
クリックベイトとは
クリックベイトとは、主にウェブメディアやSNS上で使用される手法で、ユーザーを引きつけるために誇張された見出しやサムネイルを用いることを指す。私たちの好奇心を煽ることで、リンクのクリックを促進し、結果としてウェブサイトのトラフィックを増加させることが主な目的だ。日本語では「釣りタイトル」とも呼ばれる。
クリックベイトの語源は「クリック」と「ベイト(餌)」を組み合わせた造語で、文字通り「クリックの餌」を意味する。この手法は広告収入を得るために用いられることが多いが、しばしば内容が期待に反する場合があり、読者に不快感を与えるとして問題視されている。
クリックベイトの例としては、「あなたも驚く!この秘密の方法で〇〇を達成する」といった、具体的な内容を曖昧に示しながらも興味を引く見出しが挙げられる。また、感情に訴える言葉や数字を用いた見出しも多用される。ユーザーは詳細を知りたくなり、ついクリックしてしまうのである。このような手法は、一時的なトラフィック増加には効果的であるものの、長期的にはユーザーの信頼を損なうリスクがある。
フェイクニュースとの違い
クリックベイトは閲覧者のクリックを誘うための誇張した見出しや画像を使用し、主に広告収入を目的としている。一方、フェイクニュースは虚偽の情報を意図的に拡散し、特定の意図や利益を狙う。両者は、その動機と手法に違いがある。
クリックベイトは注目を集めるための「エサ」として機能し、内容は必ずしも虚偽である必要はない。しかし、フェイクニュースは誤情報を伝える「虚偽情報」である点で異なる。
ダークパターンとの違い
ダークパターンは、ウェブサイトやアプリケーションのデザイン要素を利用して、ユーザーが意図しない行動を取るように仕向ける手法である。例えば不要なサブスクリプションを続けさせたり、個人情報を収集したりすることを狙う。特定のボタンの位置や色を巧妙に変えることで、誤った選択をさせるのだ。
クリックベイトは、ユーザーの行動を誘導する意図があるため、「ダークパターン」の一部として考えられる。両者は、ユーザーの興味や感情を利用して操作する点で共通している。しかし、クリックベイトは主に情報の誇張を用いるのに対して、ダークパターンはユーザーインターフェースのデザインを操作する点で異なる。れる。
クリックベイトがなくならない理由

クリックベイトがなくならない理由の一つは、収益につながる点である。ウェブサイトやソーシャルメディアの運営者は、閲覧数を増やすことで広告収入を得る。
クリックベイトは、誇張された見出しや刺激的な内容を用いてユーザーの興味を引き、リンクのクリック数を増やす効果がある。結果として、ウェブサイトのトラフィックが増加し、広告の表示回数も増えるため、収益が向上する。
もう一つの理由は、クリックベイトの規制が難しい点である。クリックベイトは直接的な虚偽情報ではなく、誇張や曖昧さを利用するため、法的な規制の対象になりにくい。例えば、具体的な虚偽情報を含むフェイクニュースは規制の対象となりやすいが、クリックベイトはその境界が曖昧であり、取り締まりが難しい。メディア側のポリシーなどによって、規制が機能している例もあるが、クリックベイトを完全に排除することは現実的に困難である。
さらに、人は感情的な刺激や好奇心をそそる情報に弱く、ついクリックしてしまう傾向があるという、ユーザー自身がクリックベイトに引っかかりやすい心理的な要因が存在する。これらの理由から、クリックベイトは依然としてインターネット上で広く使われ続けているのである。
クリックベイトの特徴
クリックベイトの特徴は、ユーザーの興味を引きつけるために巧妙に設計された手法である。
- 誇張された見出し:実際の内容よりも過剰に表現することで、ユーザーのクリックを誘導する。「あなたも驚く!」「これだけは知らないと損する」といった見出しが典型例である。
- 感情を揺さぶる言葉:強い感情的反応を引き起こす言葉を使用し、ユーザーの関心を引く。「ショック」「驚き」「感動」といったキーワードが多用される。
