見失わないように心がけよう。シーライオニングの目的は、議論を建設的に進めることではなく、相手を困らせたり、議論を終わらせたりすることである。このことを常に意識し、相手の挑発に乗らずに、議論の本質から目を離さないようにしよう。

最後に、コミュニティのルールを活用することだ。多くのオンラインコミュニティには、議論のルールが定められている。例えば、誹謗中傷や個人攻撃を禁止するなど、健全な議論を行うためのルールが設けられている場合が多い。これらのルールを参考に、シーライオニングに対して適切な対応を取るようにしよう。

シーライオニングを防ぐために

シーライオニングは、インターネット上のコミュニケーションを健全なものにする上で、大きな障害となる可能性がある。しかし、事前に対策を講じることで、発生を未然に防ぐことが期待できる。以下に防止策を解説する。

まず、相手に対して敬意を払い、その意見を尊重しよう。意見が異なる場合も、相手の立場や考え方を理解しようと努めることで、建設的な議論へとつながる。

次に、自分の主張を裏付ける具体的な証拠を示すことで、議論の信頼性を高めよう。根拠のない意見は、攻撃の対象となりやすい。

最後に、議論のテーマから逸脱した話題を持ち出さないようにしよう。逸脱した話題は、議論を複雑化させ、相手を混乱させる。常に本題に焦点をあて、論点を明確にすることが大切だ。

まとめ

シーライオニングは、インターネット上の議論において、相手を意図的に疲れさせ、議論から追い出すことを目的とした悪質な行為だ。

シーライオニングは、単なる言葉遊びではなく、相手を意図的に傷つけ、コミュニティを破壊する可能性をはらんでいる。この問題を深刻に捉え、一人ひとりが意識することで、より健全なインターネット空間を築くことができるだろう。事前に対策を講じたり、適切な対処をしたりすることで、安心して意見交換ができる場づくりを目指したい。

参考記事
Constructive and obsessive criticism in science|National Library of Medicine
‘Sealioning’ Is A Common Trolling Tactic On Social Media–What Is It?|Forbes

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