リトリートとは

リトリートとは、普段の生活から離れて、自然やリゾート地などで身体にたまった疲れを癒す体験を指す。この言葉は、英語で「避難」や「引きこもり」を意味する「Retreat」に由来している。元々リトリートという言葉は、日常から離れて自分と向き合う機会を指す言葉であったが、最近ではストレス解消や自己啓発のための機会といった、より広義的な意味で使われている。
4つの休息方法「4R」のひとつ
リトリートは、4Rと呼ばれる休息方法の一つであり、身体も心も休めるためには以下の4種類の方法を使い分ける必要があると言われている。
- レスト(Rest)
身体にたまった疲れを取り除くこと。マッサージや睡眠など身体を休める行為を指す。 - レクリエーション(Recreation)
散歩やサイクリング、楽器演奏など、楽しめる活動や娯楽を通して気分転換をすること。ラテン語で「回復」を意味するrecreāreが語源であり、楽しい時間を過ごすことで、新しい自分を「re(再び)creāre(つくる)」とされている。 - リラクセーション(Relaxation)
身体の緊張をゆるめ、心身をリラックスさせることを指す。また、不安や恐れなどネガティブな感情から解放された状態でもある。半身浴をしたりアロマを焚いたりといった自宅で簡単にできる方法もある。 - リトリートメント(Retreatment)
リトリートとは、このリトリートメントのことである。ほかの3つのRと違う点は、自宅や日常的にいる場所で休息をするのではなく、普段いる場所から離れた場所で疲れを癒すことである。たとえば、都会で忙しく働くOLが、離島の美しい自然に囲まれながら身体をいたわるような体験を指す。
リトリートの魅力
リトリートの大きな魅力は、悩みやストレスを減らし、その後のパフォーマンスを上げられることにある。普段忙しい人であっても、強制的に自分だけの時間を作ることで「どんな生活を送りたいのか」や「どんな仕事をしていくか」などといった、自分の気持ちや思考と向き合える。ゆっくり自分と対話し、身体や心の状態を知ることで、リトリート前に抱えていた悩みや不安の解決につながる可能性があるのだ。
また、普段過ごしている環境から離れてリフレッシュすることで、その後の仕事のモチベーションがアップしたり違う観点から物事を見られるようになったりできるといわれている。
リトリートの具体的な方法