- 具体的な数字の使用:読者の好奇心をそそるために、数字を用いた見出しが多い。「たった10分で」「3つの理由」などが例である。
また、ネットニュースの短いタイトルで「人気女優〇〇、芸能界引退…」のように、わざと文字数オーバーさせ、読者に続きが気になるように仕向ける手法も見られる。この手の記事は、実際に中身を読んでみると「芸能界引退は考えていない、と語った」というだけの内容だったなど、想像した内容と乖離があるケースも少なくない。
これらの特徴は、ユーザーのクリックを誘導するために設計されており、結果としてウェブサイトのトラフィックを増加させる。また、クリックベイトは一度クリックしてもらうことを主な目的としているため、内容が期待に反する場合も少なくない。しかし、誇張や感情的な言葉を用いることで、一瞬の興味を引きつける効果が高く、広告収入を得るための手段として広く利用されているのだ。ことで、一瞬の興味を引きつける効果が高く、広告収入を得るための手段として広く利用されているのだ。
クリックベイトの具体例
クリックベイトの具体例として、しばしば見られるのは感情を揺さぶる見出しや驚きを含んだタイトルである。例えば、「閲覧注意」や「驚くべき事実!」といった誇張された内容である。このような見出しはユーザーの興味を引き、クリックを促すが、実際の内容は期待に応えないことが多い。
一方で、クリックベイトの手法を逆手にとり、社会に役立てる取り組みも存在する。例えば、ニューヨークRXM Creativeという企業が立ち上げた「Clickbait for Good」では、チャリティー活動のためにクリックベイトを活用している。キャッチーな見出しをクリックすると、チャリティーのページに遷移し、その問題について深く理解できるものだ。
これは、ユーザーの興味を引きつつ、社会問題への関心を喚起するものであり、クリックベイトのポジティブな活用例と言える。こうした取り組みは、クリックベイトの悪評を覆し、社会貢献にもつながっている。
問題視される理由

クリックベイトで期待した内容と反するコンテンツを読まされることで、時間を浪費するだけでなく、誤情報が拡散されるといった問題を引き起こす。ここでは、クリックベイトが問題視される主な理由を解説する。
時間を浪費する
クリックベイトは、誇張された見出しや内容でユーザーの好奇心を煽るが、実際の記事内容は期待に反することが多い。これにより、ユーザーは時間を浪費することになる。
本当に知りたかった情報にたどり着くまでに、無駄なクリックを繰り返し、結果として貴重な時間を奪われる。このような体験が積み重なることで、ユーザーの信頼感が低下し、サイト全体の評価にも影響を与える。
情報の質が低下する
クリックベイトは、クリック数を稼ぐことを目的としているため、情報の質が犠牲にされることがある。記事の内容が薄く、価値のある情報が含まれていない場合も多いのだ。ユーザーは本当に必要としている情報を得られず、不満を感じることになる。
また、質の低い情報が氾濫することで、メディア全体の情報環境が劣化する恐れがある。信頼性のある情報を提供するサイトとの区別がつきにくくなり、ユーザーが誤った判断をするリスクが高まる。
誤情報の拡散につながる
クリックベイトは、その特性上、誤解を招く内容を含むことが多い。誇張された見出しや曖昧な表現が多用されるため、ユーザーが誤った情報を信じてしまうこともあり得る。これにより、誤情報が拡散し、広範囲の人々に悪影響を及ぼすことがある。
例えば、災害に関する虚偽の情報が広まれば、買い占めが行われる可能性もある。クリックベイトは、一時的なトラフィック増加を狙ったものでありながら、社会の一部にも影響を与えかねない。
クリックベイトに引っかかってしまうユーザー心理

クリックベイトは私たちの好奇心を巧妙に利用し、ユーザーの興味に合った情報を示すことでクリックを誘導する。人は未知の情報に対する好奇心が強く、特に衝撃的な内容や意外性を持つ見出しに引きつけられる。
