特集
特集|めぐる、つなぐ、食の風景。「食べて生きる」循環の物語
2025.06.05 更新
観点
PERSPECTIVE
この特集が生まれた理由。
スーパーの棚に、季節を問わず色鮮やかな食材が並ぶ。 私たちはいつでも、好きなものを、好きなだけ手に取ることができる。
その便利さの陰で、海や土が少しずつ悲鳴を上げていることに、私たちはどれだけ気づけているだろうか。
かつては当たり前だった旬の魚が姿を消し、 収穫された農作物の多くが、誰の口にも触れぬまま「ゴミ」として処理されていく。
「効率」や「見た目」を優先してきた仕組みの限界が、私たちの食卓のすぐそばまで来ている。
このまま、ただ消費し続けるだけでいいのか。
いま、食の現場では新しい循環が始まっている。
捨てられるはずだった食材に命を吹き込むアップサイクル、海を守りながら育てる漁業、そして土の力を信じる農業。
それらは単なる環境保護ではなく、私たちが「命をいただいている」という手触りを取り戻すための試みだ。
遠くの海や見知らぬ土地の土と、私の身体は、一本の線でつながっている。
そのつながりに目を凝らし、今日の一皿を選び直すこと。
食べるという行為の先にある、豊かさの源流へと視線を移してみよう。
失われゆくものを嘆くのではなく、未来へつなぐための「おいしい」のあり方を、ともに探りたい。

記事
ARTICLES
テーマで読み解く、社会の動き。

キーワード
オーガニック(有機農業)とは?その定義と日常への取り入れ方を解説
オーガニックとは、化学的な肥料や農薬を一切使用せずに、太陽や微生物など自然の恵みを生かした栽培方法または生産物のこと。生態系を乱すことなく、生物多様性とその循環に根ざすものであり、すべての生物と人間の間に公正な関係を築くと同時に生命や生活の質を高めることを目的としている。日本語では「有機」と訳される。

キーワード
スローフードとは?イタリア発祥の持続可能な食のあり方を解説
スローフードとは、食材の持つ本来の味を大切にし、地域の伝統的な食文化を守る食のスタイルである。食の産業化やグローバル化によって失われつつある、地域の食文化や食材の多様性を保護しようという思想に基づいている。

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野菜と魚の持続的な生産を可能にするアクアポニックスとは
アクアポニックスとは、水耕栽培と養殖を同時に行う持続可能な循環型農業を指し、水産養殖(Aquaculture)水耕栽培(Hydroponics)からなる造語である。
アクアポニックスでは、魚の排泄物を微生物が分解し、その分解によって生成された栄養分を植物が吸収し、浄化された水が魚の水槽へと戻るという生態系の循環を再現している。魚・植物・微生物の働きのバランスを保つことができれば、持続可能なシステムとなる。

キーワード
サステナブル・シーフードとは?意味や認証・選び方などを紹介
サステナブル・シーフードとは、「持続可能な」という意味を持つSustainableと、「海産食品」を意味するSeafoodを掛け合わせた言葉だ。海や水産資源の長期的な健全性を守るために、環境・資源に配慮した方法で漁獲された水産物、または育てられた水産物を指す。

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フードマイレージとは?知っておくべき日本の食料輸送事情と行動のあり方
フードマイレージとは、食料の輸送量に輸送距離を掛け合わせた指標のことである。単位はt・km(トン・キロメートル)で表され、実際に計算すると以下のようになる。
【20トンの食料を300km輸送する場合】
「食料の輸送量(トン)× 輸送距離(キロメートル)」=「t・km(トン・キロメートル)」
20 t × 300 km = 6000 t・km

取り組み
地産地消とは?メリットやデメリット、食や建築、エネルギーなど幅広い分野の取り組み事例を紹介
地産地消は、地域でとれた生産物をその地域で消費することである。地域内の生産・消費を促すことで、生産者と消費者との結びつきの強化、地域の活性化を目指す。1980年代に、日本国内において食料自給率の低さが問題視されるようになったことで、この言葉が使われ始めた。2000年代に入ってからは食だけに限らず、地域内の資源を活用した加工品も地産地消の取り組みとして取り上げられるようになった。例えば古紙を再生利用したトイレットペーパー、木材の建築物への利用なども対象となる。

取り組み
Farm to tableとは?定義や日本での取り組みを紹介
Farm to tableは、「農場(Farm)から食卓(table)へ」という言葉で、地元で生産された安全で新鮮な農作物を、農園から直接食卓へ届けようとする運動のことを意味する。ベースにあるのは、日本における「地産地消」と同義ともいえる考え方だ。

取り組み
未利用魚とは?注目される理由や活用するメリット、事例を紹介
未利用魚(みりようぎょ)とは、味や鮮度は抜群であるにもかかわらず、形が悪いことや出荷する規定の数に届かないことなどから、市場に出回らない「もったいない魚」のことである。美味しく安全性も保たれているため、市場に出る魚と質は変わらない。しかし、上記の理由から出荷できないため、廃棄するか漁師や水揚げされた地域のみで食べられるだけなのだ。

取り組み
テロワールとは?サステナビリティとの関係やワインに留まらない事例をご紹介
テロワール(Terroir)は、フランス語で「土地」や「風土」を意味する言葉である。元々ワインの世界で盛んに用いられてきた概念で、ブドウ栽培の現場で特定の土地の自然環境が、どのようにワインの風味や品質に影響を与えるかを説明するために使われてきた。その後、より広い意味合いへと派生し、ワイン以外の食物や農作物にも適用されるようになった。

取り組み
魚が食べられなくなる日。海洋環境と日本の食文化の危機
2025年6月9日~6月13日にかけて、フランス・ニースで国連海洋会議が開催される。この会議では、海洋の保全と持続可能な活用に向けた議論が予定されている。
海洋環境の保全に向けた取り組みは人類にとって重要なテーマの一つになっている。しかしながら、私たちはSNSやニュースサイトで日々、海洋環境に関する記事を見ても、どこか「遠い国で起きている出来事」と感じてしまうことがあるのではないだろうか。