ここでは、リトリートを実践するための具体的な方法を説明する。
自然に囲まれて過ごす
自然あふれる環境で過ごすことは代表的なリトリートの方法だ。森林浴をしたり海を眺めたりするなど、ゆったりとした空間の中にいるだけでリフレッシュできる。特に、普段都会で過ごしている方は、人混みやビル群に囲まれていると疲れが溜まりやすい。そんな時は、自然に囲まれた場所で、せせらぎや鳥の鳴き声など普段触れないものを五感で吸収することで、気持ちの入れ替えができるのだ。
ヨガをする
呼吸法とポーズで心と身体のバランスを整えるヨガもリトリートの方法の一つだ。ヨガには、呼吸法で自律神経を整え、ポージングではインナーマッスルを鍛えられるという効果がある。無料動画配信サービスでヨガの動画がたくさん投稿されており、リトリート先の部屋で気軽に行えるのも魅力的だ。リトリートを機にヨガを始めてみても良いだろう。
デジタルデトックスをする
スマホやパソコンなどのデジタル機器と離れて過ごすデジタルデトックスも、リトリートの一つだ。普段SNSをよく見る人や、一日中パソコンに向かって仕事をする人は、気づかないうちに目が疲れたり、情報を取り入れすぎて脳が疲れたりなど、身体への負担がかかっている。デジタルデトックスをすることで、身体にたまった疲れを取るだけでなく「睡眠の質を高める」「ストレスが減る」などの効果もある。普段デジタル機器を頻繁に使う人ほど、このリトリート方法はおすすめである。
創作活動をする
絵を描いたり、小説を書いたり、陶芸をしたりといった創作活動も、リトリートの実践方法の一つだ。自分の感性をもとに自由に創作することで、自分に対する理解が進み新しい発見も生まれる。普段ルーティンワークをする機会が多い人や、新しい自分を見つけたいと考える方には特に有効だ。
健康的な食事をする
食事にこだわることもリトリートでは大切だ。健康的な食事をすることで、さらに身体をいたわれる。ファストフードやカロリーの高い食事はなるべく避け、素材の味を生かした料理や身体に優しいオーガニックな食事をとることで心も身体も満足できる。
瞑想する
心を静めて自分の内面と向き合う瞑想も、リトリートとして行われる行為の一つだ。瞑想には、不眠解消・ストレス解消・集中力アップなどといった効果がある。目をつぶり自分の意識に集中するというシンプルなやり方のため、簡単に実践できる。また、リトリート中だけでなく習慣化させるとさらに効果が表れると言われている。
温泉に入る
温泉に入ってゆったりとした時間を過ごすことも有効なリトリート方法である。温泉では体が温まることで、筋肉の緊張がほぐれ、心身ともにリラックスできるのだ。泉質によっては肩こりの解消や美肌などさまざまな効能がある。身体も心も同時にいたわりたい場合は、温泉地でのリトリートがおすすめだ。
実践する際のポイント
ここでは、リトリートを実践する上でのポイントを説明する。
目的をはっきりさせ細かい予定は決めない
まず、リトリートを行う前にはっきりと目的を設定しておいた方が良い。目的を設定しなければ、行き先もなかなか決められず、リトリートをしても何も変わらない可能性があるからだ。「自分の仕事を見つめなおす」「人生計画を立てる」などの具体的なものはもちろん「疲れをとるためにひたすらぼうっとする」といったものも立派な目標となる。
また、リトリートを充実させるために予定を決めたい方もいるかもしれないが、細かい予定決めは避けた方が良い。細かく決めることで、時間に追われてしまいゆったりと過ごせなくなるリスクがある。そのため、スケジュール決めはある程度大まかなレベルでとどめておくのが良いだろう。
ストレスを溜めない
リトリートの効果の一つがストレス解消であるため、リトリートによってストレスに感じる行動をするのは逆効果だ。たとえば、普段インドアを好む方がリトリートでアウトドアアクティビティばかりを取り入れると、それがストレスに感じる可能性がある。リトリートでは楽しむ気持ちが大切であるため、自分にとって心地よいと思える選択をすることがおすすめだ。
複数人で実践する場合は、なるべく少人数で
職場の活動としてリトリートを行う場合は、複数人で行うこともあるが、その場合は少人数で行うことがポイントだ。大人数の場合、一人ひとりと語り合う時間を設けられず、全体をまとめるのに気を取られてしまう可能性がある。職場で実践するリトリートでは、有意義なコミュニケーションが大切だ。そのため、目的やテーマ別などでメンバーをわけることで、それぞれに合ったリトリート体験ができ、コミュニケーションの機会も十分に設けられる。
リトリートにおすすめの地域

最後に、リトリートを実践するにあたっておすすめの地域を2か所紹介する。
小豆島(香川県)
瀬戸内海に位置する小豆島は、都会の喧騒から離れ、自然と調和した時間を過ごせる場所だ。小豆島には、潮が引くと現れる砂浜で有名な「エンジェルロード」や、雄大な山々が織りなす絶景がみられる「寒霞渓」といった、自然を全身で感じられるスポットであふれている。また、古民家からモダンなホテルまで、様々なスタイルの宿泊施設が数多くあるため、好みの施設で、地元の新鮮な海産物や、名産のオリーブを使った料理など、素材を生かした体に優しい食事を楽しめる点も魅力だ。島全体に広がる自然の風景に囲まれて心を落ち着かせ、ゆったりとリトリートを実践できる。
草津温泉(群馬県)
草津温泉は、首都圏からのアクセスが良いにもかかわらず、気軽に非日常を感じられる場所だ。日本三名泉の1つである温泉には、美肌や疲労回復などの効能があり、身体を優しくいたわれる。また、草津温泉は温泉だけでなく、昔ながらの情緒を感じられる温泉街も有名であるため、ゆっくり散策するのもおすすめだ。非日常の空間で時間を忘れて過ごすことで、リトリートの効果を存分に感じることができるだろう。
まとめ
日常から離れた空間で身体や心を癒すことができるリトリート。日々仕事や家事などに追われているとなかなか自分と向き合う時間を作れない人も多い。だからこそ、リトリートの機会をきちんと設けて自分と対話することで、新しい発見ができたりモチベーションアップにつながったりする。疲れがたまっている人や何かを変えたいと思っている人などは、一度リトリートを体験してみてはいかがだろうか。
参考記事
What Is A Retreat?|The Retreat Company
人間関係のストレスを軽くする「4つのR」とは?|PHPオンライン
りとりーとぐんま|群馬県
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