また、私たちは感情が動くものを選択する傾向があるため、感情的な反応を引き起こす見出しや内容は、クリックする衝動を強くする。例えば、「驚愕」「感動」「ショック」といった感情を揺さぶる言葉が多用されると、ついその内容を確認したくなるものである。
例え非現実的だと分かっていても、注意を怠ってクリックしてしまうことも多い。特に疲れている時や短時間で情報を得たい時には、見出しの真偽を吟味する余裕がないことがある。これらの心理的要因は、アテンションエコノミーの一部とも関連している。現代社会では、限られた時間の中でどれだけ多くのユーザーの注意を引けるかが重要視され、クリックベイトはその手段として効果的に機能しているのである。
企業によるクリックベイト規制の事例
クリックベイトが横行している状況に、メディア側も黙ってはいない。ウェブサービスを提供する以下の主要メディアでは、クリックベイトを自動判定し、ユーザーに表示させにくくする仕組みを導入している。
Googleは、クリックベイト広告の規制を強化するために、不実表示に関するポリシーを拡大した。このポリシーは、悲劇的な事件やスキャンダルを用いてユーザーを煽る広告を禁止するものである。Googleはこうした広告がユーザーを騙すだけでなく、情報の質を低下させるとして問題視している。
対象となるのは、虚偽の内容や不必要に感情を煽る表現を含む広告で、ユーザーが正確で信頼性の高い情報にアクセスできるようにすることを目的としている。Googleの取り組みは、デジタル広告の健全な環境を維持し、ユーザーの保護を図る重要なステップである。
Facebook(現:Meta社)は、クリックベイト広告に対する取り締まりを強化している。特に2016年以降、偽の動画でクリックを誘導したり、画像に再生ボタンを加工して動画に見せかけてクリックさせる手法に対して厳しい対策を講じている。クリックベイトの手法が用いられた動画や画像は、ニュースフィードでの表示順位を下げるなどの方法で抑制されている。
また、2019年には、過度に興味を煽る健康関連の投稿を抑制するためにアルゴリズムを変更した。誇張された健康効果を謳う投稿や、誤解を招く内容の広告の配信量を減少させることで、ユーザーが正確で信頼性の高い情報にアクセスできるようにしている。これにより、フェイクニュースや不実情報の拡散を防ぎ、健全な情報環境の維持を図っている。
グノシー
グノシーはクリックベイト対策のため、ニュース記事の閲覧傾向を分析し、クリックベイトが疑われる記事を自動的に見つけ出し、表示順位を下げるか、表示しないようにする独自の技術を開発している。
この技術により、ユーザーが質の高い情報にアクセスしやすくなるとともに、プラットフォームとしての信頼性を維持する効果も期待される。
適切に情報を収集するためには
クリックベイトに騙されないためには、まず情報源の信頼性を確認することが重要である。信頼性のあるサイトや著名なニュースソースを選ぶことで、誤った情報に惑わされるリスクを減らせる。また、誇張表現や感情的な言葉に惑わされないことも重要だ。
タイトルやサムネイル画像が極端に感情を煽る場合は、冷静にその内容を吟味し、内容が信頼できるかどうかを判断することが求められる。このような習慣を身につけることで、情報リテラシーが向上し、情報収集の質を担保することにもつながるだろう。
Edited by k.fukuda
参考サイト
釣りタイトルから社会をよくする「Clickbait for Good」|IDEAS FOR GOOD
クリックベイト広告への対応の改善を目的とした不実表示に関するポリシーの拡大|Google広告
Facebook、クリックベイトへの対策を強化|過度に興味を煽る健康関連の投稿を抑制へ|アナグラム






















丸山 瑞季
大学で国際コミュニケーション学を専攻。卒業後はデジタルマーケティングに携わり、現在は難聴児の子育てに奮闘しながら、楽しく生きることをモットーに在宅で働く。関心のあるテーマは、マインドフルネス、ダイバーシティ、心理学。趣味は、食べること、歩くこと、本を読むこと。( この人が書いた記事の一覧 )