スピーカーが、環境を汚染?
電子ゴミは近年、地球温暖化や人体の健康などへの影響から問題視されている。
2022年にEUの市場に出回った電気・電子機器の総量は、2012年の760万トンから1,440万トンにまで増加した。同年には、国内で住民ひとり当たり11.2kgの電気・電子機器が廃棄物として回収されている。
スピーカーなどのAV機器も、電子ゴミに含まれる。スピーカーに使用されている鉛やカドミウムは、廃棄の過程で土壌や水中に漏れ出し、環境汚染を招くリスクが指摘されている。
スピーカーが廃棄される背景にあるのは、より質の高い新製品の登場や、インテリア・用途に合わないなどの理由による買い替え、もしくはバッテリーなどの部品の劣化だ。
そんな中、デンマークの音響機器メーカー「バング&オルフセン」が販売しているスピーカー「Beosound Level」は、廃棄の背景にある問題点を克服。長期的に使用できる設計を叶え、電子ゴミ削減に貢献している。
Cradle to Cradle認証を受けたスピーカー
Beosound Levelは、電子機器業界で初めて「Cradle to Cradle Certified認証」のブロンズ認証を受けたスピーカーだ。Cradle to Cradle認証とは、製造過程で発生する環境負荷を抑え、使用後は廃棄ではなく資源として再利用できるようにデザインされた製品に与えられる認証のこと。
Beosound Levelは、再利用可能な資源の利用とサステナビリティに配慮した設計が評価され、同認証を獲得した。

リサイクルへの貢献
電子ゴミ問題の解決策として注目されているリサイクル。Beosound Levelは廃棄後にリサイクルされることを目的に、分解されやすい設計で作られているのが特徴だ。
さらに製品の半分以上には、リサイクルプラスチック材が使用されている。資源を繰り返し使用できるデザインとなっているため、廃棄量の削減につながるのである。
場所や用途を選ばないシンプルさ
通常、デザイン性に富んだスピーカーは、インテリアや年齢など、さまざまな要素に左右されやすい。一方で、Beosound Levelのデザインは柔軟性にすぐれている。
まず、見た目はシンプルでスタイリッシュ。薄型で、垂直・水平・壁掛けの3つの置き方が可能だ。さらに、無線Wi-Fi、防水設計、そして環境に応じたサウンドの自動調整といった高機能も備えている。
そのため、スペースの有無やインテリアを選ばず、多種多様な生活空間に馴染む。リビングや寝室だけではなく、キッチンなどの水回りでも使用可能だ。

カスタマイズ可能なデザイン
どれだけシンプルで洗練されたデザインであっても、流行などによって色味を変更したくなることもあるだろう。Beosound Levelは、そうした好みの変化にも対応している。
装飾パーツは簡単に取り外しできるようになっており、幅広い素材や色から、好みのカスタマイズができる。そのため、デザインを変えたくなっても、製品をまるごと廃棄する必要がなくなるのだ。
さらに、パーツの生産方法にも環境への配慮がされている。一般的に、幅広いカスタマイズを可能にすると、部品の生産量および廃棄量が増加するが、Beosound Levelはモジュラーデザインを採用している。モジュラーデザインとは、互換性の高い部品を社内の幅広い製品に使用することで、部品の生産量を抑える設計方法だ。こうした工夫により、環境負担の抑制とカスタマイズの自由さを両立させている。

最新の機能を保つ設計
スピーカーが廃棄される理由のひとつが、部品劣化や機能の古さだ。しかしBeosound Levelは、そういった劣化や古さを感じさせない。
まず特徴的なのは、バッテリー交換ができることだ。さらにスマートフォン同様、ソフトウェアのアップデートができ、予め自動更新を設定しておくことも可能だ。これらの設計により、常に最新の性能を維持できる。
Beosound Levelは、繰り返し使用できるパーツは残し、交換・改良すべき点のみ変えていく。そのため、購入時期や年代を問わず、長期間使用できるのだ。
まとめ
電子ゴミは、電気・電子機器の生産方法や設計によって改善できる問題だ。それを証明しているのが、Beosound Levelである。
Beosound Levelは、リサイクル原料の活用といった資源の循環だけではなく、消費者が長く使い続けられる工夫を取り入れている。例えば、シンプルかつカスタマイズ可能なデザインや、最新の性能を保つ仕組みだ。こうした機能があるからこそ、消費者はひとつのスピーカーを長く愛用できる。
電子ゴミ問題の解決には、長く使える製品を生み出す企業の努力と、長く使える製品を選ぼうとする消費者の姿勢が重要だ。
参考記事
European Union|Waste statistics – electrical and electronic equipment
Tempest Technologies|Reducing E-Waste: AV Equipment Repurposing & Recycling
Bang & Olufsen|Cradle-to-Cradle
Bang & Olufsen|Our ambitions Moving towards circularity
Bang & Olufsen|How do I update my Beosound Level with the latest software?
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